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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】テラスカイは8月の直近安値後は下げ渋り、16年2月期増収増益基調を見直し
- 2015/9/9 06:57
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
テラスカイ<3915>(東マ)はクラウド分野に特化してシステム導入コンサルティング・受託開発のソリューション事業を主力としている。株価は利益確定売りや悪地合いの影響で軟調展開となったが8月25日の直近安値後は下げ渋る動きだ。高値からほぼ3分の1水準で下値を確認した可能性があり、16年2月期増収増益基調や中期成長力を見直して反発展開だろう。流動性向上に向けた株式分割期待も高まる。
■クラウド分野のシステム導入コンサルティング・受託開発が主力
クラウド分野に特化して、企業向けクラウドシステム導入コンサルティング・受託開発のソリューション事業、および製品を開発・販売する製品事業を展開している。15年2月期の売上構成比はソリューション事業75%、製品事業25%だった。
10年9月NTTソフトウェアと資本業務提携、12年8月米国カリフォルニア州に子会社TerraSky Incを設立、13年9月サーバーワークスと資本業務提携、14年5月クラウドに特化したMSP事業(企業が保有するサーバやネットワークの運用・監視・保守などを請け負う事業)の新会社スカイ365を設立、14年10月米セールスフォース・ドットコム社と資本提携した。
■クラウド世界大手セールスフォース・ドットコム関連の技術力に強み
ソリューション事業では、セールスフォースを中心としたシステムの導入・保守、業務コンサルティングや企業システムのグランドデザインなどシステムコンサルティングの提供、クラウドによるERPシステムの導入・開発・保守など、クラウドを活用した最適なシステム開発支援および受託開発を行っている。
製品事業ではクラウドに特化したサービスおよび製品の開発・販売を行っている。セールスフォースの画面を自由にユーザー自身でデザインできるSaaS型画面作成サービス「SkyVisualEditor」、クラウドサービス間や社内システムとのデータ連携をノンプログラミングで提供するシステム連携サービス「SkyOnDemand」、セールスフォースに特化したシステム連携ソフトウェア「DCSpider」の開発・販売を中心として、セールスフォースのライセンス販売や、クラウドシステムと親和性の高いサービスの紹介・仕入販売も行っている。
クラウド世界大手の米セールスフォース・ドットコム社が主催する4つの認定資格の国内合格者が1番多く所属している(15年3月1日時点)という技術力が強みで、クラウド世代のリーディングカンパニーとして業種業態を問わず1800件超という豊富なクラウド導入実績を誇っている。15年3月には日経BP社「クラウドランキング」パブリッククラウド導入支援サービス部門において6回連続でベストサービスに選出された。
■中期成長に向けてクラウド業界における「パラダイムシフトの勝者」目指す
中期成長に向けて、クラウド業界における「パラダイムシフトの勝者」を目指し、ハイブリッドクラウド事業への積極的投資、クラウドに特化したMSP(企業が保有するサーバやネットワークの運用・監視・保守などを請け負う事業)市場の確立、クラウドERP市場の創造と収益化、グローバルマーケットへの進出、IoTへの取り組みなどを推進する方針だ。
ハイブリッドクラウド戦略では、各クラウドサービスの適材適所を組み合わせた「ハイブリッドクラウドソリューション」の提供を目的として戦略的提携を推進する。なお14年5月にはサーバーワークスと共同で、クラウドに特化した運用支援サービスを専業体制で提供する新会社スカイ365を設立した。
なお8月27日にNTTPCと連携して、企業の生産性向上を支援するために、センサーデータと顧客データ(CRM)を掛け合わせたIoT利用を早期実現できるソリューションを提供すると発表した。なお両社はセールスフォース・ドットコム社が運営する「Salesforce1 IoT ジャンプスタートプログラム」に参加している。
また9月1日にパスロジが開発・提供するトークンレス・ワンタイムパスワード「PassLogic」の提供を開始すると発表した。セキュリティに関して認証機能のニーズが高まっているため「PassLogic」を採用する。アマゾン・ウェブ・サービス上で提供することによって強力な認証機能を含めたすべてをクラウドで提供できるようになる。この提携によってクラウドの多様なセキュリティに関するニーズや「PassLogic」のクラウド利用ニーズに応えるとしている。
■16年2月期増収増益基調
今期(16年2月期)の連結業績予想(4月30日公表)は、売上高が前期比40.5%増の23億04百万円、営業利益が同19.7%増の1億92百万円、経常利益が同14.0%増の1億76百万円、純利益が同29.4%増の93百万円としている。配当予想は無配継続としている。
セグメント別売上高の計画はソリューション事業が同40.6%増の17億31百万円、製品事業が同40.5%増の5億72百万円である。ソリューション事業では大企業向けシステム開発案件を中心に10百万円超の大型案件が増加し、10百万円以下の案件も既存顧客の改修ニーズが増加する。製品事業ではセールスフォースの利用拡大に伴って当社製品の利用も拡大し、米国市場での当社製品の認知度向上効果も寄与する。
売上原価ではシステム開発および製品開発に伴う労務費・外注費の増加、販管費および営業外費用では人件費の増加、事務所移転に伴う賃借料の増加、株式公開費用の発生があるが、増収効果で吸収する。
第1四半期(3月~5月)は売上高が5億30百万円、営業利益が42百万円、経常利益が29百万円、純利益が16百万円だった。セグメント別売上高はソリューション事業が4億06百万円、製品事業が1億23百万円だった。ソリューション事業では受託開発案件および保守案件の件数が増加した。製品事業では契約社数が増加して契約金額も伸長した。米国子会社の収益改善も寄与したようだ。
第1四半期の進捗率を見ると、通期予想に対しては売上高が23.0%、営業利益が21.9%、経常利益が16.5%、純利益が17.2%とやや低水準の形だが、第2四半期累計(3月~8月)に対しては売上高が50.2%、営業利益が75.0%、経常利益が59.2%、純利益が84.2%と高水準である。期初時点で下期偏重の計画であり、通期ベースで増収増益基調に変化はないだろう。
総務省「平成25年版情報通信白書」によると、法人向けクラウドサービスの世界市場規模は10年の約410億ドルから16年には約1080億ドルに成長すると予測されている。またMM総研「国内クラウドサービス需要動向」によると、15年度の市場規模は13年度比2.9倍の1兆8000億円規模に拡大すると予測している。クラウド市場の成長も追い風として中期的に収益拡大基調だろう。
■株価は悪地合いで軟調展開だが下げ渋り、中期成長力を見直し
株価の動きを見ると、7月の上場来高値2万4650円から利益確定売りで反落し、その後は悪地合いの影響を受けて軟調展開となった。ただし8月25日に9490円まで急落した後は下げ渋る動きとなり、売り一巡感を強めている。高値からほぼ3分の1水準で下値を確認した可能性があるだろう。
9月8日の終値1万1310円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS68円15銭で算出)は166倍近辺、実績PBR(16年2月期第1四半期末の連結BPS574円34銭で算出)は20倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線が戻りを押さえる形だが、週足チャートで見ると8月の急落場面で長い下ヒゲをつけて調整一巡した形だ。16年2月期増収増益基調や中期成長力を見直して反発展開だろう。流動性向上に向けた株式分割期待も高まる。