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ASIAN STARは反発の動き、23年12月期3Q累計赤字拡大だが通期黒字予想据え置き
- 2023/11/24 10:00
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ASIAN STAR(エイシアンスター)<8946>(東証スタンダード)は国内と中国で不動産関連事業を展開し、成長戦略として不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。23年12月期第3四半期累計は大幅減収で赤字拡大した。不動産販売事業において、不動産相場並びに建築資材高騰などを背景として開発を慎重に吟味している。ただし通期増収・黒字予想を据え置いている。積極的な事業展開により、通期ベースでの収益改善を期待したい。株価は年初来安値圏だが調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■国内と中国で不動産事業を展開
国内と中国で不動産関連事業を展開し、中国の上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携している。
22年12月期のセグメント別売上高構成比は、不動産販売事業が45%、不動産管理事業が23%、不動産賃貸事業が16%、不動産仲介事業が16%、投資事業が0%だった。セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は、不動産販売事業が18%、不動産管理事業が37%、不動産賃貸事業が22%、不動産仲介事業が22%、投資事業が1%だった。
国内では従来の主力だった投資用マンション開発・販売を縮小し、過去に販売した投資用マンション「グリフィンシリーズ」を中心とする安定収益源の管理・賃貸・仲介、および横浜エリアでの戸建住宅販売にシフトしている。投資事業を行う子会社のASIAN STAR INVESTMENTSは、民泊施設運営代行のオールステイへの投資を実行している。
中国ではベルグラビアグループを買収して、サービスアパート運営管理事業、およびワンルームマンション賃貸事業を展開している。
20年12月には子会社の柏雅香港が、資本提携先の中国・徳威企業の子会社である徳威不動産グループ3社(徳威不動産、U-HOME、特庫伊投資)を子会社化した。中国事業全般の事業管理および資金管理を柏雅香港に集約して中国事業の事業規模拡大を推進する。
21年12月には、連結子会社(孫会社)で中国においてワンルームマンション賃貸を行っている陽光智寓(香港)の全株式、および上海陽光智寓の全持分を譲渡し、連結から除外した。今後の中国における賃貸管理事業については、引き続き子会社の柏雅酒店管理(上海)有限公司、上海優宏資産管理有限公司、上海特庫伊投資管理有限公司が行う。
23年7月には第三者(YEAR GOLD、QUEEN VENATION、Rila Internationalの3社)割当増資を実行した。発行新株式数は450万株、発行価額は1株につき89円で、資金使途は戦略的投資としている。
■付加価値創造事業分野のアジア展開も推進
中期成長戦略として、事業戦略では不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、投資戦略では企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。
付加価値創造事業分野のアジア展開では、新たな事業ドメインとして医療・健康など「日本において高い付加価値を誇る事業分野のアジア展開のサポート」を推進する方針だ。
20年12月には中国・海南太禾控股集団と戦略提携した。海南省・紅旗国際健康産業タウンプロジェクトを推進する。そして21年2月には、中国・海南太禾控股集団の子会社である中国・海南太禾健康産業と合弁会社設立に向けた契約を締結した。中国・海南太禾控股集団との戦略提携の一環として、紅旗国際健康産業タウンへの日本企業の誘致、日本製先端医療機器・医薬品・サプリメントなどの中国への導入・販売支援等を事業目的とする。
21年9月には、健康コンサルティング会社の中国・広東泛華藍十字健康管理公司と、医療健康サービス分野における戦略提携で覚書を締結した。広東泛華藍十字健康管理公司の親会社である中国・泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して、訪日健康診断・先進医療治療・医療ツーリズム等のコーディネートサービスを計画している。日本の高水準の医療健康サービスを提供する。
財務戦略では、資本市場を活用した資金調達の検討、財務レバレッジを利用した不動産投資の実施、配当戦略では利益水準に応じた安定的配当の実施、トータル・シェアホルダー・リターン(TSR)等の指標の検討を実施する。なお21年1月には指名・報酬委員会の設置を発表した。コーポレートガバナンスの一層の充実を図る。
■23年12月期3Q累計赤字拡大だが通期黒字予想据え置き
23年12月期の連結業績予想は、売上高が22年12月期比27.6%増の31億77百万円、営業利益が0.3%増の48百万円、経常利益が4.5%増の44百万円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%減の32百万円としている。
第3四半期累計は売上高が前年同期比23.1%減の14億35百万円、営業利益が1億19百万円の損失(前年同期は2百万円の損失)、経常利益が1億21百万円の損失(同7百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が1億23百万円の損失(同8百万円の利益)だった。大幅減収で赤字拡大した。不動産販売事業において、不動産相場並びに建築資材高騰などを背景として開発を慎重に吟味している。
不動産販売事業は売上高が49.1%減の4億43百万円、営業利益(全社費用等調整前)が8百万円の損失(同46百万円の利益)だった。不動産相場並びに建築資材高騰などを背景として開発を慎重に吟味しているため大幅減収だった。不動産管理事業は売上高が0.0%減の4億34百万円、営業利益が28.6%減の73百万円だった。新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されたが、稼働を正常に復旧させるための営業費用が増加して減益だった。不動産賃貸事業は売上高が2.6%減の2億87百万円、営業利益が32.4%減の44百万円だった。駐車場の稼働率が低下した。不動産仲介事業は売上高が1.6%増の2億70百万円、営業利益が21.0%減の25百万円だった。グループ内の組織変更の影響で減益だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が4億67百万円で営業利益が49百万円の損失、第2四半期は売上高が4億円で営業利益が33百万円の損失、第3四半期は売上高が5億68百万円で営業利益が37百万円の損失だった。
通期の連結業績予想は据え置いている。セグメント別の売上高計画は不動産販売事業が45.5%増の16億38百万円、不動産管理事業が7.6%減の5億35百万円、不動産賃貸事業が13.3%増の4億43百万円、不動産仲介事業が34.3%増の5億25百万円としている。
中国・上海ロックダウンの影響が和らぐことも寄与して大幅増収・営業利益横ばい予想としている。重点戦略として横浜エリアを中心とした不動産管理・販売、タワーマンション等の大型物件の斡旋、中国における仲介件数・管理受託件数の増加などを推進するとしている。第3四半期累計は赤字拡大したが、売上計画の多くを下期に想定している。積極的な事業展開により、通期ベースでの収益改善を期待したい。
■株主優待制度は毎年6月末・12月末の株主対象
株主優待制度は毎年6月末および12月末の50単元(5000株)以上保有株主を対象として実施している。ASIAN STARプレミアム優待倶楽部において、保有株式数に応じた優待ポイントで食品や電化製品などの商品に交換できる。
■株価は反発の動き
株価は年初来安値圏だが調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。11月22日の終値は88円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円69銭で算出)は約52倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS88円49銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約21億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)