【編集長の視点】グローリーは続落も14期ぶり最高純益更新と新紙幣発行特需を手掛かりに押し目買い交錯

 グローリー<6457>(東証プライム)は、前日18日に3円安の3018円と3営業日続落して引けた。日経平均株価が、11.58円安と3営業日続落したことから、年初来300円超高していた同社株にも利益確定売りが増勢となった。ただ下げ幅は限定的にとどまっており、今2024年3月期業績が、すでに2回上方修正され純利益が14期ぶりに過去最高更新と見込まれていることや、今年7月3日に新紙幣が発行され、関連特需が期待されることを手掛かりに押し目買いも交錯した。テクニカル的にも昨年10月14日安値2640円をボトムに逆三尊を形成し、昨年12月26日に発表した大型M&Aが影響してダメ押しをしたもののネックラインを上回ってきていることも、フォローの材料視されている。

■紙幣処理機の更新・改造が前倒しに進み遊技機向けカードシステムも好調

 同社の今2024年3月期業績は、四半期決算発表のたびに昨年8月、11月と2回上方修正された。売り上げは3500億円(前期比36.8%増)と続伸し、営業利益は430億円(前期は5億2200万円の黒字)、経常利益は410億円(同27億2000万円の赤字)、純利益は245億円(同95億3800万円の赤字)とV字回復を見込んだもので、純利益は、2005年3月期の過去最高(193億600万円)を14期ぶりに更新する。業績を悪化させていた半導体不足などの部材調達難が解消し、部材価格の上昇には製品価格改定で対応し、新紙幣発行を前にした紙幣硬貨入出金機や紙幣両替機などの紙幣処理機の更新・改造需要の前倒し、スマート遊技機向けのカードシステムの好調推移、円安・ドル高の進行などが業績を押し上げたもので、前期に計上した減損損失・投資損失約39億円が一巡したこともV字回復につながった。

 この20年ぶりの新紙幣発行では、関連特需は1兆2000億円とも観測されて同社の紙幣処理機の更新需要を拡大させるとみられており、来2025年3月期業績に本格寄与してくる。なお昨年12月には英国のクラウドベースで小売り業向けソフトウエア「ユニファイド・コマース・プラットフォーム」を展開するFlooid Topco社を313億円で取得・子会社化することを発表しており、小売業向けクラウドサービスなどの業容拡大を目指している。

■逆三尊のネックラインを上抜けPER6倍、PBR0.8倍の割安修正が加速

 株価は、昨年8月の今期業績の1回目の上方修正では昨年来高値3232円まで買われたが、同2回目の上方修正では限定的な反応にとどまり2640円まで調整し、同安値をボトムに10月安値、11月安値とともに逆三尊を形成した。大型M&A発表では財務悪化懸念から2675.8円とダメ押しをしたが、新年に入ってからの連騰で3000円台を回復しネックラインを上回ってきた。PERは6.8倍、PBRは0.83倍となお割安であり、昨年来高値更新から2017年12月につけた上場来高値4430円を目指そう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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