生化学工業は24年3月期3累計減益、通期予想据え置き
- 2024/2/16 09:47
- 決算発表記事情報
(決算速報)
生化学工業<4548>(東証プライム)は2月14日の取引時間終了後に24年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。売上原価率の上昇や海外子会社等の販管費の増加などで減益だった。そして通期予想(23年11月8日付で上方修正)を据え置いた。なお第3四半期累計の利益は通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の承認申請に向けた費用が第4四半期に集中する見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く、再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く昨年来安値圏だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。
■24年3月期3Q累計減益、通期予想据え置きだが再上振れ余地
24年3月期第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比4.7%増の273億84百万円、営業利益が31.6%減の23億28百万円、経常利益が27.7%減の30億49百万円、親会社株主帰属四半期純利益が25.6%減の27億01百万円だった。
売上面は、医薬品事業における米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束がマイナス要因だったが、一方で国内医薬品や中国向けアルツの出荷数量増加、ロイヤリティーの増加、円安効果などにより増収だった。利益面は、売上原価率の上昇、円安に伴う海外子会社等の販管費の増加などにより減益だった。なお研究開発費は4.8%減の50億98百万円だった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は3億96百万円、当期は2億36百万円)した。
医薬品事業は売上高が9.9%増の197億27百万円、営業利益が10.6%増の15億43百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が1.9%増の90億20百万円、海外医薬品が8.8%増の75億33百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が13.6%増の24億74百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は2百万円)だった。
国内医薬品では、薬価引き下げの影響があったものの、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品では、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果で増収、中国向けアルツが前年第1四半期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造では、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。また第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上した。
LAL事業は売上高が6.7%減の76億57百万円、営業利益が61.0%減の7億85百万円だった。海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が96億61百万円、営業利益が12億98百万円、経常利益が19億59百万円、第2四半期は売上高が84億00百万円、営業利益が1億84百万円、経常利益が3億68百万円、第3四半期は売上高が93億23百万円、営業利益が8億46百万円、経常利益が7億22百万円だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。
通期連結業績予想(23年11月8日付で上方修正)は据え置いて売上高が23年3月期比7.9%増の361億円、営業利益が38.5%減の13億円、経常利益が26.7%減の22億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が16.2%増の26億円としている。配当予想も据え置いて23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。
通期セグメント別売上高計画は、医薬品事業が13.5%増の258億円(国内医薬品が9.1%増の123億円、海外医薬品が13.1%増の96億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.0%増の31億50百万円、ロイヤリティーが6億98百万円増加の7億円)で、LAL事業が4.0%減の103億円としている。研究開発費の計画は23年3月期比4.9%増の75億50百万円としている。
なお第3四半期累計の利益は通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603の承認申請に向けた費用が第4四半期に集中する見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く、再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は反発力が鈍く昨年来安値圏だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。2月15日の終値は748円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円66銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約425億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)