イトーキは23年12月期3Q累計大幅増益、通期も大幅増益予想
- 2023/11/15 10:24
- 決算発表記事情報
(決算速報)
イトーキ<7972>(東証プライム)は11月13日の取引時間終了後に23年12月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増益で着地した。各事業が順調に伸長し、提供価値の向上による利益率改善なども寄与した。そして通期の大幅増益予想(8月7日付で利益と配当予想を上方修正)を据え置いた。通期会社予想に再上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は9月の高値圏から反落して上値を切り下げる形となり、さらに決算発表に対してもネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■23年12月期3Q累計大幅増益、通期も大幅増益予想
23年12月期第3四半期累計(1月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%増の968億57百万円で、営業利益が75.7%増の71億79百万円、経常利益が78.4%増の73億60百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が39.6%増の49億09百万円だった。
大幅増益で着地した。各事業が順調に伸長し、提供価値の向上による利益率改善なども寄与した。営業利益+31億円の要因分析は、売上増加に伴う利益増加+25億円、売上総利益率改善(構造改革による粗利益改善、カタログ価格改定・販売価格適正化など)+18億円、販管費増加(業績連動賞与の増加、DX推進のためのIT基盤強化など)▲17億円、物流費減少(構造改革プロジェクト推進による物流サービス収益力強化)+4億円としている。
ワークプレイス事業は、売上高が11.1%増の702億43百万円で、営業利益が119.3%増の53億67百万円だった。ハイブリッドな新しい働き方にあわせたリニューアル案件やオフィス移転案件を中心に需要が好調だった。増収効果や提供価値の向上による利益率改善などにより大幅増益だった。
設備機器・パブリック事業は、売上高が1.1%減の251億99百万円で、営業利益が11.8%増の14億06百万円だった。微減収だが、博物館・美術館の展示ケースやデジタルサイネージ等の公共施設向け設備の需要が好調に推移した。利益面は、公共施設向け設備における提供価値の向上による利益率改善などにより増益だった。
IT・シェアリング事業は、売上高が8.9%増の13億07百万円で、営業利益が0.9%減の3億22百万円だった。システム開発・検証事業やオフィスシェア事業が概ね堅調に推移した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が369億65百万円で営業利益が47億77百万円、第2四半期は売上高が312億25百万円で営業利益が22億25百万円、第3四半期は売上高が286億67百万円で営業利益が1億77百万円だった。年度末に当たる第1四半期の構成比が高い季節特性がある。
通期連結業績予想(8月7日付で売上高を据え置き、各利益を上方修正)は据え置いて、売上高が22年12月期比5.4%増の1300億円、営業利益が63.7%増の75億円、経常利益が79.5%増の75億円、親会社株主帰属当期純利益が特別利益の一巡で9.3%減の48億円としている。配当予想(8月7日付で期末7円上方修正)については22年12月期比5円減配の32円(期末一括)としている。ただし22年12月期の37円には特別配当20円が含まれているため、普通配当ベースでは15円増配との形となる。予想配当性向は30.2%となる。
下期に人的資本投資やDX推進などの戦略投資を見込むが、構造改革プロジェクトによる体質改善効果で営業利益は33期ぶりに過去最高を更新する見込みだ。セグメント別の計画は、ワークプレイス事業の売上高が7.9%増の927億円で営業利益が106.7%増の53億円、設備機器・パブリック事業の売上高が0.5%減の355億円で営業利益が8.0%増の16億円としている。
なお通常は第1四半期の構成比が高い季節特性だが、今期はワークプレイス事業のオフィス移転案件が期中に分散し、設備機器・パブリック事業では物流設備案件が下期に偏重するため、通常とやや異なる四半期構成になる見込みとしている。通期会社予想に再上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は目先的な売り一巡
株価は9月の高値圏から反落して上値を切り下げる形となり、さらに決算発表に対してもネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。11月14日の終値は1302円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS105円84銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の32円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1100円33銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約595億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)