■TOB合戦は今後も注目
第一生命ホールディングス(HD)<8750>(東証プライム)は21日、企業向け福利厚生サービスのベネフィット・ワン<2412>(東証プライム)に対するTOB(株式公開買い付け)価格を2123円に決定したと発表。1株当たりの株式価値を1800円と前提とした場合に、パソナグループ<2168>(東証プライム)が公開買付に応じた場合に生じるみなし配当の額を計算し、その税引後手取り額と同等となるように算出した結果、この価格となった。
第一生命HDは、ベネフィット・ワンの保険業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために、完全子会社化を目指している。TOBは2024年1月中旬から実施される予定で、対象者やパソナグループの同意が得られれば、2024年3月末までの成立を目指す。
■エムスリー対抗でTOB価格引き上げ
第一生命HDは、2023年12月7日にベネフィット・ワンに対するTOBを発表していた。TOB価格は1株当たり1800円で、エムスリー<2413>(東証プライム)が11月発表したTOB価格(1株当たり1600円)を上回るものだった。
今回のTOB価格決定にあたり、公開買付価格の最大化と株主間の公平性を両立させるという観点から、パソナグループが本公開買付に応じた場合に生じる税務メリットを、その他の一般株主の皆様にも共有されるような形で設定したとしている。
■2024年3月末までの成立を目指す
第一生命HDは、TOB価格を決定したことで、TOBに向けた準備を本格化させる。TOBは2024年1月中旬から実施される予定で、対象者やパソナグループの同意が得られれば、2024年3月末までの成立を目指す。
TOB成立となれば、第一生命HDはベネフィット・ワンを完全子会社化することとなる。完全子会社化により、第一生命HDはベネフィット・ワンの保険業界におけるDXを推進し、収益拡大を目指す。
一方、エムスリーは、第一生命HDのTOB価格に対抗し、TOB価格を引き上げる可能性もある。エムスリーは、ベネフィット・ワンの医療情報事業を軸に、ヘルスケア領域での事業拡大を目指している。第一生命HDとエムスリーのTOB合戦は、今後も注目される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)