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【アナリスト水田雅展の銘柄診断】クリナップは今期減額修正の調整が一巡、低PBRも支援材料で切り返し局面
- 2014/12/17 07:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
システムキッチン大手のクリナップ<7955>(東1)の株価は、11月4日の戻り高値997円から11月21日の直近安値803円まで急落した。今期(15年3月期)業績見通しの減額修正した影響による。ただし足元では850円近辺まで戻して調整一巡感を強めている。低PBRも支援材料として切り返し局面だろう。
厨房部門(システムキッチン)を主力として、浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)も展開している。中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確立を掲げ、システムキッチン「S.S.」「クリンレディ」「ラクエラ」「コルティ」を軸とした商品ラインナップの充実、ブランド力の強化、中高級システムキッチンの市場シェア上昇、全国のショールーム(101拠点)への集客強化、総合競争力の強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携強化、リフォーム需要の取り込み、トータルコストの低減、海外事業の戦略的推進などを重点施策としている。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(11月7日に減額修正)は売上高が前期比6.8%減の1200億円、営業利益が同59.4%減の36億円、経常利益が同62.2%減の32億円、純利益が同73.8%減の13億円としている。配当予想は前回予想(5月8日公表)を据え置き、記念配当5円を落として年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。
第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比0.8%増収、同33.1%営業減益、同35.0%経常減益、同65.8%最終減益だった。消費増税の影響が想定以上となって売上高、利益とも計画を下回った。純利益については厚生年金基金の特例解散に伴う特別損失計上も影響した。
第2四半期累計が計画を下回り、消費増税の影響や輸入原材料の価格上昇など下期も厳しい市場環境が見込まれるとして通期見通しを減額修正した。修正後の通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.3%、営業利益が69.9%、経常利益が72.4%、純利益が55.8%である。第2四半期累計が収益トレンドのボトムとなった可能性があり、下期以降の収益改善が期待される。
食住イベントやリフォームフェアの開催によるブランド力向上、ショールーム全面リニューアルによる集客力強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携などの販売強化施策が奏功してシステムキッチンの市場シェアは上昇基調である。原価低減効果なども寄与して中期的には収益拡大基調だろう。
なお11月7日に自己株式の消却を発表し、11月25日付で500万株(消却前の発行済株式総数に対する割合10.65%)を消却した。消却後の発行済株式総数は4194万2374株となる。
株価の動きを見ると、11月4日の戻り高値997円から11月21日の直近安値803円まで急落した。今期業績見通しの減額修正の影響による。ただし足元では850円近辺まで戻して調整一巡感を強めている。
12月16日の終値852円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円64銭で算出)は27~28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1301円25銭で算出)は0.7倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、2月の年初来安値791円を割り込むことなく反発し、800円近辺が下値支持線の形となった。低PBRも支援材料であり、中期成長力を評価して切り返し局面だろう。