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マーケットエンタープライズは24年6月期1Q赤字拡大、通期大幅増収増益予想据え置き
- 2023/11/13 09:43
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は11月10日の取引時間終了後に24年6月期第1四半期連結業績を発表した。個人リユース事業における成長投資を継続しているため赤字拡大して着地した。ただし売上面は四半期ベースで過去最高と順調だった。そして通期の大幅増収増益予想を据え置いた。人員採用・新規拠点開設などの成長投資は第1四半期で一巡し、第2四半期以降は生産性向上に注力するとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形だ。目先的には第1四半期の赤字拡大を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値限定的だろう。
■24年6月期1Q赤字拡大だが通期大幅増収増益予想据え置き
24年6月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比11.9%増の41億06百万円、営業利益が1億54百万円の損失(前年同期は57百万円の損失)、経常利益が2億63百万円の損失(同70百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が3億25百万円の損失(同1億01百万円の損失)だった。
個人リユース事業における成長投資(人員採用、新規拠点開設)を継続しているため赤字拡大して着地した。経常利益と親会社株主帰属四半期純利益については営業外費用で計上したデリバティブ評価損1億04百万円も影響した。ただし売上面は四半期ベースで過去最高と順調だった。
なお営業利益▲97百万円の要因分析は、増益要因として増収要因+1億58百万円、粗利益率改善(0.6ポイント改善)+25百万円、モバイル事業他における広告宣伝費の減少+68百万円、減益要因として人件費・採用費増加▲1億73百万円、拠点関連費用増加▲78百万円、その他販管費増加(業容拡大に伴う荷造運賃・販売手数料の増加)▲97百万円だった。
ネット型リユース事業は、売上高が24.2%増の24億05百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が78.7%減の10百万円だった。このうち個人向けリユースは売上高が18.7%増の17億26百万円で粗利益が21.7%増の8億04百万円だった。ニーズ掘り起こしに注力し、生産性向上も推進した。マシナリー(農機具)は売上高が43.1%増の6億36百万円で粗利益が17百万円(前年同期は44百万円の損失)だった。国内、海外とも販売が好調に推移し、粗利益率の改善も進展した。おいくらは売上高が13.1%増の41百万円だった。前期の月額課金体系への変更後も加盟店が順調に増加した。
メディア事業は、売上高が16.0%減の1億75百万円で、利益が36.5%減の81百万円だった。主にGoogle社が実施した検索エンジンのコアアルゴリズム変更の影響を受け、収益性の高いキーワードにおける検索ランキングが変動し、全体としてPV(ページビュー)数が低調に推移した。
モバイル通信事業は、売上高が2.1%減の15億44百万円で利益が126.4%増の64百万円だった。獲得収入と広告宣伝費のバランスを図ったことにより、収益性が改善した。
通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が23年6月期比31.1%増の200億円、営業利益が745.3%増の8億円、経常利益が167.5%増の7億45百万円、親会社株主帰属当期純利益が27.4%増の3億70百万円としている。
全セグメントとも伸長して大幅増収増益予想としている。なお、前期計上したSBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約により発生したデリバティブ評価益については、23年6月末現在と同等の株価水準を前提としている。また、特別利益では前期計上した投資有価証券売却益(3億45百万円)が剥落する見込みだ。
セグメント別売上高の計画は、ネット型リユース事業が45.4%増の122億円(個人向けリユースが46.4%増の90億円、マシナリーが42.6%増の30億円、おいくらが41.2%増の8億円)、メディア事業が3.1%増の8億円、モバイル通信事業が12.8%増の70億円としている。
第1四半期は費用が先行して赤字拡大したが、売上面は四半期ベースで過去最高と順調だった。そして人員採用・新規拠点開設などの成長投資は第1四半期で一巡し、第2四半期以降は生産性向上に注力するとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形だ。目先的には第1四半期の赤字拡大を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値限定的だろう。11月10日の終値は1291円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS69円50銭で算出)は約19倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS253円92銭で算出)は約5.1倍、そして時価総額は約69億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)