アステナホールディングスの23年11月期は計画超の大幅増益で着地
- 2024/1/15 09:16
- 決算発表記事情報
(決算速報)
アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は1月12日の取引時間終了後に23年11月期連結業績を発表した。計画超の大幅増益で着地した。医薬事業における一部製剤の価格改定、HBC・食品事業における自社企画化粧品の伸長などが寄与した。24年11月期は不透明感を考慮して小幅営業増益予想としている。ただし23年11月期第1四半期をボトムとして営業利益が回復基調であることを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。また24年11月期を初年度とする中期経営計画(ローリング方式により連結数値計画を見直し)も公表した。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお1月1日に発生した令和6年能登半島地震の影響として、珠洲本社など一部オフィスの被害状況を精査中だが、東京本社および事業会社各社については通常通りの業務を行っている。株価は23年11月の昨年来高値圏から反落したが、高配当利回りや1倍割れの低PBRなども支援材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。
■23年11月期は計画超の大幅増益、24年11月期は小幅営業増益予想
23年11月期連結業績は売上高が22年11月期比4.7%増の519億84百万円、営業利益が37.6%増の11億27百万円、経常利益が53.7%増の13億63百万円、親会社株主帰属当期純利益が100.6%増の11億62百万円だった。配当は22年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)とした。配当性向は61.1%となる。
計画超の大幅増益で着地した。医薬事業における一部製剤の価格改定、既存製造受託品の伸長、HBC・食品事業における自社企画化粧品や健康食品の伸長などが寄与した。純利益については法人税等の減少も寄与した。なお特別利益では固定資産売却益が95百万円増加、投資有価証券売却益が2億10百万円減少、特別損失では投資有価証券評価損が80百万円減少、減損損失が3億82百万円増加した。
ファインケミカル事業は、売上高(外部顧客への売上高)が9.7%増の160億55百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が35.6%減の1億59百万円だった。スペラネクサスは医薬品原料販売が新薬メーカー向け中間体販売などにより好調だったが、スペラファーマの医薬品CDMO分野の利益率向上が遅れた。
HBC・食品事業は売上高が0.6%増の140億59百万円、営業利益が2.3倍の3億24百万円だった。マルマンH&Bにおける自社企画化粧品・健康食品の販売が好調だった。
医薬事業は売上高が12.8%増の132億59百万円、営業利益が46.1%増の5億73百万円だった。岩城製薬が22年12月に新製品として販売開始した抗真菌薬であるリコナゾール軟膏・クリームが好調に推移し、同業他社の一部製品販売中止に伴う代替需要としてゲンタマイシン軟膏やピコスルファートナトリウム内用液などが伸長した。7月1日付で帝人ファーマより承継したボンアルファ・ボンアルファイも好調だった。岩城製薬佐倉工場では既存製造受託品の販売が計画を上回り、一部製剤の価格改定も寄与した。なお岩城製薬佐倉工場では高活性注射液棟の改修が完了し、23年11月から稼働開始した。
化学品事業は、売上高が7.4%減の85億93百万円で、営業利益が74百万円(22年11月期は1億56百万円の損失)だった。表面処理薬品の需要が低迷したが、コスト上昇分の価格転嫁や販管費の見直しなどを推進した。その他事業(人材事業、ふるさと納税事業、投資事業などの新規事業)は、売上高が16百万円(同2百万円)で、営業利益が1億03百万円の損失(同42百万円の損失)だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が127億85百万円で営業利益が92百万円の損失、第2四半期は売上高が140億72百万円で営業利益が3億円、第3四半期は売上高が138億17百万円で営業利益が4億77百万円、第4四半期は売上高が113億10百万円で営業利益が4億42百万円だった。営業利益は第1四半期をボトムとして回復基調である。
24年11月期の連結業績予想は、売上高が23年11月期比7.7%増の560億円、営業利益が2.0%増の11億50百万円、経常利益が15.7%減の11億50百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が40.7%増の6億90百万円としている。配当予想は23年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。予想配当性向は103.0%となる。
不透明感を考慮して小幅営業増益予想としている。ただし23年11月期第1四半期をボトムとして営業利益が回復基調であることを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。また24年11月期を初年度とする中期経営計画(ローリング方式により連結数値計画を見直し)も公表した。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は調整一巡
株価は23年11月の昨年来高値圏から反落したが、高配当利回りや1倍割れの低PBRなども支援材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。1月12日の終値は466円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円47銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS719円53銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約191億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)