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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】山下医科器械は指標面の割安感や16年5月期業績予想の増額余地を見直し
- 2015/9/24 07:49
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
山下医科器械<3022>(東1)は九州を地盤とする医療機器専門商社である。株価は悪地合いの影響で水準を切り下げたが、1月の年初来安値に接近して調整の最終局面だろう。2%台後半の予想配当利回り、0.7倍近辺の低PBRなど指標面に割安感があり、16年5月期業績の会社予想増額余地も見直し材料だ。切り返し展開が期待される。
■九州を地盤とする医療機器専門商社
九州を地盤とする医療機器専門商社である。医療機器の販売・メンテナンスおよび医療材料・消耗品などの販売を主力として、子会社イーピーメディックは整形インプラントを製造販売している。
中期成長に向けて、九州最大の需要地である福岡県での市場シェア拡大を最重点戦略としている。医療機関向けSPD(病院医療材料管理業務)の契約施設数増加に対応するため、13年7月に福岡SPDセンター(福岡県福岡市)を新設し、鳥栖SPDセンター(佐賀県鳥栖市)との2拠点体制とした。
15年1月には、西諫早産業団地(長崎県諫早市)への進出に向けて諫早市との協定を締結した。長崎物流センター・SPDセンター(仮称)として物流体制を強化する方針だ。総投資額は約17億円で15年7月着工、16年6月稼働を予定している。
15年6月には、パナソニックヘルスケアとの合弁会社メディコムネットワークス九州の設立を発表した。電子カルテやレセコンなどのメディコム製品および関連機器の販売・サービスを展開する。15年8月1日設立、10月1日営業開始予定で、出資比率はパナソニックヘルスケア51%、当社49%である。
■監査等委員会設置会社に移行
13年12月に判明した従業員による不正行為に関して、14年2月28日に独立行政法人国立病院機構から指名停止(14年2月28日~14年11月27日)および一般競争参加資格降格(14年11月28日~15年8月27日)の処分を受けた。当該処分の対象となる施設の13年5月期売上高は全社売上高の1割強としている。
不正行為の再発防止策に関して4月17日再発防止策実施状況その1、5月16日再発防止策実施状況その2、6月13日再発防止策実施状況その3、8月18日再発防止策実施状況その4を発表している。再発防止と信頼回復に向けて今後も実施状況を随時報告する方針だ。なお14年11月27日を以って指名停止期間満了となり、15年8月27日をもって一般競争参加資格の降格措置期間満了となった。
そして8月27日には、第67回定時株主総会の承認に基づいて監査等委員会設置会社に移行した。これに伴って「内部統制システム構築の基本方針」の一部改訂を発表した。
■16年5月期会社予想は保守的で増額余地
なお15年5月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(6月~8月)105億82百万円、第2四半期(9月~11月)126億55百万円、第3四半期(12月~2月)118億52百万円、第4四半期(3月~5月)152億21百万円で、営業利益は第1四半期45百万円の赤字、第2四半期2億21百万円、第3四半期50百万円、第4四半期3億12百万円だった。
また15年5月期の配当性向は30.6%だった。ROEは14年5月期比3.9ポイント低下して6.3%、自己資本比率は同1.9ポイント上昇して32.0%となった。
今期(16年5月期)の連結業績予想(7月8日公表)は、売上高が前期比2.9%増の517億74百万円、営業利益が同2.5%減の5億25百万円、経常利益が同2.5%減の6億円、純利益が同2.1%増の3億66百万円としている。
配当予想は同1円増配の年間44円(期末一括)としている。予想配当性向は30.6%となる。安定的な配当の継続を基本方針とし、配当水準として連結配当性向30%を基準としている。
SPD契約施設数増加で一般消耗品分野が堅調に推移し、国立病院機構の一般競争参加資格の降格措置が第1四半期(6月~8月)で終了することも寄与して増収予想だ。
利益面では新物流センター設立に伴う先行費用の発生、営業人員増加による人件費の増加などで営業減益・経常減益予想としている。純利益については法人税等の実効税率低下で増益予想としている。期初時点では保守的な会社予想を公表する傾向が強いため増額余地があるだろう。
■中期経営計画で18年5月期売上高580億円目標
15年7月に新中期経営計画を発表した。基本戦略として、さらなる基盤事業の強化と推進体制の構築、地域医療構想に即した新規事業の創出、グループ統制とガバナンス強化に即した経営体制の刷新、積極的な人材確保と教育、コンプライアンス・内部統制の徹底と経営理念経営を推進する。
そして経営目標数値には、18年5月期の売上高580億円、経常利益8億50百万円を掲げている。中期的に収益拡大基調が期待される。
■株価は地合い悪化の売り一巡感、下値支持線から切り返し
株主優待制度については、毎年11月30日および5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。100株~999株保有株主に対して500円相当のクオカード、1000株~1999株保有株主に対して1000円相当のクオカード、2000株以上保有株主に対して1500円相当のクオカードを贈呈する。
株価の動きを見ると、悪地合いの影響で1800円近辺でのモミ合いから下放れ、8月下旬以降は1600円台でモミ合う展開だ。9月15日と16日には1607円まで調整した。ただし1月の年初来安値1604円に接近して調整の最終局面だろう。
9月18日の終値1614円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS143円56銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は2.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2302円20銭で算出)は0.7倍近辺である。なお時価総額は約41億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となり、さらに52週移動平均線を割り込んで調整局面だが、1600円近辺が下値支持線となって調整の最終局面のようだ。2%台後半の予想配当利回り、0.7倍近辺の低PBRなど指標面に割安感があり、16年5月期業績の会社予想増額余地も見直し材料だ。切り返し展開が期待される。