【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アルファは16年8月期収益改善基調、M&A効果も寄与

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アルファ<4760>(JQS)はPOP広告など店舗販促用品を企画・製作・販売する総合販売促進企業である。株価は悪地合いの影響で水準を切り下げたが、16年8月期はM&A効果も寄与して収益改善基調であり、2%台後半の配当利回りや0.6倍近辺の低PBRも見直して反発展開だろう。

■POP広告やイベント関連用品などの総合販売促進企業

 スーパーや家電量販店などの小売業者や、食品メーカー向けなどに、POP広告やイベント関連商品など、消費関連市場におけるセールスプロモーション(販売促進)に係るさまざまな販促用品を企画・製作・販売する総合販売促進企業である。14年8月期の商品別売上構成比は、自社企画製品15.4%、別注製品54.1%、商品30.5%だった。

 日本最大級の販促通販サイト「POP GALLERY」による自社企画製品の拡販、メーカー・小売のタイアップ企画である消費者向け販促キャンペーンの受注拡大、動画POPなどデジタルサイネージ(デジタル技術を活用した広告媒体)を組み込んだ新販促商品・サービスの企画・提案営業を強化している。五感を刺激して購買意欲を喚起させる新メニューとして、香りのプロモーションツール「かおるくん」も好調だ。

■中期成長に向けて「買い物コミュニケーション創造企業」を目指す

 中期的な収益力向上に向けては、ショッパー(買い物客)の購買行動やインサイト(深層心理)を捉えた「買い物コミュニケーション創造企業」を目指している。中期経営計画では目標数値として16年8月期の売上高78億円、経常利益2億円、純利益1億円を掲げている。

 なお15年7月にオーケー企画(東京都)の株式を取得して完全子会社化する基本合意書を締結し、9月1日に株式譲渡契約書を締結して全株式を取得した。16年8月期から連結対象となるため、15年8月期決算発表時に公表する16年8月期業績予想に織り込む予定としている。

 同社は全国のホームセンターやドラッグストアなどでの販売促進用器具・備品全般を扱う事業を展開している。同社を子会社化することによって、当社では比較的手薄な全国のホームセンターやドラッグストア向けの事業拡大が見込める。また海外仕入ルート一元化などで原価低減や利益率の向上などのシナジー効果も期待される。

■15年8月期増収増益予想、16年8月期も収益改善基調

 前期(15年8月期)の非連結業績予想(10月14日公表)は、売上高が前々期比4.5%増の70億円、営業利益が同8.8%増の1億70百万円、経常利益が同2.9%増の1億65百万円、純利益が同0.6%増の70百万円としている。配当予想は前々期と同額の年間5円(期末一括)で予想配当性向は57.5%となる。

 自社企画製品ではeコマースを利用した受注増加、別注製品では企画提案強化による消費者向け販促キャンペーンの受注増加、メーカーからの企画料・デザイン料など役務売上の増加、商品ではイベント関連の受注増加を見込み、採算性を重視した選別受注による粗利率改善や、販管費圧縮なども寄与して増収増益予想だ。

 第3四半期累計(9月~5月)は前年同期比2.5%減収、同10.7%営業増益、同10.5%経常増益、同25.4%最終増益だった。中小スーパーの販促費削減などが影響して減収だったが、粗利率の高い自社企画製品の売上構成比上昇、採算性を重視した取引選別の継続、販管費の削減などの効果で増益だった。純利益は前期計上した過年度法人税等の一巡も寄与した。

 製品別売上高を見ると、自社企画製品はeコマース(オンラインショップ)売上が堅調だったが、中小スーパーの販促費削減傾向が継続して同1.5%減の8億17百万円、別注製品は大口スポット案件獲得が寄与したが、採算性を重視した取引選別を継続して同0.1%減の27億44百万円、商品はイベント関連が堅調だったが、全体として消費増税の影響が残り同7.0%減の14億93百万円だった。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)18億35百万円、第2四半期(12月~2月)15億78百万円、第3四半期(3月~5月)16億43百万円で、営業利益は第1四半期1億03百万円、第2四半期92百万円、第3四半期17百万円だった。クリスマス・年末・年始商戦などで上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造である。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高72.2%、営業利益124.7%、経常利益129.7%、純利益170.0%である。上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造だが、粗利率の改善も寄与して通期の利益予想は増額余地があるだろう。

 そして今期(16年8月期)は一段の粗利益率改善効果に加えて、オーケー企画を子会社化して新規連結する効果も期待される。収益は改善基調だろう。

■株価は地合い悪化の影響を受けたが、収益改善基調を見直し

 株価の動きを見ると、悪地合いの影響で210円近辺でのモミ合い展開から下放れ、9月8日に169円、そして11日には年初来安値168円まで調整した。ただしその後は切り返す展開となって17日には184円まで戻した。悪地合いに伴う目先的な売りが一巡したようだ。

 9月18日の終値177円を指標面で見ると、前期推定PER(会社予想のEPS8円70銭で算出)は20~21倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は2.8%近辺、前々期実績PBR(前々期実績のBPS285円53銭で算出)は0.6倍近辺である。なお時価総額は約16億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線も割り込んで調整局面だが、9月安値から切り返す動きだ。16年8月期はM&A効果も寄与して収益改善基調であり、2%台後半の配当利回りや0.6倍近辺の低PBRも見直して反発展開だろう。

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