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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】マルマエは16年8月期も増収増益基調、高値圏目指す
- 2015/9/17 06:55
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マルマエ<6264>(東マ)は半導体・FPD製造装置に使用される真空部品などの精密切削加工事業を展開している。株価は悪地合いの影響で年初来高値圏800円近辺から反落したが、9月7日の直近安値497円から切り返して600円台まで戻している。16年8月期も増収増益基調が予想され、高値圏を目指す展開だろう。
■真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開
半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開し、新規分野として光学装置・通信関連分野なども強化している。
15年1月に事業再生計画(11年7月に事業再生ADR成立)の終結を発表した。16年10月末日の最終弁済をもって終了する計画だったが、強固な収益体質の確立と財務体質の改善に目途がついたため、終了期間を前倒しして15年1月末日をもって事業再生計画を終結した。そして債務の株式化を行ったA種優先株式については15年5月に取得(246株、1株につき100万円)して消却した。
なお9月12日に、商工組合中央金庫とのコミットメントライン契約(借入限度額50百万円)および当座貸越契約(借入限度額1億50百万円)の締結を発表した。事業展開での資金需要に伴う手元資金の一時的な減少を防ぎ、経営のさらなる安定化を図る。
また9月12日に監査等委員会設置会社に移行する方針を決定したと発表した。15年11月開催予定の第28期定時株主総会において承認されることを条件に実施する。
■15年8月期は大幅増収増益予想、16年8月期も増収増益基調
前期(15年8月期)の非連結業績予想(6月5日に2回目の増額)は売上高が前々期比32.5%増の21億円、営業利益が同49.5%増の4億円、経常利益が同50.6%増の3億85百万円、純利益が同30.6%増の3億95百万円としている。半導体・FPD製造装置関連の受注が高水準に推移して大幅増収増益予想だ。
第3四半期累計(9月~5月)は、売上高が前年同期比33.2%増の15億82百万円で、営業利益が同49.9%増の3億11百万円、経常利益が同53.3%増の3億04百万円、純利益が同51.9%増の3億16百万円だった。
半導体・FPD製造装置関連を中心に受注が好調に推移し、増収効果と生産性向上効果で大幅営業増益だった。特別利益には「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業に係る補助金」15百万円を計上した。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)3億84百万円、第2四半期(12月~2月)6億39百万円、第3四半期(3月~5月)5億59百万円、営業利益は第1四半期41百万円、第2四半期1億30百万円、第3四半期1億40百万だった。収益改善基調を鮮明にしている。
15年8月度の月次受注残高(速報値)を見ると、半導体分野が1億58百万円(前月比0.5%減、前年同月比68.7%増)、FPD分野が2億37百万円(前月比5.8%減、前年同月比322.7%増)、その他分野が47百万円(前月比5.1%増、前年同月比243.3%増)、合計が4億43百万円(前月比2.8%減、前年同月比170.4%増)だった。前月比では僅かに減少したが前年同月比では大幅増だった。
半導体分野は受注および出荷検収とも高水準に推移した。半導体製造装置市場に減速感が見られるなかでも、当社の受注は消耗品が多いため影響は軽微のようだ。FPD分野は受注が好調を維持しながら出荷検収が本格化した。高水準の受注が当面持続する見込みだ。その他分野では各種携帯端末の需要動向が不透明だが、一定の受注は確保できる見通しとしている。
全般的には半導体製造装置分野の真空パーツを中心に新規部品の受注が拡大基調であり、生産能力の増強が課題としている。こうした環境のなか、社内生産能力の増強および生産性の改善に加えて、協力企業との取引拡大により生産能力を高めることで出荷拡大を図るとしている。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.3%、営業利益が77.8%、経常利益が79.0%、純利益が80.0%と高水準である。増収効果や生産性向上効果で売上原価率の一段の改善が期待され、15年8月期業績の会社予想は3回目の増額の可能性があるだろう。そして16年8月期も増収増益基調が予想される。
なお7月14日に96年のマザーズ上場以来初めてとなる配当実施を発表した。15年1月末日をもって事業再生計画を終了したことや、第3四半期までの利益状況を鑑みて年間36円(期末一括)の配当を実施する。予想配当性向は16.0%となる。
■株価は悪地合いの売り一巡して高値圏目指す
株価の動き(15年9月1日付で株式3分割)を見ると、悪地合いの影響で年初来高値圏800円近辺から反落して水準を切り下げたが、9月7日の直近安値497円から切り返して600円台まで戻している。悪地合いの売りは一巡したようだ。
9月16日の終値604円を指標面(株式3分割後)で見ると、前期推定PER(会社予想に株式3分割を考慮したEPS74円98銭で算出)は8倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間36円を株式3分割後の年間12円に換算して算出)は2.0%近辺、前々期実績PBR(前々期実績に株式3分割を考慮したBPS28円67銭で算出)は21倍近辺である。なお時価総額は約34億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から反発してサポートラインを確認した形だ。そして一旦割りこんだ13週移動平均線回復の動きを強めている。16年8月期も増収増益基調が予想され、高値圏を目指す展開だろう。