【株式市場特集】半導体・EV関連で業績修正ラッシュ!超純水装置株とギガキャスト株が目玉に

■V字回復し株価感応度もリスクオンとなった3つのセクター株に注目

 今週の当コラムでは、すでに業績が上方修正され、あるいはV字回復して株価感応度もリスクオンとなった3つのセクター株に注目することとした。一つ目は、野村マイクロ・サイエンス<6254>(東証プライム)、オルガノ<6368>(東証プライム)と今3月期業績の上方修正が相次いだ超純水装置関連銘柄で、両社株とも発表日以来続伸し前週末27日も連日の年初来高値更新となった。2番目は、やはりアーレスティ<5852>(東証プライム)が今3月期業績を上方修正したギャガキャスト関連株である。両セクターとも半導体関連、EV(電気自動車)関連といま最もホットな成長産業分野の一角に位置する。3番目は、もともと市況産業として業績予想の策定が困難として業績予想を開示せず業績修正もない証券株である。その代わりに業績速報値を早期に公表しており、今期2Q累計業績が、大幅増益転換している。

 これから進行する決算発表でさらにサプライズとなる有望セクターも名乗りを上げる可能性もあるが、第一弾として個別株物色をリードすることを期待して順張りしたい。

■超純水製造装置株とギガキャスト株は半導体・EV関連で前倒し発注恩恵

 野村マイクロ・サイエンス、オルガノの業績上方修正は、国内、米国で超純水製造装置の大型プラント案件の発注が前倒しとなってうることを要因としている。台湾積体電路製造(TSMC)が、熊本県菊陽町のほか米国、台湾などで半導体製造の新工場を建設し、関連装置が発注段階に入ってきたことが背景となっている。オルガノは、上方修正とともに今期配当を年間82円に増配した。このほか関連メーカーに、日本ガイシ<5333>(東証プライム)、三浦工業<6005>(東証プライム)、栗田工業<6370>(東証プライム)が上げられ、メーカー商社のリックス<7525>(東証プライム)は、10月24日に今3月期業績を上方修正し配当も増配した。また同装置向けの主要部材のイオン交換樹脂メーカーも関連株の一角に浮上し、三菱ケミカルグループ<4188>(東証プライム)、室町ケミカル<4885>(東証スタンダード)などが浮上する。このうち日本ガイシは、前週末27日に今3月期業績を上方修正しており、まだ減益業績は変わらないが、自己株式取得も同時発表しており、週明けの株価動向が注目される。

 ギガキャストは、超大型のダイカストマシンを導入してEV向けの大型構造部品を一体成型するもので、アーレスティは今期業績を上方修正して大幅黒字転換する。またリョービ<5851>(東証プライム)は、今年7月期に今12月期業績を上方修正しており、11月8日に発表を予定している第3四半期決算の動向から目が離せない。このほか日本軽金属ホールディングス<5703>(東証プライム)、大紀アルミニウム工業<5702>(東証プライム)、UACJ<5741>(東証プライム)、アイシン<7259>(東証プライム)、さらにダイカストマシンメーカーのUBE<4208>(東証プライム)、芝浦機械<6104>(東証プライム)なども関連株となる。

■15倍増益銘柄も突出する証券株は新NISAスタートで追い風効果

 証券株で2Q累計の純利益が、最も高変化したのは極東証券<8706>(東証プライム)で、前年同期比15.79倍となった。トレーディング収益が大幅に伸びたことが要因で、当たり屋トレーダーの活躍の賜物である。次いで丸八証券<8700>(東証スタンダード)の7.05倍増益、水戸証券<8622>(東証プライム)の6.18倍、丸三証券の4.14倍、野村ホールディングス<8604>(東証プライム)の3.17倍と続く。東洋証券<8614>(東証プライム)、光世証券<8617>(東証スタンダード)、アイザワ証券グループ<8708>(東証プライム)は、前年同期の赤字からの黒字転換組である。

 証券株は業績予想を開示しないためにPER算出は不能であるが、PBRはほとんどが1倍を割れ、年間配当利回りは丸三証券の6.92%を筆頭に松井証券<8628>(東証プライム)の5.29%、いちよし証券<8624>(東証プライム)の4.77%、岩井コスモホールディングス<8707>(東証プライム)の4.53%、水戸証券の4.43%、大和証券グループ本社<8601>(東証プライム)の4.06%と続き高配当利回り株の側面がある。業績そのものは株式市況次第で委託手数料が増減し見通し難となるが、それでも来年1月からスタートする新NISA(少額投資非課税制度)は、新規の個人投資家の市場流入を促進する可能性があり、追い風効果を発揮しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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