アイフリークモバイルは売り一巡、24年3月期下方修正だが25年3月期収益回復期待

 アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開し、成長戦略としてブロックチェーン技術を活用したNFTコンテンツ分野やe-Sports関連サービスなども強化している。24年3月期はコンテンツ事業における一部サービス終了や既存アプリ改修に関する先行投資、コンテンツクリエイターサービス(CCS)事業における既存顧客への単価改定遅れなどの影響で下方修正してが、コンテンツ事業における既存サービスの顧客拡大、CCS事業における単価改定やエンジニア育成の進展など、積極的な事業展開で25年3月期の収益回復を期待したい。株価は下方修正を嫌気する形で昨年来安値を更新する場面があったが、売り一巡感を強めている。こども関連のテーマ性も評価材料であり、出直りを期待したい。

■コンテンツ事業とコンテンツクリエイターサービス事業を展開

 携帯電話・スマートフォン向けコンテンツ企画・開発・配信のコンテンツ事業、WEBコンテンツ制作・システム受託開発・人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。

 効率的な事業体制構築に向けて、21年1月に孫会社ファンレボの全株式を譲渡、21年2月に子会社アイフリークGAMESを吸収合併、21年6月に子会社リアリゼーションを吸収合併、22年12月にグラングループ(グランディール、グランソル、グランデュオの3社)から技術開発部門の一部を譲り受けた。また24年4月1日付(予定)で子会社のアイフリークスマイルズを吸収合併する。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比はコンテンツ事業が11%、CCS事業が89%、利益構成比(全社費用等調整前営業利益)はコンテンツ事業が2%、CCS事業が98%だった。

 成長戦略としては、CCS事業を基盤にコンテンツ事業の収益化を目指す方針としている。重点施策として、コンテンツ事業におけるユーザー数の拡大、20万点以上のデジタルコンテンツ資産の有効活用、CCS事業における人材確保、専門領域に特化したエンジニアチームの育成、協業先の開拓などを推進する。

■コンテンツ事業は電子絵本アプリや知育アプリなど

 コンテンツ事業は、デコメ・絵文字・スタンプ・壁紙などのデジタル素材「デココレ」のほか、電子絵本アプリ「森のえほん館」や知育アプリ「あそびタッチ」などの低年齢層向けファミリーコンテンツ、オリジナル絵文字やグループチャットを搭載したウォレットアプリ「Challet」なども展開している。絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。なおデジタルコンテンツは、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。

 22年12月には、子会社アイフリークスマイルズが運営(18年1月よりサービス開始)するYouTubeチャンネル「Popo Kids(ポポキッズ)」で配信している絵本動画が、トーハンが運営する全国書店ネットワーク「e-hon」内に新たに設置されるコーナー「読み聞かせ動画から広がる絵本の世界」に提供開始された。なお23年6月には「Popo Kids」のチャンネル登録者数が10万人を突破した。

 23年1月には、絵本を読んで語学学習ができるアプリ「なないろえほんの国」の一部機能の無料開放を開始した。定期購読すれば単語帳機能やシール帳機能などの追加機能が利用可能になり、より学習に特化したアプリとして利用できる。23年4月には小学校低学年向けの計算学習アプリ「九九のトライ」iOS版のリニューアルを実施した。

 23年8月には吉本興業とのコラボ企画として、吉本興業に所属する人気芸人「kento fukaya」氏と「山崎おしるこ(ムームー大陸)」氏の両名が制作した絵本2作品を、絵本読み放題のアプリ「森のえほん館」で配信するとリリースしている。

■CCS事業はWEBコンテンツ制作・システム受託開発など

 CCS事業は、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣を展開している。22年10月には、NHN JAPANグループのNHN テコラス社が提供する「テコラス パートナープログラム」に参画した。NHN テコラス社は日本に12社しかないアマゾン ウェブ サービス(AWS)の最上位プレミアティア サービスパートナーとしてAWSを中心としたITインフラ総合支援サービスを提供している。NHN テコラス社が提供する多様なサービスを活用することでビジネス拡大を推進する。

■NFTコンテンツ分野

 次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。

 20年9月にはミャンマーの新興通信事業者GALAXIA社と、ミャンマーにおけるモバイルコンテンツサービス分野およびシステムインテグレーション分野で業務提携した。20年10月にはRPA導入コンサルティングサービスのITSO社と業務提携、20年11月にはITエンジニア育成EdTechサービスのヒートウェーブと業務提携、20年12月にはAI CROSS社とセールスパートナー契約を締結した。

 21年10月には、UUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社(現NUNW社)と、戦略的業務提携契約を締結した。そして21年11月にはFORO社が運営するNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム」第1弾を本格始動した。

