Jトラストは23年12月期3Q累計営業減益だが通期予想を超過達成、通期は再上振れの可能性

(決算速報)
 Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は11月13日の取引時間終了後に23年12月期第3四半期累計連結業績を発表した。韓国およびモンゴル事業における前期の負ののれん発生益の反動で営業減益(四半期純利益は法人所得税費用の減少で増益)だが、日本金融事業の堅調推移、東南アジア金融事業の収益改善、不動産事業における負ののれん発生益計上などにより、各利益は通期予想を超過達成して着地した。通期会社予想を据え置いたが、再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価はモミ合い展開で第3四半期累計業績に対しても反応薄の形だが、徐々に下値を切り上げている。モミ合いから上放れの展開を期待したい。

■23年12月期3Q累計営業減益だが通期予想を超過達成

 23年12月期第3四半期累計の連結業績(IFRS)は、営業収益が前年同期比48.4%増の845億77百万円で、営業利益が25.5%減の111億34百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が28.6%増の183億40百万円だった。

 韓国およびモンゴル事業における前期の負ののれん発生益の反動で営業減益(四半期純利益は法人所得税費用の減少で増益)だが、日本金融事業の堅調推移、東南アジア金融事業の収益改善、不動産事業における負ののれん発生益計上などにより、各利益は通期予想を超過達成して着地した。

 日本金融事業の営業利益は5.0%増の34億69百万円だった。営業収益はJTG証券およびNexus Cardの連結、債権回収や保証事業の好調推移などにより大幅増収となり、利益面は増収効果に加えて、証券業務における外国為替売買・換算損の減少などにより、販管費の増加、前期のJTG証券の取得に伴う負ののれん発生益の反動影響などを吸収した。

 韓国およびモンゴル金融事業の営業利益は、16億52百万円の損失(前年同期は141億27百万円の利益)だった。JT親愛貯蓄銀行の連結も寄与して大幅増収だが、前期の負ののれん発生益(JT親愛貯蓄銀行の取得に伴う負ののれん発生益)の反動、貯蓄銀行業における預金利息費用の増加、景気悪化および債権不良化による貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の増加などにより大幅減益だった。

 東南アジア金融事業の営業利益は65.9%増の12億25百万円だった。銀行業における貸出金増加や保有有価証券増加に伴う利息収支増加などで大幅増収となり、貸出債権のリスク低下なども寄与して大幅増益だった。

 不動産事業(セグメント新設)の営業利益は100億96百万円(前年同期は66百万円の損失)だった。Jグランドの不動産販売収益の増加、グローベルスの連結、吸収合併したミライノベートの取得に係る負ののれん発生益計上が寄与した。

 投資事業の営業利益は15億83百万円の損失(同15億75百万円の損失)で、その他事業の営業利益は22百万円の損失(同1億31百万円の利益)だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は営業収益が261億36百万円、営業利益が92億93百万円、純利益が91億24百万円、第2四半期は営業収益が275億13百万円、営業利益が6億88百万円の損失、純利益が69億07百万円、第3四半期は営業収益が309億28百万円、営業利益が25億29百万円、純利益が23億09百万円だった。なお収益はM&A・事業再編・不良債権処理などで変動する可能性がある。

 通期の連結業績予想(JTG証券の金融商品取引業を含まず、8月8日付で上方修正)は据え置いて、営業収益が22年12月期比43.2%増の1180億円、営業利益が27.1%減の105億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が30.6%増の165億円としている。配当予想も据え置いて22年12月期比4円増配の14円(第2四半期末1円、期末13円)としている。連続大幅増配予想で予想配当性向は11.7%となる。

 セグメント別営業利益の計画は、日本金融事業が57億64百万円、韓国およびモンゴル金融事業が2億40百万円の損失、東南アジア金融事業が10億78百万円、不動産事業が99億76百万円、投資事業が20億66百万円の損失、その他事業が20百万円としている。そして親会社の所有者に帰属する当期利益は18年3月期のIFRS移行後の最高を2期連続で更新する見込みとしている。

 第3四半期累計は営業減益だったが、各利益は通期予想を超過達成している。通期会社予想を据え置いたが、再上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は下値切り上げ

 株価はモミ合い展開で第3四半期累計業績に対しても反応薄の形だが、徐々に下値を切り上げている。モミ合いから上放れの展開を期待したい。11月14日の終値は471円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS120円17銭で算出)は約4倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結1株当たり親会社所有者帰属持分1004円59銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約693億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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