【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インフォマートは自律調整の最終局面、7月高値目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 企業間電子商取引プラットフォームを提供するインフォマート<2492>(東マ)の株価は、全般地合い悪化が影響して10月17日の1708円まで調整する場面があった。しかし素早く切り返して足元では1900円台まで戻している。自律調整のほぼ最終局面のようだ。中期成長力を評価する流れに変化はなく7月高値2377円を目指す展開だろう。なお10月31日に第3四半期累計(1月~9月)の業績発表を予定している。

 フード業界向けのEC(電子商取引)プラットフォーム「FOODS info Mart」で、企業間(BtoB)電子商取引の「ASP受発注システム」「ASP規格書システム」「ASP商談システム」「ASP受注・営業システム」「クラウドサービス」を提供している。月額システム使用料収入が収益柱のストック型収益モデルだ。

 子会社はインフォライズがクラウドサービス事業、インフォマートインターナショナル(香港)が海外「FOODS info Mart」事業を展開している。アライアンス戦略では13年5月にJFEシステムズ<4832>、13年6月に東芝テック<6588>、13年11月に東京システムハウスと連携した。

 14年6月末時点の「FOODS info Mart」利用企業数(海外事業を除く)は、13年12月末比1570社増の3万5772社(売り手企業が同1364社増の2万8621社、買い手企業が同206社増の7151社)である。大手の食材卸売企業や外食・中食チェーンも利用し、電話やFAXからWebに切り替えて受発注する企業・店舗が増加基調である。

 13年の年間システム取引高は12年比16.6%増の8618億円で、外食産業における仕入金額ベースのシェアは12.4%まで上昇している。中期目標として年間システム取引高1兆円を掲げ、サービス拡充やホテル・給食業界への利用企業開拓も強化している。

 サービス拡充の一環として、14年2月にフード業界企業向け総合マーケティングサービス「BtoB F-Marketing」を開始し、14年4月にフード業界向け情報発信の総合ポータルサイト「フーズチャネル」を開設した。海外ではインフォマートインターナショナル(香港)が14年4月、台湾進出の日系企業向けに台湾版「FOODS info Mart」のサービス提供を本格的に開始した。

 更に中期成長を加速させる戦略として、業界標準化に向けたフード業界向けBtoBビジネスの強化、他業界BtoB展開の美容業界向け「BEAUTY info Mart」や医療業界向け「MEDICAL info Mart」による事業領域拡大、次世代BtoB&クラウドプラットフォーム拡販を推進している。

 10月14日には新サービス「ASP請求書システム」の開始を発表した。フード業界だけでなく請求書のやり取りがある全ての業界に対応できる仕組みで、取引先約3万6000社の11月分請求書から稼働する。また10月20日には、ヤマトホールディングス<9064>傘下のヤマトシステム開発とのデータ連携開始を発表した。

 今期(14年12月期)の連結業績見通しは前回予想(2月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比20.1%増の52億12百万円、営業利益が同85.9%増の20億35百万円、経常利益が同83.0%増の20億26百万円、純利益が同92.4%増の12億14百万円としている。配当予想は年間19円38銭(第2四半期末9円69銭、期末9円69銭)で、13年7月1日付の株式2分割および14年1月1日付の株式2分割を考慮すると、実質的に前期比8円82銭増配となる。

 ASP受発注システムなど各システムの利用企業・店舗数増加に伴ってシステム使用料収入が増加基調であり、アライアンスパートナーからの紹介による新規稼動数も増加傾向だ。既存プラットフォームの期間短縮償却が前期末に完了したため、ソフトウェア償却費が減少することも利益押し上げ要因となる。人件費増加などを吸収して大幅増収増益見込みだ。

 第2四半期累計(1月~6月)は前年同期比14.4%増収、同58.4%営業増益、同54.6%経常増益、同56.4%最終増益の大幅増益だった。通期見通しに対する進捗率は売上高が45.4%、営業利益が41.3%、経常利益が41.2%、純利益が41.4%だったが、利用企業数増加によって利益が積み上がるストック型収益構造であることを考慮すれば高水準だろう。通期利益見通しには上振れ余地がありそうだ。

 14年の年間システム取引高は13年比9.1%増の9400億円の計画であり、中期目標の1兆円は15年に達成の可能性が高まっている。業界標準化が進んで利用企業数は増加基調であり、新規分野への事業展開も寄与して中期的に成長加速が期待される。

 株価の動きを見ると、全般地合い悪化が影響して1800円~2000円近辺でのモミ合いから下放れの形となり、10月17日の1708円まで調整する場面があった。しかし素早く切り返して足元では1900円台まで戻している。7月高値2377円からやや水準を切り下げたが、自律調整のほぼ最終局面だろう。

 10月29日の終値1919円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS38円76銭で算出)は50倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間19円38銭で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS110円28銭で算出)は17倍近辺である。週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返して、一旦割り込んだ26週移動平均線回復の動きを強めている。中期成長力を評価する流れに変化はなく、調整が一巡して7月の高値2377円を目指す展開だろう。

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