JR東海(東海旅客鉄道)<9022>(東証プライム)は16日、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組みの一環として、水素を燃料とした「水素動力車両」の開発に着手したと発表。燃料電池と水素エンジンの両方を動力源として検討し、山間部が多く長距離となる非電化路線への適合可能性を模擬走行試験で検証する。
水素動力車両は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンの替わりに、水素を燃料とする燃料電池又は水素エンジンを活用する。また、燃料電池又は水素エンジンから得られる電気と蓄電池の電気で走行する「水素動力ハイブリッドシステム」の導入を目指していく。水素動力車両の導入により、走行時のCO2排出量をほぼゼロに抑えることができる。
模擬走行試験は、小牧研究施設にある車両走行試験装置と水素供給設備を組み合わせて行う。車両走行試験装置は、レールを模した軌条輪の上で台車を走行させることで、勾配等の実際の走行条件を模擬できる装置。燃料電池と水素エンジンは、それぞれ出力やエネルギー効率等の特性が異なるため、模擬走行試験等で、これらを動力源とした場合の鉄道車両の走行性能や、山間部が多く長距離となる非電化路線への適合可能性等を検証する。
スケジュールは、2023年11月に燃料電池を活用した模擬走行試験を開始し、2024年度以降に水素エンジンを活用した模擬走行試験を行う予定。車両開発は、日本車輌製造<7102>(東証プライム)とJR東海が共同で行う。車両制御装置は、水素動力ハイブリッドシステム用の制御装置を東芝インフラシステムズと開発している。燃料電池は、トヨタ自動車<7203>(東証プライム)製の燃料電池モジュールを使用する。鉄道車両用の水素エンジンは、i Labo株式会社と開発していく。将来の水素供給体制について、ENEOSホールディングス<5020>(東証プライム)のENEOSと検討を開始する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)