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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アーバネットコーポレーションは8月安値で底打ち、4%台の高配当利回りも評価
- 2015/9/28 08:44
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アーバネットコーポレーション<3242>(JQS)は投資用マンションの開発・販売を主力としている。株価は8月安値で底打ちしたようだ。16年6月期増収増益基調、1桁台の予想PER、そして4%台の高配当利回りを評価して出直り展開だろう。
■投資用マンションの開発・販売が主力
東京23区を中心に投資用・分譲用マンションの開発・販売事業を展開している。収益基盤強化に向けて、15年3月に子会社アーバネットリビングを設立(7月操業)した。
当社は投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売や分譲マンションの開発などのBtoB卸売、子会社アーバネットリビングは当社開発物件の戸別販売、他社物件の買取再販、マンション管理・賃貸などのBtoC小売を基本事業とする。
REIT、ファンド、海外投資家の参入などで投資用ワンルームマンションに対する投資・購入マインドは旺盛だ。日銀の異次元金融緩和、20年東京夏季五輪、脱デフレ、そして日本経済再生の流れも追い風となる。
■海外投資家への直接販売も強化
都心部での事業用地取得難、土地価格上昇と建設コスト上昇による売上総利益率低下傾向という事業環境に対して、投資意欲旺盛な台湾・シンガポール・香港・中国本土の海外投資家への直接販売など販売手法の多様化、川崎市や横浜市など人口増加・優良地域への開発エリアの拡大、売上総利益率安定化に向けた分譲物件開発の平準化などの施策を強化している。
海外投資家への直接販売については、14年7月売買契約締結した投資用ワンルームマンション「アジールコート銀座イースト」(39戸、15年6月期売上計上)が第一弾となり、14年11月に投資用ワンルームマンション「アジールコート新宿」(38戸、16年5月竣工・16年6月期売上計上予定)の売買契約を締結した。
また15年2月に投資用ワンルームマンション「AXAS大森西アジールコート」(15年6月竣工、マンション74戸、店舗1戸)の店舗1戸の売買契約(15年6月期売上計上)を締結した。
■16年6月期増収増益基調
15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(非連結7月~9月)29億47百万円、第2四半期(非連結10月~12月)18億84百万円、第3四半期(連結1月~3月)53億91百万円、第4四半期(連結4月~6月)16億88百万円、営業利益は第1四半期3億63百万円、第2四半期1億33百万円、第3四半期9億51百万円、第4四半期2億05百万円だった。物件売上計上で四半期収益は変動しやすい収益構造である。
また15年6月期の売上総利益率は21.7%(14年6月期非連結ベースの18.8%に対して2.9ポイント上昇)だった。ROEは21.1%、自己資本比率は32.6%で、配当性向は31.3%だった。配当性向については約30%を目安としている。
今期(16年6月期)の連結業績予想(8月6日公表)は、売上高が前期比34.3%増の160億円、営業利益が同6.5%増の17億60百万円、経常利益が同3.2%増の14億40百万円、純利益が同3.1%増の9億円としている。
売上面では投資用ワンルームマンション661戸(前期は投資用ワンルームマンション11棟507戸、コンパクトマンション1棟47戸)、および建売4戸、買取再販44戸の販売を予定して大幅増収見込みだ。
売上総利益率の想定は同3.3ポイント低下の18.4%としている。前期に利益率の高い物件が含まれていたことに加えて、17年6月期売上計上予定の分譲マンション販売に係る販売促進費を計上するため、利益の伸び率は小幅にとどまるとしている。
低金利の継続、相続税増税による不動産投資の見直し需要の高まり、そして円安に伴って海外投資家が加わり、投資用ワンルームマンションに対する投資・購入マインドは旺盛である。増収増益基調が期待される。
なお配当予想(8月6日公表)は同1円増配の年間14円(第2四半期末7円、期末7円)としている。予想配当性向は38.8%となる。
■株価は徐々に下値を切り上げ、8月安値で底打ち
株価の動きを見ると、悪地合いの影響で8月25日に1月の年初来安値に並ぶ267円まで急落する場面があったが、その後は290円~300円近辺に戻して徐々に下値を切り上げている。8月安値で底打ちしたようだ。
9月25日の終値295円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS36円06銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間14円で算出)は4.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS203円43銭で算出)は1.5倍近辺である。なお時価総額は約74億円である。
週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んで調整局面だが、8月急落に長い下ヒゲをつけ、その後は下値を切り上げる動きだ。8月安値で底打ちした可能性があり、16年6月期増収増益基調、1桁台の予想PER、そして4%台の高配当利回りを評価して出直り展開だろう。