トレジャー・ファクトリーは目先的な売り一巡、24年2月期3Q累計大幅増益で通期は再上振れの可能性

 トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)は、総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなどリユースショップを複数業態で全国展開し、成長戦略としてSDGsの推進とともに、生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。24年2月期第3四半期累計は既存店売上が好調に推移し、グループ会社も貢献して大幅増益だった。通期は前回予想(23年10月11日付で上方修正)を据え置いたが、第3四半期累計の進捗率が高水準あり、既存店売上が23年12月も前年比107.4%と好調を維持していることなどを勘案すれば、通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は戻り一服の形で第3四半期決算発表に対してもネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■リユースショップを複数業態で全国展開

 総合リユース業態のトレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態のトレファクスタイルなど、リユースショップを複数業態で首都圏・直営店中心に全国展開している。周辺事業・新規事業としてBtoBライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不動産売買・仲介を行うトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども展開している。生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指し、マルチブランドの業態展開による販売力やマルチチャネルによる仕入力を強みとしている。

 M&Aとしては、19年1月にシステム開発のデジタルクエストを子会社化、20年2月にAIアプリXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携、20年10月に静岡県内でリユースショップ直営店12店舗を展開するピックアップジャパンを子会社化、22年2月に子会社トレファクテクノロジーズを設立してデジタルクエストのシステム開発受託事業を承継した。23年10月には、愛知県を中心にゴルフ専門のリユースショップを展開しているアクオを子会社化した。

 24年1月末時点の店舗数はグループ合計274店舗(タイの4店舗と台湾の2店舗を含むトレジャーファクトリーが88店舗、トレファクスタイルが82店舗、トレファクスポーツアウトドアが8店舗、ユーズレットが9店舗、ブランドコレクトが7店舗、トレファクマーケットが2店舗、子会社のカインドオルが39店舗、ピックアップが14店舗、ゴルフキッズが15店舗、ゴルフキングが10店舗)で、このうち直営店は240店舗である。

 海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで直営店を展開し、22年2月期に単年度黒字化した。台湾では21年4月に設立した現地法人Treasure Factory(Taiwan)が22年12月に1号店をオープンした。台湾においても複数店舗のドミナント展開を目指すとしている。

 なお収益面では引越シーズンで単価の高い生活家電や家具の構成比が高まる第1四半期(3月~5月)の利益率が高くなり、単価の低い夏物衣料が主力となる第2四半期(6月~8月)の利益率が低くなる季節特性がある。

■新規出店やM&Aで成長加速

 中期経営計画(ローリング方式、24年2月期~26年2月期、23年11月1日付で修正して25年2月期と26年2月期の業績目標数値を引き上げ)では、最終年度26年2月期の目標数値に売上高428億円、経常利益40.2億円、経常利益率9.4%、親会社株主帰属当期純利益26.1億円を掲げている。既存店売上(単体ベース、前年比)については25年2月期が103%、26年2月期が102%、売上総利益率については25年2月期、26年2月期とも直前期から横ばい、販管費について25年2月期、26年2月期とも増額、年間出店数は25年2月期25~30店舗、26年2月期30~35店舗の前提とした。投資計画については3年累計で約33億円~34億円、株主還元については配当性向目標を30%以上としている。

 基本方針として、リユース事業の成長、新規事業への投資、海外市場での成長、M&Aによる成長、DX投資による成長を掲げている。SDGsの推進とともに、さらなる成長が見込まれるリユース市場においてグループ一体となってリユース・ネットワークの拡大を推進する。そして生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。

 リユース事業の成長では、グループ全体で複数業態を組み合わせて年間25~35店ペースの出店を継続し、リユースのネットワークを拡大する。さらに多店舗体制構築に向けた採用・教育の強化、更なる新業態開発、グループのリユース会社の収益改善を推進する。

 新規事業への投資では、関東と関西の物流拠点の拡張によるBtoBライブネットオークション事業の本格展開、買取と引越をセットで行う独自の買取引越事業の成長加速、レンタル事業への継続投資と新たな柱への育成を推進する。

 海外事業では、タイ事業(21年11月期に単年度黒字化)の利益体制の構築と新規出店、および台湾への進出を推進する。M&Aでは、既存事業とのシナジー効果や新たな収益事業につながるM&Aを積極的に検討する。DX投資では、自社システム部門およびシステム子会社の開発力を活用し、業務効率化、査定効率化、新たな買取機会・販売機会創出などを推進する。

