エスプールは23年11月期3Q累計減収減益だが、通期増収増益予想据え置き

(決算速報)
 エスプール<2471>(東証プライム)は、10月4日の取引時間終了後に23年11月期第3四半期累計連結業績を発表した。ビジネスソリューション事業は好調に推移したが、人材ソリューション事業の回復遅れや先行投資の影響などで減収減益だった。ただし通期増収増益予想を据え置いた。第3四半期累計の進捗率は低水準だが、第4四半期に最大限の挽回を目指すとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は年初来安値圏でモミ合う形だ。目先的には第3四半期累計業績を嫌気する動きが優勢になる可能性があるが、下値限定的だろう。

■23年11月期3Q累計減収減益、通期増収増益予想据え置き

 23年11月期第3四半期累計(22年12月~23年8月)連結業績は、売上高が前年同期比3.3%減の193億52百万円、営業利益が9.6%減の20億56百万円、経常利益が7.0%減の21億13百万円、親会社株主帰属四半期純利益が4.1%減の13億85百万円だった。ビジネスソリューション事業は好調に推移したが、人材ソリューション事業の回復遅れや先行投資の影響などで減収減益だった。

 セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が25.4%増の90億82百万円、営業利益が12.3%増の23億04百万円だった。

 障がい者雇用支援サービスの売上高は19.7%増の47億11百万円だった。設備販売は計画905~955区画に対して894区画だった。受注が関東に集中した結果、同地域での供給が追いつかず計画を下回ったが、第4四半期の農園新設で設備販売の計画遅れを解消の見込み(通期販売計画1440区画)としている。第3四半期末時点の顧客数は567社(22年11月期末は512社)、管理区画数は7027区画(同6211区画)、就業者数は3513名(同3105名)となった。

 ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は13.3%増の11億18百万円(内訳はEC通販発送代行が14.1%増の10億24百万円、物流センター運営が5.3%増の93百万円)だった。新センター(千葉県流山市)開設に伴う一時的費用の発生などにより、第3四半期は利益率が一時的に低下した。

 広域行政BPOサービスの売上高は68.5%増の10億19百万円だった。取引自治体数が順調に増加し、累計246自治体となった。BPOセンター数は19拠点となった。また政令指定都市からの初受注として、神戸市の大型案件を11月より業務開始する。

 環境経営支援サービス(ブルードットグリーン)の売上高は、35.1%増の8億74百万円だった。第3四半期はコンサルティング案件(CPD回答支援)の納品が集中したため売上が急伸した。第4四半期は来期に向けた営業強化と新サービス開発に注力する方針としている。

 採用支援サービスOMUSUBIは、応募受付数が12.4%増の51万7147件、売上高が25.2%増の5億46百万円だった。第3四半期は季節要因で一時的に減少したが、経済活動正常化や人手不足深刻化が追い風となり、新規営業が好調に推移している。

 人材ソリューション事業は、売上高が19.7%減の103億31百万円で、営業利益が24.9%減の9億92百万円だった。主力のコールセンター業務の売上高は23.1%減の86億68百万円だった。新型コロナ関連のスポット案件の早期終了に加えて、需要回復遅れで想定を下回った。販売支援の売上高は15.4%増の10億78百万円だった。インバウンド関連の案件獲得が進んだが、緩やかな回復にとどまった。

 四半期別にみると、第1四半期は売上高が60億89百万円で営業利益が4億52百万円、第2四半期は売上高が70億43百万円で営業利益が10億41百万円、第3四半期は売上高が62億20百万円で営業利益が5億63百万円だった。第2四半期の営業利益は四半期ベースで過去最高だった。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年11月期比6.1%増の282億88百万円、営業利益が17.1%増の36億20百万円、経常利益が15.3%増の35億96百万円、親会社株主帰属当期純利益が34.2%増の24億27百万円としている。売上高は11期連続、営業利益は8期連続で過去最高更新を目指す。親会社株主帰属当期純利益については特別損失一巡も寄与する。配当予想は22年11月期比2円増配の10円(期末一括)としている。連続増配予想で、予想配当性向は32.5%となる。

 ビジネスソリューション事業の計画は、売上高が26.5%増の129億08百万円、営業利益が24.4%増の36億35百万円としている。売上高の内訳は、障がい者雇用支援サービスが19.7%増の69億円(運営管理費が35.0%増の40億58百万円、設備販売が8.0%増の23億36百万円、人材紹介料が14.6%減の5億06百万円)で、ロジスティクスアウトソーシングサービスが10.2%増の14億75百万円、採用支援サービス「OMUSUBI」が8.4%増の6億35百万円、広域行政BPOサービスが2.1倍の19億円、環境経営支援サービスが25.2%増の9億円としている。

 障がい者雇用支援サービスは新規開設が9農園(屋外5、屋内4)で、設備販売は1440区画(第1四半期100~150区画、第2四半期510~560区画、第3四半期240~290区画、第4四半期490~540区画)の計画としている。法令順守のもと、障がい者の「雇用の安定」と「キャリアアップ」が実現できる環境の構築に取り組む。ロジスティクスアウトソーシングサービスは事業拡大に向けて千葉県流山市に新センターを開設(23年7月下旬オープン)し、守りから攻めへの転換を推進する。広域行政BPOサービスは既存センターの売上拡大に集中するため、下期の開設を1拠点(通期ベースでは9拠点)に抑制する。環境経営支援サービスはサービスメニュー拡充によって事業拡大を目指す。採用支援サービス「OMUSUBI」は需要回復を追い風に通期での上振れを目指す。

 人材ソリューション事業の計画は、売上高が4.7%減の158億円、営業利益が2.9%減の16億20百万円としている。売上高の内訳は、コールセンター業務が5.9%減の136億円、販売支援が4.8%増の13億円、その他が2.3%増の9億円としている。コールセンター業務の需要回復が遅れているため、当面はより筋肉質な体制づくりに注力する。

 第3四半期累計の進捗率は売上高68%、営業利益57%、経常利益59%、親会社株主帰属当期純利益57%と低水準だが、第4四半期に最大限の挽回を目指すとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は年初来安値圏でモミ合う形だ。目先的には第3四半期累計業績を嫌気する動きが優勢になる可能性があるが、下値限定的だろう。10月4日の終値は464円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円73銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS94円14銭で算出)は約4.9倍、そして時価総額は約367億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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