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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ミロク情報サービスは16年3月期増収増益基調、マイナンバー制度への対応も強化
- 2015/9/18 07:12
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ミロク情報サービス<9928>(東1)は財務・会計ソフトの開発・販売やコンサルティングサービスなどを展開し、マイナンバー制度への対応も強化している。株価は悪地合いの影響で水準を切り下げたが、調整が一巡して強基調に回帰する動きだ。16年3月期増収増益基調で指標面に割高感はなく、7月の年初来高値を目指す展開だろう。
■財務・会計ソフトの開発・販売およびサービス収入が収益柱
会計事務所(税理士・公認会計士事務所)と、その顧問先企業である中堅・中小企業向けに、財務・会計ソフトなど業務用アプリケーションソフト開発・販売、汎用サーバ・パソコン・サプライ用品販売、運用支援・保守サービス、経営情報・コンサルティングサービスなどを展開している。
収益柱は、システム導入契約売上高(システム導入契約時のハードウェア、ソフトウェア、およびシステム導入支援サービスなどのユースウェアの販売)と、サービス収入(会計事務所向け総合保守サービスTVS、ソフト使用料収入、企業向けソフトウェア運用支援サービス、ハードウェア・ネットワーク保守サービス収入など継続的な役務の対価)である。
会計事務所が抱えている課題を解決することで中堅・中小企業支援にも繫がるトータルソリューションが強みである。全国約8400の会計事務所ユーザーおよび約1万7000社の中堅・中小企業ユーザーを有し、サービス収入などのストック型収益構造を特徴としている。13年10月には、連結会計システム開発のプライマルと資本・業務提携して、連結会計や連結納税までグループ経営支援ソリューションの提供を強化している。
■中期計画でROE17年3月期15%、21年3月期30%目指す
14年5月に発表した第3次中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では、経営目標数値として17年3月期の売上高260億円、経常利益40億円、純利益24億50百万円、売上高経常利益率15%、ROE15%を掲げた。さらに新たな成長ステージとなる21年3月期には売上高500億円、経常利益率30%、ROE30%を目指している。
重点戦略としては、顧客基盤拡大に向けた販売戦力増強と販路拡大(市場ポテンシャルに合わせた人的リソース配分適正化、販社M&Aも活用したエリア拡大、顧客サポート体制と経営情報サービスの充実など)、新規顧客を創造する新製品・サービス開発(マルチデバイス対応クラウドサービスなど)、新規事業による新たな収益基盤確立(利益率向上に向けた事業ポートフォリオ再設計、中小企業の事業承継・事業再生支援サービスへの参入など)を推進する。
■M&A・アライアンス戦略も活用して新規事業を積極展開
新規事業関連では、登録会員数約130万人の中小・ベンチャー企業支援ビジネス情報サイト「bizocean(ビズオーシャン)」のクラウド拡充とネットビジネスへの展開、マルチデバイス対応お金管理アプリ「マネトラ」による消費者間取引(CtoC)市場への参入、経済団体・FC企業への会計クラウドサービスの提供などを推進している。
14年5月には全国商工会連合会の会員事業者向け「会計・税務のクラウド型アプリケーションソフト」を開発し、14年8月にはソフトテックス社から完全Web対応クラウド販売管理システム「商い哲人EX」を譲り受け、14年9月には中小企業の事業承継や事業再生を支援する子会社MJS・M&Aパートナーズを設立した。
14年10月にはCtoC向けクラウド型会計アプリ「フリビズbyマネトラ」の提供を開始した。また韓国の電子金融専門企業Webcash(ウェブキャッシュ)社と資本業務提携した。韓国Webcash社と日本法人(14年11月MWIに社名変更)の株式を取得し、新たなクラウドサービスを共同開発して日本国内で事業展開する。14年12月にはクラウド型POSシステムのオフィス24グループと業務提携した。
15年1月には次世代サービス共同開発を目的として、次世代Web標準言語HTML5を活用したWebソリューション開発に強みを持つニューフォリアに出資して資本提携した。
15年4月には一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)へ加盟した。税理士・公認会計士事務所と中堅・中小企業の経営革新を推進し、その繁栄に寄与するという経営方針のもと、日本経済の発展に貢献できるよう企業としての社会的責任を果たせるよう努めるとしている。
■16年3月期増収増益基調
なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)56億22百万円、第2四半期(7月~9月)56億41百万円、第3四半期(10月~12月)54億77百万円、第4四半期(1月~3月)56億43百万円、営業利益は第1四半期5億96百万円、第2四半期7億06百万円、第3四半期4億56百万円、第4四半期7億66百万円だった。
また15年3月期の連結配当性向は26.9%だった。ROEは14年3月期比1.0ポイント上昇して13.7%、自己資本比率は同4.2ポイント上昇して67.8%だった。
今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比5.4%増の236億円、営業利益が同18.8%増の30億円、経常利益が同16.0%増の30億円、純利益が同3.0%増の18億10百万円としている。配当予想は前期と同額の年間15円(期末一括)で、予想配当性向は26.1%となる。
純利益は投資有価証券売却益の一巡で伸び率が鈍化するが、売上面では15年3月期末のシステム導入契約の受注残高が高水準であり、中堅・中小企業向けERPシステムの拡販、新規顧客の開拓、ソフト保守サービス契約率の上昇などで、システム導入契約売上高およびサービス収入とも順調に拡大する。売上総利益率の計画は同1.9ポイント上昇の65.9%で、人件費増加などを吸収して増収増益基調だ。
第1四半期(4月~6月)は売上高が前年同期比4.7%増の58億88百万円、営業利益が同15.2%増の6億86百万円、経常利益が同12.8%増の6億98百万円、純利益が同14.5%増の4億22百万円だった。
顧客基盤拡大に向けたセミナーや研修会の開催、総合イベントへの主力製品の出展など積極的な販促活動を展開し、主力システムの機能強化やマイナンバー制度施行に向けた新製品「MJSマイナンバー」の開発を進めた。こうした施策が奏功して増収、2桁増益と順調に推移した。
品目別売上高は、システム導入契約売上高が同2.2%増の37億33百万円、サービス収入が同7.9%増の20億09百万円だった。システム導入契約売上高ではソフトウェアが同6.3%増、サービス収入ではソフト使用料収入が同11.4%増、企業向けソフトウェア運用支援サービスが同9.0%増と好調だった。そしてストック型収益であるサービス収入の売上構成比が上昇した。
通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が25.0%、営業利益が22.9%、経常利益が23.3%、純利益が23.3%である。ストック型の収益構造を考慮すれば概ね順調な水準だろう。16年1月施行に向けたマイナンバー制度関連需要も追い風であり、通期ベースでも増収増益基調が予想される。
■マイナンバー制度への対応も強化、収益拡大基調
なお9月15日に、中堅・中小企業向けにマイナンバー収集・保管など一連の業務を代行する「MJSマイナンバーBPO」サービスを10月から開始すると発表した。マイナンバー制度導入に伴う企業の人事部門などの作業負荷を削減するBPOサービスで、マイナンバー対応のコンサルティングサービス、9月提供開始予定のマイナンバー管理システム「MJSマイナンバー」(オンプレミス版・クラウド版)とともに、マイナンバーに関する企業ニーズに対応する。
また9月30日~10月2日開催(東京ビッグサイト)ITpro EXPO「Security & Governance 2015」に出展する。マイナンバー制度への対応をテーマにしたソリューションを紹介する。
既存のソフトウェア関連事業の拡大に向けて新規顧客の拡大と収益基盤の強化に注力するとともに、クラウドサービスやマルチデバイス対応など新たな製品・サービス、中小企業の事業承継・事業再生を支援するサービスも強化する方針だ。ストック型の収益構造であり、サービス収入の好調で売上総利益率の上昇も期待される。中期的にも収益拡大基調だろう。
■株価は悪地合いに伴う調整が一巡して強基調に回帰する動き
株価の動きを見ると、7月の年初来高値950円から反落し、悪地合いの影響を受けて8月25日に680円、9月7日に697円まで調整した。その後は700円台後半まで戻している。悪地合いに伴う売りは一巡したようだ。
9月17日の終値784円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS57円42銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS411円46銭で算出)は1.9倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。また週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返して26週移動平均線を回復した。調整が一巡して強基調に回帰する動きだ。16年3月期増収増益基調で指標面に割高感はなく、7月の年初来高値を目指す展開だろう。