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And Doホールディングスは戻り試す、24年6月期は上振れ余地
- 2024/1/19 09:50
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
And Doホールディングス<3457>(東証プライム)は住まいのワンストップサービスを展開している。ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業、および不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて、不動産×金融サービスの深化による高収益化を目指す不動産テック企業である。24年6月期はハウス・リースバック事業など成長強化事業が牽引して増収増益・連続増配予想としている。通期会社予想に上振れ余地があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価はやや小動きだが、23年10月の直近安値圏から反発して下値を切り上げている。高配当利回りも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。なお2月13日に24年6月期第2四半期決算発表を予定している。
■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業
FCチェーンネットワーク構築による不動産情報のオープン化と、時代に即した不動産ソリューションサービスを提供する不動産サービスメーカーとして、住まいのワンストップサービスを展開している。さらにFinTechを活用して「不動産×金融」サービスの進化による高収益化を目指す不動産テック(不動産×IT)企業である。
不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。そして22年1月1日付で事業持株会社に移行(ハウス・リースバック事業は移行後も同社が運営)し、商号をAnd Doホールディングスに変更した。
FCチェーンネットワークや高齢化社会に対応した不動産ソリューションなど顧客接点・地域密着ネットワークを構築し、売買仲介を起点として住まい関連サービスにつなげる事業シナジーを強みとしている。さらに不動産事業を通じて世の中を安心、便利なサービスを提供する「不動産コンビニ」構想も掲げている。
23年4月にはハウスドゥ住宅販売が経済産業省の「IT導入補助金2023」でIT導入支援業者として採択(6度目の採択)され、不動産売買仲介WEBシステム「DO NETWORK」および不動産賃貸仲介WEBシステム「RENT Doシステム」が補助金対象ツールとして登録された。
■ストック収益型事業が収益柱
ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入など、ストック収益を積み上げるフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融事業、および不動産売買事業を成長強化事業と位置付けて収益の柱としている。ハウス・リースバック事業では取得した収益不動産物件の売却も進める。
23年6月期のセグメント別営業利益構成比(全社費用等調整前)は、成長強化事業が86%(フランチャイズ事業が26%、ハウス・リースバック事業が41%、金融事業が1%、不動産売買事業が22%)、不動産流通事業が7%、リフォーム事業が3%、その他が▲0%だった。不動産売買事業は大型物件などによって構成比が変動しやすい。
フランチャイズ事業の加盟契約数は23年6月期末時点で22年6月期末比9店舗増加して692店舗となった。20年9月に全国47都道府県すべてに出店契約を達成し、21年1月からはブランドロゴと店舗デザインを一新している。また賃貸不動産仲介事業の新ブランド「レントドゥ!」も展開している。中期的には25年に国内1000店舗、アジア5万店舗を目標としている。23年3月には、持分法適用会社(現地合弁会社)であるタイのH-DO社がタイのAAA社とFC契約を締結し、タイでのFC1号店をオープンした。
ハウス・リースバック事業では、23年6月期期末の保有物件数が22年6月期末比28件増加して673件、保有物件総額(簿価ベース)が13億19百万円増加して102億33百万円となった。契約件数は148件増加の1147件、物件取得数は137件増加の1147件だった。
金融事業では、リバースモーゲージの23年6月期の新規保証件数が95件増加の421件、期末保証残高が43億64百万円増加の131億69百万円、不動産担保融資の実行件数が28件減少の93件、期末融資残高が23億47百万円減少の24億75百万円となった。リバースモーゲージ保証事業は地域金融機関等との提携を推進するとともに、リバースモーゲージのさらなる普及拡大に向けて銀行代理業許可を取得している。楽天銀行の銀行代理業者として「楽天銀行リバースモーゲージ」の申込媒介を行う。そして23年11月にはリバースモーゲージの保証残高が150億円を突破した。なお不動産担保融資については戦略的に縮小させている。
23年7月には、IoTでスマートな宿泊体験を提供する宿泊施設LUXE TECH VILLA(ラグジュテックヴィラ)の第1号を奄美大島にオープンした。
■M&A・アライアンスも活用
業容拡大やサービスラインナップ充実に向けたM&A・アライアンスでは、19年8月に埼玉県草加市を中心に不動産売買・仲介を展開する小山建設グループを子会社化、20年7月に子会社の草加松原住建の商号をハウスドゥ・ジャパンに変更した。
21年7月には不動産サービス比較サイト「リビングマッチ」運営のリビン・テクノロジーズ<4445>と業務提携、21年9月には識学<7049>と業務提携、22年5月にはドキュサイン・ジャパンと不動産売買取引における電子契約システムで業務提携、22年12月には総合生活トラブル解決サービスのジャパンベストレスキューシステム(JBR)<2453>と提携、23年1月にはハウスドゥ住宅販売が住宅購入支援サービス「ゼロテ」を開発・提供するGOGENと業務提携、23年3月にはハウスドゥ住宅販売が完全会員制の家探しサービスHousii(ハウシー)を展開するSpeeeと業務提携した。
■中期経営計画(23年6月期~25年6月期)
中期経営計画(23年6月期~25年6月期)では目標数値に、25年6月期の売上高518億19百万円、営業利益41億79百万円、経常利益40億円、親会社株主帰属当期純利益26億40百万円、経常利益率7.7%を掲げている。配当性向は30%以上を基本水準とする。
事業セグメント別の25年6月期の計画は、フランチャイズ事業の売上高41.8億円で営業利益29.0億円、ハウス・リースバック事業の売上高214.2億円で営業利益28.3億円、金融事業の売上高14.1億円で営業利益6.0億円、不動産売買事業の売上高207.6億円で営業利益18.0億円、不動産流通事業の売上高20.4億円で営業利益6.4億円、リフォーム事業の売上高27.0億円で営業利益2.3億円としている。
