【小倉正男の経済コラム】異常気象 フグ漁獲量は北海道が全国トップ

■異常気象でフグはいまや北海道が産地

 先日、個人的なお祝いで和食店に伺った。このお店は、冬場にフグを扱っており、女将さんにいつからフグ料理を開始するのか聞いてみた。

 「ウチは冷凍物を使わないので、フグはいつ入荷するのか、本当にわからない。10月になっても夏日が続いており、海水温上昇でそれこそいつフグを出せるのか、何ともいえない」

 それで終わったと思ったら、女将さんは憤慨の面持ちでこう話し出した。「フグはいまでは北海道で捕っているのですよ」。

 20~30年前は三河湾でフグが捕れるという話を聞いたことがある。「三河湾で捕ったフグは、名古屋から下関に“輸出“している」。私のほうからは、そんな話をした。

 女将さんは、「三河湾のフグが良い時期もあったが、いまは北海道」。北海道といえば、昔は鮭鱒といわれたわけだが、フグはいまや北海道が漁獲量トップとは正直驚いた次第である。

■猛暑は新潟のコシヒカリにも影響

 新潟のコシヒカリも猛暑にたたられた。コシヒカリは暑さに弱い面があり、猛暑に加えて雨が少なく水不足に見舞われた。

 友人からコシヒカリを送っていただいたのだが、「例年より新米の出荷が早い」ということだった。味は例年とまったく変わりなく、美味しさは日本のお米のトップクラスの座を維持している。

 今年のコシヒカリは猛暑でお米に透明感が少なく、白濁などが生じている。そんな“見てくれ”から「一等米」にはならず、価格にも影響が出ているということである。猛暑といった異常気象は、あらゆるところに影響を及ぼしている。

■「第三次世界大戦」の様相

 異常気象・温暖化は、産業革命(近代資本主義)以降の人類の人口増、都市化などがもたらしたものである。キリスト生誕時に人類は5億人程度だったとみられている。産業革命勃発の18世紀は15億人、ようやく3倍になった。ところがいまでは80億人を突破している。

 ところでパレスチナ自治区ガザの情勢だが、悪くなるばかりだ。ガザの少女が「私たちは生まれてきてからずっと辛いことばかり」と泣きじゃくる映像には言葉を失う思いだ。これも人類が行っていることにほかならない。

 中東の混迷が深まれば、ロシアのウクライナ侵攻と合わせて、「第三次世界大戦」の様相に嵌まり込みかねない。地政学リスクから原油高が続けば、インフレ長期化から金利も高止まり懸念が払拭できない。

 第二次世界大戦後、パレスチナは健国されたイスラエルに圧迫され、自治区に囲い込まれている。ロシアによるウクライナ侵攻の伝でいえば、侵攻されているのはパレスチナ側にみえる。だが、ロシアに侵攻されているウクライナを支援している米・英など西側諸国は躊躇なくこぞってイスラエルを支持している。

 イスラエルは、紀元前11世紀の古代にユダヤ人の王国がこの地(カナンの地)にあったことから健国されている。エジプトの奴隷だった人々が、エジプトを脱出。脱出先はエジプトに隣接するカナン、いまのパレスチナである。王国はそのカナンの地につくられたといわれている(旧約聖書)。

 ここまで由緒が旧いとこれは解決がつくような話ではない。何とか平和裏に事が収まればよいが、ガザで地上戦突入ということになれば、世界は地政学リスク極大化という局面に立たされることになる。(経済ジャーナリスト)

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営~クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て経済ジャーナリスト。2012年から当「経済コラム」を担当)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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