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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】平山は16年6月期増収増益基調、労働者派遣法改正案成立(見込み)も注目点
- 2015/9/11 07:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
平山<7781>(JQS)は国内製造業向けアウトソーシング事業(製造請負)を主力としている。株価は8月25日に1388円まで調整したが、その後は1500円台に戻して下げ渋る動きだ。IPO直後の7月高値から半値水準で底打ちした可能性がありそうだ。16年6月期増収増益基調であり、ファンダメンタルズ面を見直して反発のタイミングだろう。労働者派遣法改正案の成立(9月11日見込み)も注目点だ。
■国内製造業向けアウトソーシング事業(製造請負)が主力
1955年創業、1967年設立で、15年7月JASDAQに新規上場した。国内製造業向けのアウトソーシング事業(製造請負)を主力として、技術者派遣事業(連結子会社トップエンジニアリング)、その他事業(現場改善コンサルティングサービス、教育サービス、有料職業紹介など)も展開している。11年には製造請負事業者改善推進協議会が運営している製造請負優良適正事業者認定制度を第1号で取得(14年4月更新)した。
「設備と敷地を持たない製造業」を標榜し、「人に付いた技術で日本のもの造りを支援する」をコンセプトとしている。アウトソーシング事業においては、当社に所属する現場改善コンサルタントと連携したサービス提供して、顧客企業の製造現場における生産性向上、コスト削減、さらに「ものづくり力」強化に繋げていることが強みだ。
さらなる請負現場「ものづくり力」の高度化のために、中核になる生産管理者の育成を強化するとともに、製造企業OBシニア層の技術を再開発し、製造現場の改善をワンストップで提案できる体制を構築することに経営資源を最優先で投資している。
また従来の派遣・請負会社のイメージを脱却し、社内で育成した人材を社会に還元する「教育会社」を目指している。そして社員に対しては、キャリアカウンセリングやメンタル支援などの従業員支援制度(EAP=Employee Assistance Program)をベースとして、資格・技能取得支援制度によるキャリアアップ制度を運用し、有期雇用から無期雇用へと転換するステップを用意している。
■長期的に売上高営業利益率8%を目指す
主要取引先は、テルモ<4543>(15年6月期売上構成比47.1%)向けを主力として、LIXILグループ、TOPPANグループ、TOTOグループ、トヨタグループ、リコーグループ、三菱グループなどがある。
多種多様な業種・工程での実績を持ち、業界を超えた製造技術・ノウハウを蓄積していることも強みだ。そして国内に残る業種・商品分野に注力し、大手優良企業グループと強固な取引関係を構築している。
海外はベトナムとタイに現地法人(非連結子会社)を設置し、日本国内のエンジニア不足に対応した外国人技術者の採用、および東南アジア諸国の日系企業との取引拡大を推進している。今後はM&Aも積極活用する方針だ。
経営目標としてはグループ売上高200億円の早期達成を目指し、売上高営業利益率を中期的に5%、長期的に8%に向上させる方針だ。重点戦略としては、コンサルティング機能の強化や外国人技能者の積極的活用により、現場改善力・収益力を高めて差別化や顧客の囲い込みを推進する。
そして国内製造業向けアウトソーシング事業における既存取引先の事業所拡大・安定化、既存製造派遣取引先のインソーシング(製造請負)化、自社管理業務および既存インソーシング契約取引先業務の改善、新規取引先開拓(インソーシング案件獲得)、ハイエンド派遣・設計エンジニア派遣の拡大、海外スタディツアー・コンサルティング案件の拡大などを推進する。
■16年6月期増収増益基調
なお15年6月期の配当性向は24.9%だった。またROEは14年6月期比1.2ポイント低下して14.0%、自己資本比率は同5.2ポイント上昇して36.8%だった。
今期(16年6月期)の連結業績予想(8月13日公表)は、売上高が前期比11.4%増の100億17百万円、営業利益が同13.6%増の4億30百万円、経常利益が同13.6%増の4億32百万円、純利益が同30.9%増の2億53百万円としている。
主力のアウトソーシング事業が好調に推移し、業容拡大に向けた人員増加に伴う労務費の増加や採用コストの増加などを吸収して増収増益予想だ。売上総利益率は同0.5ポイント上昇の17.9%、販管費比率は同0.4ポイント上昇の13.6%の計画としている。純利益については投資有価証券評価損や関係会社出資金評価損などの一巡も寄与する。
セグメント別売上高の計画は、主力のアウトソーシング事業が同11.9%増の88億75百万円、技術者派遣事業が同3.9%増の9億50百万円、その他事業が同30.6%増の1億92百万円の計画としている。
アウトソーシング事業では、既存取引先の生産計画などを検討した結果、主要取引先で同約5%増収、その他の既存取引先で同約14%増収、新規取引先(主に製造派遣)の開拓は前期並みの水準を想定し、稼働人員数は同400名増(同14.2%増)の3212名、OS取引先数は同14社増(14.6%増)の110社の計画としている。
なお新規拠点開設は、国内ではアウトソーシング事業7拠点(岩手、栃木、東京・秋川、静岡・沼津、滋賀、広島、福岡)および海外コンサルティング事業1拠点(インドネシア駐在所)の開設を準備する計画だ。
配当予想については同2円12銭増配の年間37円34銭(期末一括)としている。予想配当性向は25.0%となる。利益配分については、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当の継続という観点から配当性向25%を基本としている。
なお、企業が同じ職場で派遣労働者を使える期間の制限(最長3年)を事実上撤廃する労働者派遣法改正案については、施行日を9月1日から9月30日に修正して9月9日に参院で可決し、衆院に回付された。そして11日の衆院本会議で可決、成立する見込みだ。派遣事業拡大に追い風となりそうだ。
■株価は底打ちの可能性、ファンダメンタルズ面を評価して反発のタイミング
株価の動きを見ると、7月のIPO直後の高値2783円から反落し、悪地合いも影響して調整局面だ。8月25日には1388円まで調整した。ただしその後は1500円台に戻して下げ渋る動きだ。高値から半値水準で底打ちした可能性がありそうだ。
9月10日の終値1590円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS149円97銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間37円34銭で算出)は2.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1089円89銭で算出)は1.5倍近辺である。なお時価総額は約28億円である。
7月10日のIPOから2ヶ月で落ち着きどころを探る時期とも言えるが、週足チャートで見ると1400円近辺で下ヒゲをつけて下げ渋る動きだ。16年6月期増収増益基調であり、指標面では割安感のある水準だ。8月安値で底打ちした可能性があり、ファンダメンタルズ面を見直して反発のタイミングだろう。労働者派遣法改正案の成立(9月11日見込み)も注目点だ。