成長強化事業の主要指標の計画(25年6月期)は、フランチャイズ累計加盟店舗数が865店舗、ハウス・リースバック事業の年間仕入契約数が1440件、リバースモーゲージ保証残高が506億円、リバースモーゲージ提携金融機関が100行、不動産売買のたな卸資産残高が140億円としている。
成長戦略として、成長強化事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、金融・リバースモーゲージ事業、不動産売買事業)のさらなる拡大、不動産×金融サービスの深化、高収益体質化の促進を推進する。なお20年8月にはDX推進本部を設立している。
23年6月には、Sanu社が提供する新たな法人向け会員制宿泊サービス「SANU 2nd Home(サヌセカンドホーム)の導入を発表した。福利厚生の一環として社員に対し、都市生活だけでは得られない創造的なインスピレーションとの出会いを提供する。
なお23年12月には百十四銀行と「114サステナビリティ・リンク・ローン」の融資契約を締結・実行した。またオリックス銀行と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の融資契約を締結・実行した。SDGs・ESG経営を推進し、不動産を活用したサービスの提供により、日本経済の活性化に貢献する方針としている。
■24年6月期増収増益予想、さらに上振れ余地
24年6月期連結業績予想は売上高が23年6月期比15.8%増の573億70百万円、営業利益が13.3%増の36億円、経常利益が7.2%増の36億円、そして親会社株主帰属当期純利益が8.2%増の23億76百万円としている。配当予想は23年6月期比3円増配の43円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は35.4%となる。
第1四半期は売上高が前年同期比60.1%増の153億89百万円、営業利益が182.9%増の9億70百万円、経常利益が191.7%増の8億47百万円、親会社株主帰属四半期純利益が219.4%増の5億58百万円だった。ハウス・リースバック事業と不動産売買事業が牽引して大幅増収増益だった。第1四半期として過去最高だった。
フランチャイズ事業は、売上高(調整前)が1.0%増の7億98百万円で、利益利益(調整前営業利益)が5.7%減の4億90百万円だった。利益面はプロモーション強化の影響で小幅減益だったが、売上面は加盟店舗数の増加により増収ペースへ回復基調となった。累計加盟店数(レントドゥ含む)は前年同期比14店舗増加して696店舗、累計開店店舗数は22店舗増加して629店舗となった。
ハウス・リースバック事業は、売上高が45.7%増の62億68百万円、利益が40.9%増の7億75百万円だった。HLBファンド15号への譲渡(40.1億円)を実施して大幅増収増益だった。契約件数は3件増加の301件、物件取得数は37件増加の300件、期末保有物件数は31件増加の711件、期末保有物件総額(退去分除く簿価ベース)は14億15百万円増加の109億39百万円となった。なお、営業外収益の匿名組合投資利益として計上しているHLBファンドからの利益分配18百万円をセグメント業績に含めると、セグメント営業利益は41.5%増の7億94百万円となる。
金融事業は売上高が32.6%減の1億11百万円で、利益が67.8%減の16百万円だった。不動産担保融資を戦略的に縮小(融資残高は17億71百万円減少の22億89百万円)しているため減収減益だったが、リバースモーゲージ保証は順調に拡大(新規保証件数が59件増加の145件、保証残高が49億32百万円増加の149億34百万円)している。
不動産売買事業は売上高が108.4%増の73億52百万円、利益が185.5%増の7億63百万円だった。取引件数は26件増加の172件だった。回転率向上による資本効率改善を目指し、中古住宅買取再販を強化している。
不動産流通(仲介)事業は売上高が9.0%減の4億32百万円、利益が0.6%減の1億50百万円だった。仲介件数は124件減少して433件だった。成長強化事業への人員シフトを進めているため減収減益だが、計画比進捗率は順調だった。
リフォーム事業は、売上高が7.3%増の6億08百万円、利益が48.6%増の52百万円だった。契約件数は24件減少の391件、完工件数は36件減少の393件だった。成長強化事業への人員シフトを進めているが、単価上昇や生産性向上の効果で増収増益だった。
通期の連結業績予想は据え置いている。成長強化事業のフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産売買事業が牽引し、連続で過去最高を更新する見込みとしている。
セグメント別の営業利益(調整前)計画はフランチャイズ事業が9.5%増の22億50百万円、ハウス・リースバック事業が3.1%増の33億50百万円、金融事業が3.3%増の1億20百万円、不動産売買事業が24.6%増の22億20百万円、不動産流通事業が8.4%減の5億円、リフォーム事業が0.8増の2億20百万円としている。
なお23年11月にはHLB16号ファンドに対するハウス・リースバック事業の不動産信託受益権の譲渡が完了(譲渡益は4億67百万円)した。また23年12月にはHLB17号ファンドに対するハウス・リースバック事業の不動産信託受益権の譲渡が完了(譲渡益は3億98百万円)した。
24年6月期も増収増益・連続増配予想としている。第1四半期が大幅増収増益と順調であり、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開収益拡大基調だろう。
■株主優待制度を再開
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は23年6月期末対象から再開し、毎年6月末日現在の5単元(500株)以上保有株主を対象に、保有株式数に応じて、株主限定特設ウェブサイト「And Doホールディングス・プレミアム優待倶楽部」で商品に交換できるポイントを贈呈している。
■株価は戻り試す
株価はやや小動きだが、23年10月の直近安値圏から反発して下値を切り上げている。高配当利回りも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。1月18日の終値は1053円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS121円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の43円で算出)は約4.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS784円67銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約210億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)