ゼリア新薬工業は24年3月期2Q累計最終大幅増益、通期上振れの可能性
- 2023/11/2 09:54
- 決算発表記事情報
(決算速報)
ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は、11月1日の取引時間終了後に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引して増収、営業利益は販売促進費や減価償却費の増加などで減益、経常利益は為替差損益の改善で増益、親会社株主帰属四半期純利益は特別利益計上も寄与して大幅増益だった。そして通期の増収増益予想を据え置いた。第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で急落の形となったが売り一巡感を強めている。第2四半期累計の利益高進捗率を評価して出直りを期待したい。
■24年3月期2Q累計最終大幅増益、通期上振れの可能性
24年3月期第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比8.8%増の366億78百万円、営業利益が9.6%減の53億27百万円、経常利益が6.1%増の54億95百万円、親会社株主帰属四半期純利益が35.0%増の53億96百万円だった。
売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって増収だった。営業利益はイギリスの医薬品価格規制制度の一部見直しによる経費の増加に加えて、販売促進費や減価償却費などの増加の影響により減益だった。経常利益は営業外における為替差損益の改善(前年同期は急激なスイスフラン高の影響で為替差損7億48百万円計上、当期は為替差益1百万円計上)により増益だった。親会社株主帰属四半期純利益は特別利益(契約解除損失引当金戻入額9億23百万円)の計上も寄与して大幅増益だった。
医療用医薬品事業は、売上高が11.1%増の239億円、営業利益(全社費用等調整前)が10.4%減の52億57百万円だった。売上面は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。国内においても23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継(国内販売名ダフクリア)し、製品普及を推進している。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。フェインジェクトについては産婦人科・消化器科領域を中心に市場構築を推進している。
主要製品の売上高は、アサコールが2.2%増の100億97百万円、ディフィクリアが68.0%増の65億45百万円、エントコートが16.6%減の24億47百万円、アコファイドが1.3%減の15億22百万円、その他が1.1%増の32億87百万円だった。
コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が4.7%増の127億円、営業利益が2.9%増の25億26百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群の売上が医薬品ヘパリーゼ群・コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群とも回復基調となり、コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で好調だった。23年4月に第2類医薬品に移行した月経前症候群(PMS)治療薬プレフェミンをはじめとする西洋ハープ群、歯周病・口臭対策用薬用歯みがきマスデント群も伸長した。
主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が10.5%増の51億90百万円、コンドロイチン群が8.7%増の28億62百万円、ウィズワン群が1.3%減の6億12百万円、その他が3.4%減の40億34百万円だった。
その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が1.9%増の77百万円、営業利益が6.6%増の1億24百万円だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高183億04百万円、営業利益29億70百万円、経常利益33億55百万円、第2四半期は売上高183億74百万円、営業利益23億57百万円、経常利益21億40百万円だった。
通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。予想配当性向は27.7%となる。
医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は2桁増益予想としている。
第2四半期累計の進捗率は売上高50%、営業利益59%、経常利益61%、親会社株主帰属当期純利益77%である。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は売り一巡
株価は地合い悪化の影響で急落の形となったが売り一巡感を強めている。第2四半期累計の利益高進捗率を評価して出直りを期待したい。11月1日の終値は2048円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1088億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)