 22年2月には有信アクロス(大阪府吹田市)と障がい児向け知育アプリ提供事業に関する業務提携に向けた基本合意書を締結した。有信アクロスは全国219ヶ所で放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」をフランチャイズ展開するとともに、児童発達支援も行っている。そして22年10月には具体的内容として、知育アプリに特化したタブレットのリース事業「知育アプリ提供サービス」の開始を発表した。

 22年3月にはJリーグクラブ「ジュビロ磐田」を運営するジュビロとサポーティングカンパニー契約を締結した。同クラブのマスコットキャラクターが登場する電子絵本を共同制作する。

 22年6月にはアーティストのためのXRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を運営するPsychic VR Lab社と、メタバース・VR・AR・MR技術を包括する「XR領域」において、アーティスト/クリエイターの発掘・育成支援を目的とする連携を開始した。メタバース事業領域への新たな取り組みとして「CREPOS」クリエイターに向けた特別講義を提供する。

 23年7月には、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」と、NFT/XRクリエイターOmayu氏とのコラボ制作アバターの無料配信を開始した。

■e-Sports関連サービス

 23年2月には、日本のe-Sports業界における受託事業に特化したウェブサイト開設を発表した。ゲーム関連事業が有するノウハウを活用したe-Sports関連サービス(イベント企画・運営・配信・機材貸出・スタッフ派遣等)の提供を通じて、e-Sportsの発展に貢献する方針としている。23年4月には、e-Sportsプロプレイヤーとして世界的に活躍するaMSa(アムサ)選手とスポンサー契約を締結した。

 23年5月には子会社I-FREEK GAMESを設立した。そしてI-FREEK GAMESがエスティーエーグループの一部事業(ITエンジニアリング部門の一部)を譲り受けた。23年8月にはI-FREEK GAMESがe-Sportsコミュニケーションスタジオをオープンした。また23年8月にはI-FREEK GAMESが、スマートテックグループより技術開発事業の一部(スマートテクノロジーおよびその他グループ会社等の計9社)を譲り受けた。

■24年3月期3Q累計赤字、通期下方修正だが25年3月期収益回復期待

 24年3月期の連結業績予想2月14日付で下方修正し、売上高が23年3月期比0.5%減の25億93百万円、営業利益が1億11百万円の損失(23年3月期は84百万円の利益)、経常利益が96百万円の損失(同1億50百万円の利益)、親会社株主帰属当期純利益が93百万円の損失(同1億48百万円の利益)としている。なお未定としていた配当予想は無配とした。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比1.1%減の19億06百万円、営業利益が91百万円の損失(前年同期は61百万円の利益)、経常利益が76百万円の損失(同1億18百万円の利益)、そして親会社株主帰属四半期純利益が74百万円の損失(同1億15百万円の利益)だった。

 コンテンツ事業における一部サービス終了や既存アプリ改修に関する先行投資、コンテンツクリエイターサービス(CCS)事業における単価改定遅れなどの影響で赤字だった。

 コンテンツ事業は売上高が36.0%減の1億31百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が33百万円の損失(前年同期は7百万円の利益)だった。一部サービスの終了(決済承認ワークフローシステムのアプリサービス「Challet」が23年10月に終了)などで減収となり、利益面では既存アプリ改修に関する先行投資なども影響した。

 コンテンツクリエイターサービス(CCS)事業は、売上高が3.0%増の17億74百万円で、セグメント利益が41.5%減の1億43百万円だった。稼働率が比較的高い水準で推移したことや、エスティーエーグループおよびスマートテックグループから事業の一部を譲り受けたことなどにより増収だが、エンジニアのベースアップに対する既存顧客への単価改定遅れなどの影響で減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が6億49百万円で営業利益が4百万円の損失、第2四半期は売上高が6億13百万円で営業利益が48百万円の損失、第3四半期は売上高が6億44百万円で営業利益が39百万円の損失だった。

 通期は前回予想(23年5月15日付公表値)に対して売上高を3億37百万円、営業利益を2億03百万円、経常利益を1億82百万円、親会社株主帰属当期純利益を1億76百万円、それぞれ下方修正して各利益は赤字予想とした。ただし、コンテンツ事業における既存サービスの顧客拡大、CCS事業における単価改定やエンジニア育成の進展など、積極的な事業展開で25年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は下方修正を嫌気する形で昨年来安値を更新する場面があったが、売り一巡感を強めている。こども関連のテーマ性も評価材料であり、出直りを期待したい。2月26日の終値は92円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS45円98銭で算出)は約2.0倍、そして時価総額は約16億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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