【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ネットワークバリューコンポネンツは下値切り上げて強基調に転換、サイバーセキュリティ関連も注目

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ネットワークバリューコンポネンツ<3394>(東マ)はネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開している。株価は8月の年初来安値から反発して下値を切り上げている。悪地合いの売りが一巡して強基調に転換する動きだ。15年12月期の収益は改善基調であり、サイバーセキュリティ関連としても注目される。出直り展開だろう。

■情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業を展開

 情報通信ネットワーク関連製品の輸入販売・運用・保守事業(ネットワークソリューション事業およびネットワークサービス事業)を展開している。

 クラウド関連、モバイル関連、セキュリティ関連、サービス関連などを重点分野として海外の先端技術を開拓し、国内を代表するIT先進企業へ最適なソリューションとして提供している。

 企業内セキュリティ対策チームをバックアップするNVCプライベートSOC運用支援サービスも提供している。ライセンス収入や保守・運用収入などの売上構成比が高く、ストック型の収益構造であることも特徴だ。

 15年1月にはユニファイド・セキュリティー・サービス部門を新設した。セキュリティ商材の販売・設計・構築・保守サービス・マネージドサービスなど、従来各部門で個別に行ってきた各種セキュリティサービスを統合し、より質の高いサービスの提供を目指す方針だ。

 15年7月にはWebサーバ脆弱性診断サービスWVDSを開始した。Webの脆弱性を利用した悪意のある攻撃に対して「Webサイトの健康診断」を実施するサービスで、セキュリティに対する耐性がいち早く明確化・可視化され、具体的な対応策を素早く検討することが可能になる。

■中期成長に向けてパートナー企業との協業も推進

 中期成長に向けて先端的ネットワーク関連商品の投入、パートナー企業との協業推進などで、プロジェクト単位での受注拡大を目指している。13年5月には新日鉄住金ソリューションズ<2327>と資本・業務提携した。

 13年8月には米ニクサン社のネットワーク監視ソリューション製品に関する販売代理店契約、13年10月にはカナダのノビフロー社が開発したオープンフロー関連製品の国内独占販売代理店契約を締結した。

 14年9月にはネットワークセキュリティの米ThreatSTOP社のリアルタイムIPおよびドメインレピュテーションサービスに係る国内販売代理店契約を締結、15年2月にはネットワークセキュリティ専業メーカーであるNSFOCUS社の日本法人NSFOCUSジャパンと国内販売代理店契約を締結した。

 15年4月にはファイア・アイ社と、同社の標準型マルウェア防御システム製品についてゴールドパートナー契約を締結した。15年5月には米ThreatSTOP社のIPレピュテーションサービス「ThreatSTOP」を運用支援する「NVC ThreatSTOPサービス」の提供を開始した。

 15年6月にはNSFOCUS社が提供するWebサイトの脆弱性をスキャニングするソリューション「WVSS」の国内販売を開始した。

 9月11日には、米ThreatSTOP社が9月10日にシリーズBラウンドで475万ドルの資金調達を実施したと発表している。スタンフォード大学計算機教授のデビッド・チェリントン博士、および当社の渡部進代表取締役などが投資した。米ThreatSTOP社は日本で当社と提携している。

■15年12月期の収益は改善基調

 今期(15年12月期)の連結業績予想(2月13日公表)は売上高が前期比6.9%増の30億81百万円、営業利益が同6.1倍の1億76百万円、経常利益が同19.6倍の1億57百万円、純利益が同36.0%増の89百万円としている。配当予想は無配継続としている。

 第2四半期累計(1月~6月)は売上高が前年同期比29.7%増の19億40百万円、営業利益が同45.1%増の81百万円、経常利益が同38.0%増の72百万円、純利益が同30.9%増の43百万円だった。官公庁向け大型案件も寄与して売上高、各利益とも計画を大幅に上回った。

 売上面では、ネットワークソリューション事業でセキュリティ関連や無線LAN関連、ネットワークサービス事業で保守やマネージドVPNなどの自社サービスが好調に推移した。利益面では、円安や低採算大型案件の影響で売上総利益率が同9.4ポイント低下したが、増収効果やのれん償却減少で販管費比率が9.9ポイント低下して大幅増益だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)9億39百万円、第2四半期(4月~6月)10億01百万円、営業利益は再1四半期48百万円、第2四半期33百万円だった。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が63.0%、営業利益が46.0%、経常利益が45.9%、純利益が48.3%と概ね順調な水準である。第2四半期累計が計画を上回り、通期ベースでも収益改善基調だろう。

 先端的なネットワーク関連商品の投入、パートナーとの協業強化、自社サービスの強化に取り組み、セキュリティ、モバイル、クラウドの重点3分野での事業展開に注力するとしている。子会社イノコスの収益改善が課題だが、中期的に収益拡大が期待される。

■株価は悪地合いの売り一巡して下値切り上げ

 株価の動きを見ると、悪地合いの影響で8月25日の年初来安値2329円まで急落したが、その後は3000円~3500円のレンジまで戻して下値を切り上げている。悪地合いの売りは一巡したようだ。

 9月24日の終値3270円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円06銭で算出)は34倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS218円52銭で算出)は15倍近辺である。なお時価総額は約32億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。また週足チャートで見ると8月の年初来安値で長い下ヒゲをつけ、下値を切り上げながら26週移動平均線突破の動きを強めている。強基調に転換する動きだ。15年12月期の収益は改善基調であり、サイバーセキュリティ関連としても注目される。出直り展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る