マーケットエンタープライズは24年6月期予想を下方修正、25年6月期収益回復期待

(決算速報)
 マーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)は2月14日の取引時間終了後に24年6月期第2四半期累計連結業績を発表した。売上面は個人リユース事業が牽引して2桁増収だが、営業利益は成長投資を継続しているため前年並みの赤字、経常利益と純利益はデリバティブ評価損益の悪化や減損損失の計上などにより赤字拡大した。そして通期予想を下方修正した。売上高が期初計画を下回る見込みとなり、営業利益は増益幅が縮小、経常利益と純利益は赤字予想とした。なお下方修正の経営責任を明確にするため役員報酬の減額を決議した。積極的な事業展開で25年6月期の収益回復を期待したい。株価は下方修正を嫌気して急落し、一気に昨年来安値を更新したが、売り一巡して出直りを期待したい。

■24年6月期2Q累計は赤字、通期予想を下方修正

 24年6月期第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比15.4%増の85億26百万円、営業利益が41百万円の損失(前年同期は43百万円の損失)、経常利益が2億82百万円の損失(同73百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が6億27百万円の損失(同1億34百万円の損失)だった。

 売上面は個人リユース事業が牽引して2桁増収だが、営業利益は成長投資を継続しているため前年並みの赤字、経常利益はデリバティブ評価損益の悪化(SBI証券との差金決済型自社株価先渡取引契約に基づくデリバティブ評価損益、前年同期は評価益4百万円、当期は評価損1億91百万円)で赤字拡大、そして四半期純利益は減損損失1億90百万円の計上も影響して赤字拡大した。

 なお営業利益+1百万円の増減要因分析は、増益要因として増収要因+4億14百万円、粗利益率改善(0.2ポイント改善)+17百万円、減益要因として人件費・採用費増加▲2億94百万円、拠点関連費用増加▲1億07百万円、その他販管費増加(業容拡大に伴う荷造運賃・販売手数料等の増加)▲28百万円だった。

 ネット型リユース事業は売上高が25.5%増の51億11百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が25.7%増の1億53百万円だった。売上面は個人向けリユース、マシナリー、おいくらとも好調に推移し、利益面では第2四半期以降の生産性向上策も寄与した。

 メディア事業は売上高が16.0%減の3億30百万円で、利益が33.1%減の1億54百万円だった。主にGoogle社が実施した検索エンジンにおけるコアアルゴリズム変更の影響を受け、主なメディアの検索ランキングが変動し、全体としてPV(ページビュー)数が低調に推移した。

 モバイル通信事業は売上高が3.9%増の31億13百万円で利益が103.2%増の1億76百万円だった。新規回線の獲得数が堅調に推移した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が41億06百万円で営業利益が1億54百万円の損失、第2四半期は売上高が44億20百万円で営業利益が1億13百万円だった。第2四半期は新規拠点開設などの先行投資をこなしながら営業損益が改善した。

 通期の連結業績予想については2月14日付で下方修正し、売上高が23年6月期比18.0%増の180億円、営業利益が5.7%増の1億円、経常利益が1億35百万円の損失(23年6月期は94百万円の利益)、親会社株主帰属当期純利益が5億47百万円の損失(同2億90百万円の利益)としている。

 前回予想(23年8月14日公表)に対して、売上高を20億円、営業利益を7億円、経常利益を8億80百万円、親会社株主帰属当期純利益を9億17百万円それぞれ下方修正した。個人向けリユース分野において、出張買取人員の教育や高粗利案件への対応が想定よりも時間を要しているため売上高が計画を下回り、営業利益は増益幅が縮小、経常利益と純利益は赤字予想とした。コスト面では第3四半期に予定している本社移転費用の計上も影響する見込みだ。デリバティブ評価損益については第2四半期末水準を据え置いた。なお下方修正の経営責任を明確にするため役員報酬の減額を決議した。24年6月期は経常・最終赤字予想となったが、積極的な事業展開で25年6月期の収益回復を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は下方修正を嫌気して急落し、一気に昨年来安値を更新したが、売り一巡して出直りを期待したい。2月15日の終値は827円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS253円92銭で算出)は約3.3倍、そして時価総額は約44億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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