【編集長の視点】ファーストアカウンティングは連続最高純益・増配の支援でAI関連人気高める

■株価はIPO時の高値に迫る

 ファーストアカウンティング<5588>(東証グロース)は、前日15日に25円高の2241円と3営業日続伸して引け、取引時間中には2376円まで買われ、2023年の新規株式公開(IPO)時につけた上場来高値2554円や同10月の戻り高値2490円を視界に捉えた。今年2月13日に発表した12月期決算で、前期業績が期初予想を上ぶれて黒字転換幅を拡大して着地し、今期業績がさらに黒字幅を伸ばし連続の過去最高純利益更新と予想され、配当も増配を予定していることが支援して生成AI(人工知能)関連株買いが増勢となった。テクニカル的にも、昨年9月のIPO(新規株式公開)時につけた上場来高値2554円からその後の上場来安値1192円までの調整幅の3分の2戻し水準を上回っており、全値戻しの早期達成期待を高めている。

■経理DX需要が高まり経理AI事業の新規導入件数が拡大

 同社の前12月期業績は、売り上げ12億1700万円(前々期比54.9%増)、営業利益1000万円(前々期は8200万円の赤字)、経常利益9300万円(同7700万円の赤字)、純利益1億900万円(同7800万円の赤字)と黒字転換し、利益は、IPO時予想を1600万円~2500万円上ぶれて着地した。同社は、AIの力による経理DX(デジタルトランスフォーメーション)などを推進する会計分野に特化した「経理AI事業」を主力事業としており、APIソリューション「Robota」シリーズや会計帳簿の入力業務・確認作業を効率化するクラウド型AIプラットフォーム「Remota」が、2023年10月からのインボイス制度の導入、2024年1月の改正電子帳簿保存法の猶予期間切れなどとなる好事業環境下、経理DX(デジタルトランスフォーメーション)のニーズの高まりを受け好調に推移し、同社の経理AI事業の導入件数が、前々期の83件から110件に拡大し、効率的なマーケティング手法に転換して広告宣伝費を縮小させたことなどが要因となった。

 今12月期業績も、売り上げ16億3200万円(前期比34.2%増)、営業利益1億6700万円(同32.5%増)、経常利益1億6700万円(同42.4%増)、純利益4億380万円(同3.48倍増)と黒字幅拡大を見込んでいる。同社のAIサービスの導入件数の増加に加え、同サービスのARPA(1アカウント当たりの平均収益)が、導入会社の本社での利用開始から全社、さらにはグループ会社全体への利用拡大に進むアップセルや、また新サービスや新機能を追加するクロスセルなどで高まることも寄与する。純利益は、税効果で大幅増益となり前期の過去最高を連続更新する。配当は、前期に1.25円(前々期は無配)と初配当を実施予定だが、今期は2.20円と増配を予定している。

■最高値調整幅の3分の2戻し水準からGC示現がオンして全値戻しに騰勢加速

 株価は、昨年9月に公開価格1320円でIPOされAI関連株人気も加わり2354円で初値をつけ、上場来高値2554円まで買い進まれ公開価格比93%高となった。その後の昨年11月の調整安値となる上場来安値1192円ではダブルボトムを形成して底上げ、最高値調整幅の半値戻し1873円をクリアしたころに、12月期決算の発表、今期業績の連続最高業績・増配予想がオンしてストップ高し、相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに弾みをつけ3分の2戻し水準をクリアした。移動平均線でも25日移動平均線が、75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を示現して上昇トレンド転換を鮮明化させている。昨年11月の戻り高値2490円抜けから上場来高値2554円奪回に騰勢加速となろう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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