【アナリスト水田雅展の銘柄診断】インテージHDは利益確定売り一巡、収益拡大基調を評価して上値を試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 市場調査最大手のインテージホールディングス<4326>(東1)の株価は、今期(15年3月期)利益見通し増額修正も好感して12月1日の年初来高値1840円まで上伸した。その後は利益確定売りで1500円台まで調整したが、目先的な過熱感が解消した形であり、収益拡大基調を評価して上値を試す展開だろう。

 13年10月に持株会社へ移行した。小売店パネル調査や消費者パネル調査などの市場調査・コンサルティング事業を主力として、システムソリューション事業、医薬品開発支援事業にも事業領域を広げている。

 国内外における積極的なM&A戦略で業容を拡大している。11年9月にベトナムの市場調査会社FTA、12年9月に医療情報総合研究所、12年11月に医療関連インターネット調査会社プラメド、13年8月に香港の市場調査会社CSG香港を子会社化した。14年5月には子会社INTAGE INDIAがインドの市場調査会社RSMRS社の株式を取得してグループ化した。

 アライアンス戦略では、12年4月にNTTドコモ<9437>と合弁会社ドコモ・インサイトマーケティングを設立、13年10月に韓国の業界4位の市場調査会社Hankook Researchと包括的な事業協力を締結、13年11月にインドネシアの市場調査会社DEKA社と合弁会社を設立している。収益力強化に向けてグループ再編も進め、14年6月には連結子会社アスクレップの臨床開発事業を承継したエーケーピーを伊藤忠商事<8001>に譲渡した。アスクレップは医薬情報事業を継続する。

 14年9月には子会社インテージ、一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構、一般社団法人新日本スーパーマーケット協会の共同プロジェクトで開発した「SRI一橋大学消費者購買指数」の公表開始を発表した。10月には子会社インテージが、世界的な情報・調査企業であるニールセンの消費者購買行動分析部門ニールセン・カンパニー合同会社と、小売店パネル調査の相互販売を可能にするパートナーシップを締結した。また10月には京都コンステラ・テクノロジーズと資本業務提携した。同社が開発した医薬品有害事象情報システムの販売代理および関連事業で連携する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(11月6日に利益を増額修正)は売上高が前期比3.5%増の440億円、営業利益が同2.7%増の36億円、経常利益が同3.5%増の35億円、純利益が同76.6%増の29億円、配当予想(5月12日公表)が同2円50銭増配の年間30円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比4.5%増収、同49.7%営業増益、同54.6%経常増益、同5.7倍最終増益だった。売上高は市場調査・コンサルティング事業でカスタムリサーチの売上が計画を下回ったが全体として堅調に推移し、利益面ではシステムソリューション事業および医薬品開発支援事業の好採算案件が寄与して計画を大幅に上回った。中国の事業再構築に伴う損失縮小も寄与した。

 第2四半期累計の利益が計画を上回ったことを受けて通期の利益見通しを増額修正し、従来の減益見通しから一転して増益見通しとなった。売上面では市場調査・コンサルティング事業で市場パネル調査が好調に推移する。アスクレップの臨床開発事業を承継したエーケーピーを伊藤忠商事に譲渡したが、システムソリューション事業および医薬品開発支援事業の好採算案件が寄与し、純利益は関係会社株式売却益計上も寄与する。

 14年5月に発表した第11次中期経営計画では、重点課題として主力事業再強化による市場価値向上、「モバイル&シングルソース」「グローバル」「ヘルスケア」領域の着実な成長、リサーチの枠にとらわれない新たなビジネスモデルの模索と確立、最適化の視点による戦略立案・推進のマネジメント強化を掲げ、3ヵ年の計数計画では17年3月期売上高520億円、営業利益46億円を目標としている。市場調査・コンサルティング事業の好調が牽引し、M&Aやグループ再編も寄与して収益拡大基調だろう。

 株価の動き(10月31日付で貸借銘柄)を見ると、10月16日の直近安値1273円から切り返しの展開となり、今期利益見通し増額修正も好感して12月1日の年初来高値1840円まで上伸した。その後は利益確定売りや地合い悪化の影響で1500円台まで調整したが、目先的な過熱感が解消した形であり、好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。

 12月16日の終値1607円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS145円30銭で算出)は11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS846円49銭で算出)は1.9倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して目先的な過熱感が解消した。年初来高値を更新して強基調に転換した形であり、収益拡大基調を評価して上値を試す展開だろう。

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