【アナリスト水田雅展の銘柄分析】東洋ドライルーブは16年6月期営業増益予想、低PERと低PBRも見直し

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 東洋ドライルーブ<4976>(JQS)はドライルーブ製品のコーティング加工事業を展開している。株価は悪地合いも影響して急落したが調整一巡感を強めている。16年6月期は営業増益予想だ。1桁台の低PERや0.3倍近辺の低PBRという指標面の割安感も見直して反発展開だろう。

■ドライルーブ製品のコーティング加工が主力

 ドライルーブ(固体皮膜潤滑剤)製品のコーティング加工を主力として、その他事業ではナノカーボン製品の製造も展開している。海外は中国、タイ、ベトナムに展開している。

 ドライルーブとは二硫化モリブデン、フッ素樹脂、グラファイトなどの潤滑物質と各種特殊バインダーをハイブリッド配合し、各種溶剤または水に分散させた有機結合型の多機能皮膜である。

 ドライルーブでコーティング加工することにより各種素材の摩擦係数を大幅に低減できるなど、耐摩耗性に優れているため自動車機器、デジタル家電、デジタルカメラなどの駆動伝達部で、オイルやグリースなどの液体潤滑剤を使用できない部位にコーティング皮膜として使用される。

 中期成長に向けた事業戦略では新製品・新加工技術の開発、アジア地域を中心としたグローバル展開、海外連結子会社の生産性改善を積極推進する方針を掲げている。そして新製品では発熱皮膜、放熱皮膜、撥油皮膜、超撥水皮膜、DLC皮膜、LUBICKシリーズなどの開発を強化している。

■16年6月期は営業増益予想、為替次第で最終増額余地

 なお15年6月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)12億08百万円、第2四半期(10月~12月)12億07百万円、第3四半期(1月~3月)11億99百万円、第4四半期(4月~6月)12億26百万円、営業利益は第1四半期81百万円、第2四半期70百万円、第3四半期72百万円、第4四半期44百万円だった。

 また配当性向は12.7%だった。ROEは14年6月期比0.2ポイント上昇して5.7%、自己資本比率は同0.2ポイント低下して75.1%だった。

 今期(16年6月期)の連結業績予想(8月7日公表)は、売上高が前期比5.6%増の51億10百万円、営業利益が同12.3%増の3億円、経常利益が同21.7%減の4億30百万円、純利益が同8.4%減の3億05百万円としている。

 営業外収益での為替差益を見込まず経常減益、最終減益予想だが、電気・電子部品業界や光学機器業界の復調で増収、営業増益予想だ。なお営業外収益では持分法投資損益の増加を見込んでいる。為替動向次第では経常利益、純利益に増額余地がありそうだ。

 セグメント別売上高の計画については、ドライルーブ事業が同5.3%増の50億80百万円(自動車関連が同2.0%増の36億47百万円、電子部品関連が同22.2%増の4億90百万円、光学機器関連が同19.6%増の5億24百万円、その他が同2.2%増の4億19百万円)で、その他事業が同2.1倍の30百万円としている。

 配当予想は前期と同額の年間32円(第2四半期末15円、期末17円)としている。予想配当性向は13.9%となる。配当方針については、経営体質を強化するための必要な内部留保と成果配分のバランスを勘案したうえで、安定的な配当を継続していくことを基本方針としている。

■株価は調整一巡、低PERや低PBRも見直し

 株価の動きを見ると、悪地合いも影響して8月26日に年初来安値1504円、9月8日に1505円まで急落する場面があった。その後は9月28日に1600円まで戻して調整一巡感を強めている。

 9月28日の終値1600円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS230円35銭で算出)は7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4632円08銭で算出)は0.3倍近辺である。なお時価総額は約22億円である。

 週足チャートで見ると窓を開けて急落したが、年初来安値圏1500円近辺で下ヒゲをつけて調整が一巡したようだ。16年6月期営業増益予想であり、1桁台の低PERや0.3倍近辺の低PBRという指標面の割安感も見直して反発展開だろう。

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