巴工業は23年10月期が計画超の増収増益で配当を上方修正
- 2023/12/15 09:22
- 決算発表記事情報
(決算速報)
巴工業<6309>(東証プライム)は、12月14日の取引時間終了後に23年10月期連結業績を発表した。化学工業製品販売事業の好調が牽引し、前回予想を上回る増収増益で着地した。24年10月期も増収増益予想としている。会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針、中期経営計画の最終年度業績目標値の上方修正、配当方針の変更と配当予想の上方修正、および株主優待制度の変更も発表している。株価は上値を切り下げる形となったが調整一巡感を強めている。好業績や増配を評価して戻りを試す展開を期待したい。
■23年10月期増収増益、24年10月期も増収増益予想
23年10月期連結業績は売上高が22年10月期比8.9%増の496億28百万円、営業利益が22.7%増の40億48百万円、経常利益が20.3%増の41億15百万円、親会社株主帰属当期純利益が2.8%増の27億33百万円だった。配当予想(23年6月7日付で年間合計24円上方修正、配当方針変更に伴い23年12月14日付で期末30円上方修正)は、22年10月期比57円増配の110円(第2四半期末40円、期末70円)とした。配当性向は40.2%となる。
化学工業製品販売事業の好調が牽引し、前回予想(23年6月7日付で上方修正、売上高484億60百万円、営業利益35億90百万円、経常利益36億円、親会社株主帰属当期純利益24億30百万円)を上回る増収増益で着地した。なお親会社株主帰属当期純利益については、特別利益で前期計上の固定資産売却益4億60百万円が剥落した一方で、当期の特別損失に減損損失1億78百万円を計上したため小幅増益にとどまった。
機械製造販売事業は、海外向けの伸長などで売上高が14.8%増の130億41百万円だが、販管費の増加などで営業利益は8.2%減の8億29百万円だった。売上高の内訳は、需要先別には官需が1.4%増の45億86百万円、民需が1.4%増の29億32百万円、海外が40.2%増の55億22百万円、製品別には機械が45.0%増の44億11百万円、装置・工事が2.5%増の11億52百万円、部品・修理が4.0%増の74億77百万円だった。
化学工業製品販売事業は、電気自動車用パワー半導体向け材料の大幅伸長などで売上高が6.9%増の365億87百万円、増収効果で人件費増加を吸収して営業利益が34.3%増の32億18百万円だった。製品別売上高は合成樹脂関連が0.5%増の52億98百万円、工業材料関連が4.3%減の57億38百万円、鉱産関連が建材・自動車用途向け材料の増加で14.7%増の56億30百万円、化成品関連が塗料・インキ用途向け材料の増加で5.3%増の85億73百万円、機能材料関連が電気自動車用パワー半導体向け材料の大幅伸長などで47.1%増の61億90百万円、電子材料関連が9.9%減の49億10百万円、その他(洋酒)が横ばいの2億46百万円だった。
なお四半期別にみると、第1四半期は売上高が111億28百万円で営業利益が5億58百万円、第2四半期は売上高が130億27百万円で営業利益が15億04百万円、第3四半期は売上高が116億68百万円で営業利益が8億26百万円、第4四半期は売上高が138億05百万円で営業利益が11億60百万円だった。
24年10月期の連結業績予想は売上高が23年10月期比4.4%増の518億円、営業利益が3.3%増の41億80百万円、経常利益が2.1%増の42億円、親会社株主帰属当期純利益が7.2%増の29億30百万円としている。配当予想は23年10月期比10円増配の120円(第2四半期末60円、期末60円)としている。予想配当性向は40.9%となる。
機械製造販売事業は、売上高が11.2%増の145億円で営業利益が20.6%増の10億円の計画としている。売上面は海外営業の強化などで増収、利益面は人件費の増加などを増収効果で吸収する見込みとしている。化学工業製品販売事業は、売上高が1.9%増の373億円で営業利益が1.2%減の31億80百万円の計画としている。売上面は東南アジアでのビジネス拡大などで増収だが、利益面は人件費や営業開発関係費用の増加などで小幅減益を見込んでいる。
会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお12月14日付で、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針、中期経営計画の最終年度業績目標値の上方修正、配当方針の変更と配当予想の上方修正、および株主優待制度の変更も発表している。
■株価は戻り試す
株価は上値を切り下げる形となったが調整一巡感を強めている。好業績や増配を評価して戻りを試す展開を期待したい。12月14日の終値は2801円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS293円64銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の120円で算出)は約4.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3691円32銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約295億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)