ASIAN STARは下値固め完了、24年12月期収益改善期待

 ASIAN STAR(エイシアンスター)<8946>(東証スタンダード)は国内と中国で不動産関連事業を展開し、成長戦略として不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。23年12月期はコスト高の影響で戸建販売が伸び悩んでいるため減収減益予想としている。積極的な事業展開で24年12月期の収益改善を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが、下値固め完了して出直りを期待したい。

■国内と中国で不動産事業を展開

 国内と中国で不動産関連事業を展開し、中国の上海徳威企業および徳威国際(上海徳威企業の100%子会社)の2社と資本提携している。

 22年12月期のセグメント別売上高構成比は、不動産販売事業が45%、不動産管理事業が23%、不動産賃貸事業が16%、不動産仲介事業が16%、投資事業が0%だった。セグメント別利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は、不動産販売事業が18%、不動産管理事業が37%、不動産賃貸事業が22%、不動産仲介事業が22%、投資事業が1%だった。

 国内では従来の主力だった投資用マンション開発・販売を縮小し、過去に販売した投資用マンション「グリフィンシリーズ」を中心とする安定収益源の管理・賃貸・仲介、および横浜エリアでの戸建住宅販売にシフトしている。投資事業を行う子会社のASIAN STAR INVESTMENTSは、民泊施設運営代行のオールステイへの投資を実行している。

 中国ではベルグラビアグループを買収して、サービスアパート運営管理事業、およびワンルームマンション賃貸事業を展開している。

 20年12月には子会社の柏雅香港が、資本提携先の中国・徳威企業の子会社である徳威不動産グループ3社(徳威不動産、U-HOME、特庫伊投資)を子会社化した。中国事業全般の事業管理および資金管理を柏雅香港に集約して中国事業の事業規模拡大を推進する。

 21年12月には、連結子会社(孫会社)で中国においてワンルームマンション賃貸を行っている陽光智寓(香港)の全株式、および上海陽光智寓の全持分を譲渡し、連結から除外した。今後の中国における賃貸管理事業については、引き続き子会社の柏雅酒店管理(上海)有限公司、上海優宏資産管理有限公司、上海特庫伊投資管理有限公司が行う。

 23年7月には第三者(YEAR GOLD、QUEEN VENATION、Rila Internationalの3社)割当増資を実行した。発行新株式数は450万株、発行価額は1株につき89円で、資金使途は戦略的投資としている。

 23年12月には中国国有企業の1社である上海展覧中心(集団)有限公司と、高級サービスアパートメントPJ等においての業務提携意向協定を締結した。

■付加価値創造事業分野のアジア展開も推進

 中期成長戦略として、事業戦略では不動産サービス分野の規模拡大、付加価値創造事業分野のアジア展開、投資戦略では企業価値向上に資する戦略的M&Aおよび資本提携、ファンド組成による提携企業との共同投資を推進している。

 付加価値創造事業分野のアジア展開では、新たな事業ドメインとして医療・健康など「日本において高い付加価値を誇る事業分野のアジア展開のサポート」を推進する方針だ。

 20年12月には中国・海南太禾控股集団と戦略提携した。海南省・紅旗国際健康産業タウンプロジェクトを推進する。そして21年2月には、中国・海南太禾控股集団の子会社である中国・海南太禾健康産業と合弁会社設立に向けた契約を締結した。中国・海南太禾控股集団との戦略提携の一環として、紅旗国際健康産業タウンへの日本企業の誘致、日本製先端医療機器・医薬品・サプリメントなどの中国への導入・販売支援等を事業目的とする。

 21年9月には、健康コンサルティング会社の中国・広東泛華藍十字健康管理公司と、医療健康サービス分野における戦略提携で覚書を締結した。広東泛華藍十字健康管理公司の親会社である中国・泛華金融ホールディングスグループの顧客に対して、訪日健康診断・先進医療治療・医療ツーリズム等のコーディネートサービスを計画している。日本の高水準の医療健康サービスを提供する。

 財務戦略では、資本市場を活用した資金調達の検討、財務レバレッジを利用した不動産投資の実施、配当戦略では利益水準に応じた安定的配当の実施、トータル・シェアホルダー・リターン(TSR)等の指標の検討を実施する。なお21年1月には指名・報酬委員会の設置を発表した。コーポレートガバナンスの一層の充実を図る。

■23年12月期減収減益予想、24年12月期収益改善期待

 23年12月期の連結業績予想(23年12月25日付で下方修正)は、売上高が22年12月期比15.6%減の21億01百万円、営業利益が21百万円(22年12月期は48百万円)、経常利益が14百万円(同42百万円)、親会社株主帰属当期純利益が14百万円(同55百万円)としている。

 前回予想(23年2月13日付公表値、売上高31億77百万円、営業利益48百万円、経常利益44百万円、親会社株主帰属当期純利益32百万円)に対して、売上高は10億76百万円、営業利益は27百万円、経常利益は30百万円、親会社株主帰属当期純利益は18百万円、それぞれ下回る。

 不動産事業において、土地価格や建設資材の高騰の状況を鑑みて期初時点より慎重な取り組み姿勢としていたが、その後も販売コストの高止まりの影響などで戸建販売が伸び悩んでいるため売上高、各利益とも下方修正した。ただし不動産仲介事業の収益が寄与するため、各利益とも黒字を確保する見込みだ。積極的な事業展開で24年12月期の収益改善を期待したい。

■株主優待制度は毎年6月末・12月末の株主対象

 株主優待制度は毎年6月末および12月末の50単元(5000株)以上保有株主を対象として実施している。ASIAN STARプレミアム優待倶楽部において、保有株式数に応じた優待ポイントで食品や電化製品などの商品に交換できる。

■株価は下値固め完了

 株価は安値圏でモミ合う形だが、下値固め完了して出直りを期待したい。1月18日の終値は84円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS59銭で算出)は約142倍、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS88円49銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約20億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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