朝日ラバーは需要回復遅れで24年3月期3Q累計減益、3Qの営業損益は改善基調

(決算速報)
 朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は、2月13日の取引時間終了後に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。主力の自動車向けASA COLOR LEDの需要回復遅れなどにより減益だった。そして通期減益予想を据え置いた。ただし四半期別に見ると、第3四半期から自動車向けが回復傾向を強め、営業損益も改善基調となっている。積極的な事業展開によって25年3月期の収益回復を期待したい。株価は23年12月の直近安値圏から反発し、さらに2月14日の新製品(独自開発の極薄のナノシート等をセットにした筋電計測スターターキット)発表を材料視して動意づく場面があったが、買いが続かず上値の重い形だ。ただし高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■24年3月期3Q累計減益、通期減益予想据え置き

 24年3月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比4.0%減の52億50百万円、営業利益が46.0%減の1億14百万円、経常利益が38.4%減の1億34百万円、親会社株主帰属四半期純利益が25.5%減の1億27百万円だった。

 主力の自動車向けASA COLOR LEDの需要回復遅れなどにより減益だった。地域別売上高は国内が5.8%減の38億74百万円、海外が1.5%増の13億76百万円(アジアが1.8%増の12億80百万円、北米が6.1%減の83百万円、欧州が48.5%増の12百万円)だった。

 工業用ゴム事業は売上高が6.0%減の41億42百万円でセグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が36.7%減の2億26百万円だった。卓球ラケット用ラバーは増収だったが、自動車向けASA COLOR LEDの需要回復が遅れた。

 医療・衛生用ゴム事業は売上高が4.3%増の11億08百万円でセグメント利益が20.1%減の83百万円だった。売上面はプレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の好調で増収だが、利益面は販売構成差や試作コスト増加などが影響して減益だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が16億65百万円、営業利益が2百万円の損失、経常利益が11百万円、第2四半期は売上高が16億93百万円、営業利益が14百万円、経常利益が24百万円、第3四半期は売上高が18億91百万円、営業利益が1億02百万円、経常利益が98百万円だった。第3四半期から自動車向けが回復傾向を強め、営業損益も改善基調となっている。

 通期の連結業績予想(23年11月9日付で売上高と営業利益を下方修正、営業外収益の増加により経常利益と親会社株主帰属当期純利益を上方修正、親会社株主帰属当期純利益は23年8月8日付に続いて2回目の上方修正)は据え置いて、売上高が23年3月期比1.3%減の71億09百万円、営業利益が16.3%減の1億55百万円、経常利益が12.7%減の1億70百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が26.1%減の1億50百万円としている。配当予想については23年3月期と同額の20円(期末一括)としている。予想配当性向は60.7%となる。

 第3四半期累計の進捗率は売上高74%、営業利益74%、経常利益79%、当期純利益85%と順調である。四半期別に見ると、第3四半期から自動車向けが回復傾向を強め、営業損益も改善基調となっている。積極的な事業展開によって25年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は23年12月の直近安値圏から反発し、さらに2月14日の新製品発表を材料視して動意づく場面があったが、買いが続かず安値圏に回帰して上値の重い形だ。ただし高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。2月14日の終値は538円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS32円94銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1077円92銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約25億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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