日本エム・ディ・エムは24年3月期2Q累計減益で通期利益予想を下方修正
- 2023/10/31 08:45
- 決算発表記事情報
(決算速報)
日本エム・ディ・エム<7600>(東証プライム)は10月30日の取引時間終了後に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。売上面は日本国内の骨接合材料の好調などで増収だが、利益面はUSドルベースでの米国売上高が計画を下回ったことに加えて、為替の円安影響による原価率の悪化や販管費の増加などで計画を下回り減益だった。通期予想については売上高を上方修正、利益を下方修正した。各利益については下期も上期と同様に売上原価率の悪化を見込み、従来の増益予想から減益予想に転じた。25年3月期の収益改善を期待したい。株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する形だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、円安のマイナス影響を概ね織り込み済みと考えられる。下値限定的だろう。
■24年3月期2Q累計減益で通期利益予想を下方修正
24年3月期第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比9.6%増の109億52百万円、営業利益が33.4%減の6億17百万円、経常利益が31.0%減の6億32百万円、親会社株主帰属四半期純利益が50.1%減の3億59百万円だった。
前回予想(23年4月28日付公表)に対して、売上高は1億52百万円上回ったが、営業利益は1億82百万円、経常利益は1億17百万円、親会社株主帰属四半期純利益は90百万円それぞれ下回った。売上面は日本国内の骨接合材料の好調や為替の円安影響などで計画を上回る増収だったが、利益面はUSドルベースでの米国売上高が計画を下回ったことや、サプライチェーン上の問題を回避するため外部ベンダー活用を拡大して米国製造原価が悪化したことに加えて、為替の円安や日本国内の償還価格引き下げの影響による原価率の悪化、販管費の増加(米国の売上増に伴うコミッション・ロイヤリティの増加、研究開発費の増加、賃上げ実施に伴う人件費の増加、米国子会社ODEVにおいて隔年で主催している顧客向けセミナー開催による販促費の増加、円安による円換算後の米国での費用増加など)の影響で計画を下回り減益だった。
セグメント別(調整前)に見ると日本は売上高が5.6%増の61億29百万円で営業利益が0.7%増の4億66百万円、米国は売上高が12.8%増の66億44百万円で営業利益が76.4%減の92百万円だった。なお米国の外部顧客向け売上高はUSドルベースでは8.9%増の34百万円USドル、円換算後では15.3%増の48億23百万円だった。米国売上の為替換算レートは前年同期が1USドル=133.47円、当期が1USドル=141.31円だった。
医療機器類の品目別・地域別売上高(円換算後)は、人工関節は日本が6.1%増の23億61百万円、米国が15.3%増の48億06百万円、骨接合材料(日本)はが7.1%増の20億59百万円、脊椎固定器具(日本と米国の合計)は2.4%増の16億52百万円だった。なお自社製品比率は前年同期比0.2ポイント低下して80.1%となった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高54億02百万円で営業利益3億46百万円、第2四半期は売上高55億50百万円で営業利益2億71百万円だった。
通期の連結業績予想については10月30日付で売上高を上方修正、利益を下方修正して、売上高が23年3月期比10.8%増の236億円、営業利益が11.1%減の18億円、経常利益が9.5%減の18億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が19.2%減の11億50百万円としている。下期の想定為替レートは1USドル=150円(前回予想は1USドル=135円、23年3月期実績は1USドル=134.95円)とした。なお配当予想は据え置いて23年3月期比1円増配の14円(期末一括)としている。連続増配予想で予想配当性向は32.0%となる。
前回予想(23年4月28日付公表)に対して売上高を3億円上方修正したが、営業利益を7億円、経常利益を5億50百万円、親会社株主帰属当期純利益を3億50百万円それぞれ下方修正した。売上面は、日本国内では施設限定販売している一部新製品の全国展開遅延の影響、米国では人工股関節の大型新製品のFDA承認取得遅延の影響を受けるが、為替の円安影響により全体として前回予想を上回る見込みだ。各利益については、研究開発費を除く販管費の圧縮などを推進するものの、下期も上期と同様に売上原価率の悪化を見込み、全体として前回予想の増益予想から減益予想に転じた。積極的な事業展開で25年3月期の収益改善を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する形だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、円安のマイナス影響を概ね織り込み済みと考えられる。1倍割れの低PBRも評価材料であり、下値限定的だろう。10月30日の終値は688円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS43円71銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS880円64銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約182億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)