ジャパンフーズは24年3月期3Q累計大幅増収増益、通期上振れ濃厚

(決算速報)
 ジャパンフーズ<2599>(東証スタンダード)は2月7日の取引時間中に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。大幅増収増益だった。原材料費や人件費の増加などコストアップ要因があったものの、新たな販売領域を含めた顧客獲得なども寄与して受託製造数が大幅に増加し、生産性向上によるコスト改善効果なども寄与した。不透明感や検討中の先行投資などを考慮して通期予想を据え置いたが、第3四半期累計までの受託製造数量の大幅増加を勘案すれば、通期会社予想は上振れが濃厚であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は動意づいて18年以来となる高値圏まで急伸する場面があった。第3四半期決算発表に対してはややネガティブ反応の形となったが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、目先的な利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期3Q累計大幅増収増益、通期上振れ濃厚

 24年3月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比22.6%増の93億57百万円、営業利益が10億26百万円(前年同期は31百万円の損失)、経常利益が8.5倍の13億16百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が6.7倍の9億90百万円だった。

 大幅増収増益だった。原材料費や人件費の増加などコストアップ要因があったものの、新たな販売領域を含めた受注拡大などにより受託製造数が大幅に増加し、生産性向上によるコスト改善効果なども寄与した。

 四半期純利益(前年同期比+8億42百万円、内訳は単体/コアが+7億49百万円の7億34百万円、事業取込利益等が+93百万円の2億56百万円)の要因別増減分析は、製造数量増加等+5億22百万円、エネルギーコスト改善+2億87百万円、生産性向上等(コスト改善)+3億91百万円、製造経費増加▲3億15百万円、その他コスト増加▲1億37百万円、事業取込利益+93百万円としている。

 国内飲料受託製造事業は受託製造数が15.0%増の3299.5万ケース、売上高が22.8%増の92億47百万円、セグメント利益(経常利益)が10億51百万円(前年同期は17百万円の損失)だった。売上面では、飲料業界全体としての販売数量が小売価格改定や物価高による消費者の買い控え影響により1%減少したものの、同社の受託製造数は第2四半期以降の猛暑、新たな販売領域を含めた受注拡大などにより大幅に増加した。

 受託製造数を四半期別に見ると第1四半期が3.9%増の1149.9万ケース、第2四半期が8.2%増の1252.4万ケース、そして第3四半期が48.7%増の897.2万ケースだった。新たな販売領域からの受注が第3四半期より本格的に拡大した。

 コスト面では一部製造ラインでのオーバーホール実施、原材料費や人件費の増加などコストアップ要因があったものの、製造数量増加による増収効果に加えて、エネルギーコスト改善や生産性向上によるコスト改善効果なども寄与した。

 海外飲料受託製造事業(中国の持分法適用会社、対象期間23年1月~9月期)のセグメント利益は72.6%増の2億48百万円だった。新型コロナ感染症拡大の影響で1月の受注が低迷したが、春節以降の受注が回復基調となり、前期の新ライン増設による製造能力強化も寄与した。

 その他事業(水宅配事業および水宅配フランチャイズ事業)は、売上高が6.5%増の1億09百万円、セグメント利益が41.7%減の17百万円だった。新規加盟店の立ち上げ進捗遅れやウォーターサーバーの価格改定(22年10月)などの影響で販売がやや苦戦した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高31億31百万円、営業利益3億70百万円、経常利益4億11百万円、純利益2億94百万円、第2四半期は売上高35億70百万円、営業利益8億35百万円、経常利益9億34百万円、純利益6億87百万円、第3四半期は売上高26億56百万円、営業利益1億79百万円の損失、経常利益29百万円の損失、純利益9百万円だった。飲料業界は冬場が閑散期となって製造数量が減少する季節要因があるため、同社の業績も下期は赤字となる傾向が強い。ただし24年3月期第3四半期の営業利益は、受託製造数の大幅増加により前年同期に比べて6億84百万円増益となっている。

 通期の連結業績予想は据え置いて売上高が23年3月期比12.1%増の113億円、営業利益が4.7倍の6億80百万円、経常利益が2.8倍の8億90百万円、親会社株主帰属当期純利益が2.8倍の7億円としている。配当予想は23年3月期と同額の27円(第2四半期末10円、期末17円)としている。

 大幅増収増益予想としている。原材料費、物流費、人件費などの増加を見込むが、市況回復、新製品受注、新たな販売領域拡大などで受託製造数の増加(9.7%増の4166.0万ケース)を見込み、さらに政府の価格抑制策によるエネルギーコスト改善、生産性向上、事業取込利益か回復なども寄与する見込みだ。

 当期純利益(前期比+4億54百万円、内訳は単体/コアが+3億57百万円の4億50百万円、事業取込利益等が+97百万円の2億50百万円)の要因別増減分析は、製造増加等が+5億60百万円、エネルギーコスト改善が+3億20百万円、生産性向上等(コスト改善)が+3億90百万円、製造経費増加が▲4億40百万円、その他コスト増加が▲3億70百万円、事業取込利益が+1億円の計画としている。

 中期経営計画(23年3月期~25年3月期)の2年目となる24年3月期は、品質経営の根幹となる「ひとづくり」「顧客の品質評価の向上」「生産性の向上」を一段と強化するとともに、売上拡大・単価向上に向けて新製品受注、新規顧客獲得、新たな販売領域拡大にも取り組む方針としている。

 不透明感や検討中の先行投資などを考慮して通期予想を据え置いたが、第3四半期累計までの受託製造数量の大幅増加を勘案すれば、通期会社予想は上振れが濃厚であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は動意づいて18年以来となる高値圏まで急伸する場面があった。第3四半期決算発表に対してはややネガティブ反応の形となったが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、目先的な利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。2月7日の終値は1408円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS145円14銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の27円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1553円21銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約72億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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