 アライアンス戦略では、22年2月に終活・生前整理分野「Regacy」において、相続対策プラットフォームの「はなまる手帳」を運営するはなまる手帳と業務提携した。22年3月にはALBERT<3906>と共同で、EC出品のために撮影した衣類画像から必要な情報をAIが自動入力する「クロスキャナ」を開発し、トレファク店舗での本格導入を開始した。EC出品業務にかかる「ささげ作業」の大幅な効率化を図り、システム導入前との比較でEC出品点数の10%増加を目指す。22年9月には東急コミュニティーの住み替えサービス「たくす」との連携を開始した。

■24年2月期3Q累計大幅増益、通期は再上振れの可能性

 24年2月期連結業績予想(23年10月11日付で上方修正)は売上高が23年2月期比19.0%増の335億86百万円、営業利益が22.7%増の31億47百万円、経常利益が21.1%増の31億76百万円、親会社株主帰属当期純利益が17.8%増の20億15百万円としている。配当予想(23年7月12日付で第2四半期末2円上方修正、23年10月11日付で期末2円上方修正)は、年間25円(第2四半期末12円、期末13円)としている。23年3月1日付の株式2分割遡及修正後で23年3月期(18円50銭)比6円50銭増配となる。予想配当性向は29.0%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比22.0%増の248億73百万円、営業利益が30.2%増の24億75百万円、経常利益が29.1%増の25億09百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が26.7%増の16億円だった。EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)は30.3%増の28億06百万円だった。

 大幅増収増益だった。リユース意識の高まり、物価高による節約志向の高まり、行動制限緩和に伴う外出需要の回復、メディア露出増加による認知度向上などで既存店売上が好調に推移し、グループ会社も貢献した。営業利益の前年同期比+5億74百万円の増減分析は、単体既存店と前期出店店舗の増益で+7億14百万円、新店で▲82百万円、その他(店舗以外のチャネルの買取体制強化に伴う費用増で▲1億60百万円、M&A関連の一時的費用で▲44百万円、採用強化に伴う求人広告費増加で▲32百万円など)で▲3億69百万円、グループ会社の利益貢献で+3億11百万円だった。

 新規出店は、年間25店舗前後の計画に対してグループ合計17店舗の出店を完了し、24年1月末時点のグループ店舗数(海外およびFCを含む)は274店舗となった。

 単体ベースの既存店売上高は110.1%、販売件数は105.0%、1件あたり販売単価は104.9%だった。既存店の売上総利益率は65.7%で0.7ポイント低下した。ブランド品やホビーアイテムのトレカなど原価率の高い高単価商材の販売が好調だったことに加えて、前年は新品家電の供給が細ったため中古家電の売値や利益率が高くなっていたが、当期は通常の売値・利益率に戻ったことも影響した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高82億59百万円で営業利益10億32百万円、第2四半期は売上高76億03百万円で営業利益4億15百万円、第3四半期は売上高90億10百万円で営業利益10億27百万円だった。第2四半期は低単価の夏物衣料が増加するため、売上高・利益とも構成比が低い季節要因がある。

 通期は前回予想を据え置いている。新規出店(連結ベース)は25店舗前後としている。既存店売上(単体ベース)については、期初時点で下期を前期並みの前提としていたが、23年10月11日付の修正後は第3四半期を前年比104%、第4四半期を101%の想定に修正した。売上総利益率については、期初時点で下期を前期並みの前提としていたが、上期実績を踏まえて、第3四半期を前年比0.2%低下、第4四半期を前期並みの想定に修正した。その他のコスト面では、追加費用として約1億円(9月からの従業員給与のベースアップで約30百万円、宅配買取拠点拡張費用で約30百万円、M&A関連費用で約40百万円追加)を見込んでいる。なおアクオを第4四半期から新規連結するが業績への影響は軽微の見込みとしている。

 通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74%、営業利益が79%、経常利益が79%、親会社株主帰属当期純利益が79%である。夏物衣料が主力となる第2四半期の構成比が低い季節要因を考慮すれば第3四半期累計の各進捗率は高水準であり、既存店売上が23年12月も前年比107.4%と好調を維持していることなどを勘案すれば、通期会社予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 なお月次売上状況(単体直営店の店舗売上、前年同月比速報値)を見ると、23年12月は全店が117.8%、既存店が107.4%(21年9月から28ヶ月連続前年比プラス)だった。月の初旬および下旬に気温が低下して冬物衣料の販売が花王長だった。インバウンド需要伸長によりブランド品の販売も好調だった。新規出店は3月~12月合計で17店舗となった。

■株主優待制度は毎年2月末の株主対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は、毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は戻り一服の形で第3四半期決算発表に対してもネガティブ反応となったが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。1月18日の終値は1191円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS86円25銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS291円34銭で算出)は約4.1倍、そして時価総額は約290億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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