■師走相場でリベンジを狙う不完全燃焼銘柄、パチンコ・花粉症関連株は買いか?
決算発表が終了し決算集計も一段落、11月相場の決算プレーが一巡した。今週央29日の月替わりから、いよいよ師走相場がスタートする。と同時にここまで11カ月、今年のパフォーマンスもほぼ固まり掛け、投資家サイドでは勝ち組と負け組とはいわないまでも、半導体関連株などのハイテク株を中心に上手く立ち回った完全燃焼組と、銘柄選択で立ち遅れもやもやしたまま年を越すかもしれない不完全燃焼組に色分けされる現実を突きつけられる。日経平均株価は年初来30%、TOPIX(東証株価指数)でも27%上昇しており、これに及ばない不完全燃焼組は残り1カ月、「餅代稼ぎ」、「ミルク稼ぎ」、「掉尾の一振」のリベンジ相場に力が入り期待を高めることになる。
上場会社サイドでも、完全燃焼、不完全燃焼の格差拡大が歴然となる。代表は、決算発表で業績を上方修正した銘柄と下方修正した銘柄の明暗である。なかでも不本意と想像されるのが、業績を上方修正し配当も増配しながら、マーケットから高値評価されなかった不完全燃焼銘柄だろう。半導体関連株のなかには、業績を下方修正しながら高値追いとなっている銘柄も少なくなく、その人気ぶりに割を食っていると目をそらしたかったに違いない。来年1月からスタートする新NISA(少額投資非課税制度)では、個人投資家の銘柄選別がより厳しくなると想定されるなかで由々しき事態である。
不完全燃焼には、無理もない側面もある。7~9月期決算の発表では6割の企業が市場予想を上回る好決算で着地して業績の上方修正オンパレードとなり、上場企業全体の今3月期通期純利益は、前期比13%増益と増益率を伸ばし3期連続の過去最高更新と分析された。時流に乗った主力銘柄以外の脇役銘柄では、少々の業績の上方修正程度では埋没状態となり買いの手も鈍く株価反応も一時的、限定的にとどまったことは否定できないからだ。
この不完全燃焼銘柄の一角に位置するのが、パチンコ・パチスロ関連株と花粉症関連株である。パチンコ・パチスロ関連株は、業績上方修正銘柄が相次ぎ、増配を同時発表する銘柄も多く、なかにはゲーム向け画像処理半導体関連株も含まれ、いまや世界トップの画像処理半導体メーカーとなった米国のエヌビデオとかつての業態との類似性を示している。ところが株価反応は、ストップ高とストップ安が交錯し、2回も業績を上方修正したグローリー<6457>(東証プライム)のケースでは、1回目は高値反応したものの2回目では材料出尽くしで下値追いとなってしまった。
一方、花粉症関連株は、これでもかこれでもかと政策アドバルーンを上げ続ける岸田文雄首相が、国民の4人に1人が罹患している国民病ともいわれる花粉症の発症を抑える対策として初期集中対応パッケージを閣議決定して推進中である。しかし内閣支持率が、30%を割って危険水域に突入したと懸念される岸田内閣の人気挽回策とみなされてとくに関心を集めることもないままだ。同じ政策関連株でも半導体関連株が、経済安全保障策をフォロー材料に軒並み高となっているのに比べて割を食ったことになる。
師走相場は、また大蔵ざらえの季節でもある。在庫一掃セールである。この在庫のなかに「残り物に福」があるとすれば、不完全燃焼のバチンコ・パチスロ関連株や花粉症関連株には、完全燃焼するための資格条件が十分に備わっているはずである。パチンコ・パチスロは、年末・年始レジャーの需要期入りとなり、来年7月の新紙幣発行関連需要も先取りし、花粉症も、新年3月早々にも花粉の飛散が始まるだけに、フォローアップの材料も期待できそうで、「餅代稼ぎ」、「ミルク稼ぎ」、「掉尾の一振」の師走リベンジ相場を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)