クレスコは24年3月期3Q累計営業減益だが通期増益予想、25年3月期は配当性向を40%に引き上げ

(決算速報)
 クレスコ<4674>(東証プライム)は2月5日の取引時間終了後に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。受注が好調に推移して増収だが、営業利益は不採算プロジェクトの影響、人件費や教育費の増加などにより減益だった。ただし通期増益予想を据え置いた。第3四半期累計の営業利益進捗率がやや低水準の形だが、第4四半期の構成比が高い季節要因に加えて、1件残っている不採算プロジェクトに関する受注損失引当が完了し、他の案件でのリカバリーを目指すとしている。積極的な事業展開により、通期ベースでの収益拡大基調に変化はないだろう。なお配当方針の変更も発表した。配当性向を現在の30%から40%に引き上げて25年3月期中間配当より実施する。株価は戻り高値圏で上げ一服の形となったが調整一巡感を強めている。配当性向引き上げも評価して上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期3Q累計営業減益だが通期増益予想据え置き

 24年3月期第3四半期累計連結業績は売上高が前年同期比9.0%増の385億44百万円、営業利益が10.8%減の32億98百万円、経常利益が21.4%増の38億87百万円、親会社株主帰属四半期純利益が7.5%増の23億98百万円だった。

 受注が好調に推移して増収だが、営業利益は不採算プロジェクトの影響、人件費や教育費の増加などにより減益だった。経常利益は営業外損益でデリバティブ評価損益が10億90百万円改善(前年同期は評価損7億89百万円、当期は評価益3億01百万円)したことにより大幅増益だった。特別損失では、前年同期に計上したコーポレートロゴ等変更費用(1億13百万円)が剥落したが、子会社の日本ソフトウェアデザインに関連するのれん減損損失2億09百万円を計上した。

 ITサービス事業は、売上高が6.4%増の357億33百万円だが、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が6.4%減の44億20百万円だった。

 このうちエンタープライズは、売上高が8.7%増の147億31百万円だが、利益が25.7%減の13億51百万円だった。売上面は建設・不動産分野と情報・通信・広告分野の売上が大幅伸長するなど好調に推移したが、利益面は不採算プロジェクト3件(人材紹介・人材派遣分野で1件、流通サービス分野で2件)の発生により減益だった。

 金融は、売上高が1.9%増の108億22百万円だが、利益が0.3%減の13億43百万円だった。売上面では、保険分野・その他分野における大型案件の収束が影響したが、銀行分野の好調がカバーした。利益面は不採算プロジェクト1件(銀行分野で1件)の影響により微減益だった。

 製造は、売上高が8.0%増の101億78百万円で、利益が11.0%増の17億25百万円だった。機械・エレクトロニクス分野、特に自動車関連の好調により増収増益だった。

 デジタルソリューション事業は、売上高が57.4%増の28億11百万円、利益が48.1%増の1億46百万円だった。主力のクラウドサービス「Creage」やRPAライセンスの販売が増加して大幅増収増益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が前年比4.4%増の118億81百万円で営業利益が47.3%減の4億70百万円、第2四半期は売上高が15.3%増の137億50百万円で営業利益が11.4%増の15億08百万円、第3四半期は売上高が7.0%増の129億13百万円で営業利益が9.1%減の13億20百万円だった。第1四半期と第3四半期は不採算プロジェクトが影響した。

 通期連結業績予想は据え置いて売上高が23年3月期比8.5%増の525億円、営業利益が5.0%増の52億50百万円、経常利益が4.6%増の53億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が7.6%増の35億82百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。23年3月期の50円には記念配当4円が含まれているため、24年3月期は普通配当ベースでは4円増配となる。

 受注が高水準に推移し、人材投資(教育研修プログラムの実施・強化、給与水準の引き上げ、過去最大規模の新卒社員採用など)による費用増加を吸収する見込みとしている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高73%、営業利益63%、経常利益72%、親会社株主帰属当期純利益67%だった。営業利益進捗率がやや低水準の形だが、第4四半期の構成比が高い季節要因に加えて、1件残っている不採算プロジェクトに関する受注損失引当が完了し、他の案件でのリカバリーを目指すとしている。積極的な事業展開により、通期ベースでの収益拡大基調に変化はないだろう。

 なお配当方針の変更も発表した。配当性向を現在の30%から40%に引き上げて25年3月期中間配当より実施する。

■株価は上値試す

 株価は戻り高値圏で上げ一服の形となったが調整一巡感を強めている。配当性向引き上げも評価して上値を試す展開を期待したい。2月5日の終値は1925円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS173円89銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1160円39銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約424億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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