神鋼商事は24年3月期2Q累計減益だが2Qは増益転換、通期上振れの可能性

(決算速報)
神鋼商事<8075>(東証プライム)は11月8日の取引時間中に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。自動車・半導体分野の需要低迷などにより売上高が横ばいにとどまり、各利益は販管費増加なども影響して減益だった。ただし四半期別に見ると、第1四半期が減収減益だったのに対して、第2四半期は増収増益に転じた。通期減益予想を据え置いているが、第1四半期がボトムだった可能性などを勘案すれば、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は9月の戻り高値圏から反落し、地合い悪化も影響してモミ合う形だ。ただし第2四半期累計業績に対するネガティブ反応は限定的だった。指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■24年3月期2Q累計減益だが2Qは増益転換

11月8日に発表した24年3月期第2四半期累計(4月~9月)連結業績は、売上高が前年同期比0.3%増の2794億11百万円、営業利益が6.5%減の60億02百万円、経常利益が21.5%減の50億13百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.2%減の37億13百万円だった。

自動車・半導体分野の需要低迷などにより売上高が横ばいにとどまり、各利益は販管費増加なども影響して減益だった。営業外収益では持分法投資利益が4億74百万円減少、営業外費用では支払利息が5億02百万円増加した。為替差損益は2億97百万円悪化(前年同期は為替差益2億34百万円、当期は為替差損63百万円)したが、デリバティブ評価損は49百万円減少した。特別利益では前期計上の固定資産売却益4億29百万円が剥落したが、投資有価証券売却益が5億58百万円増加した。

セグメント利益(経常利益)を見ると、鉄鋼は2.0%減の27億34百万円だった。売上面は取扱数量横ばい・鋼材価格上昇で9.5%増収だが、米国子会社における金融収支悪化などの影響で減益だった。鉄鋼原料は12.9%減の6億37百万円だった。売上面は重点分野と位置付けている資源循環型ビジネスにおいてバイオマス燃料などが増加したが、神戸製鋼所の粗鋼生産減産に伴って主原料の取扱数量が減少し、原料価格下落も影響した。非鉄金属は65.2%減の5億15百万円だった。自動車・液晶向けアルミ板、自動車端子向け銅板条、空調向け銅製品や自動車向けアルミ製品の取扱量減少などにより大幅減収減益だった。機械・情報は29.2%増の8億29百万円だった。国内では建機部品や電池関連材料、海外では建機部品や半導体ガス製造装置などが増加した。溶材は11.6%減の3億09百万円だった。国内の造船・建築向けが堅調で価格も上昇したが、海外子会社での取扱量が減少した。その他(不動産賃貸事業等)は11百万円の損失(前年同期は3億97百万円の利益)だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が前年同期比3.1%減の1365億86百万円、営業利益が27.1%減の25億07百万円、経常利益が46.5%減の21億46百万円、親会社株主帰属四半期純利益が56.1%減の13億61百万円と減収減益だったが、第2四半期は売上高が3.7%増の1428億25百万円、営業利益が17.2%増の34億95百万円、経常利益が20.6%増の28億67百万円、親会社株主帰属四半期純利益が77.2%増の23億52百万円と増収増益に転じた。第1四半期がボトムとなった可能性が高いだろう。

通期連結業績予想は据え置いて売上高が23年3月期比11.5%増の6520億円、営業利益が19.8%減の108億円、経常利益が21.1%減の100億円、親会社株主帰属当期純利益が22.8%減の71億円としている。配当予想については11月8日付で第2四半期末5円上方修正し、23年3月期比65円減配の250円(第2四半期末125円、期末125円)としている。予想配当性向は31.0%となる。

鋼材等の市況は23年3月期下期並みの水準が続くと想定するが、神戸製鋼所の厚板ミル改修に伴う鋼材取扱量減少、半導体市場の需要低迷などを見込み、営業活動の活発化に伴う販管費増加なども影響して減益予想としている。

セグメント別経常利益計画は、鉄鋼が神戸製鋼所の厚板ミル改修による取扱量減少により14.4%減の44億円、鉄鋼原料が0.1%増の15億円、非鉄金属が国内での伸銅品・アルミ製品の取扱量減少や中国のアルミ板材加工会社での取扱量減少などにより17.8%減の22億円、機械・情報が40.1%減の13億円、熔材が溶接材料の取扱量減少などにより25.4%減の6億円、その他が4億円減少の0億円としている。なお足元の状況として、非鉄金属が弱含みだが、鉄鋼が国内自動車関連の回復や鋼材価格の高止まりにより、機械・情報が産業機械や電池関連材料の取扱数量増加により、いずれも上振れの見込みとしている。

第2四半期累計の進捗率は売上高43%、営業利益56%、経常利益50%、親会社株主帰属当期純利益52%だった。第1四半期がボトムだった可能性などを勘案すれば、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

株価は9月の戻り高値圏から反落し、地合い悪化も影響してモミ合う形だ。ただし第2四半期累計業績に対するネガティブ反応は限定的だった。指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。11月8日の終値は5330円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS806円00銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の250円で算出)は約4.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS8235円14銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約472億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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