【話題株】スズキは排ガス不正のVW株と完全に決別、先見の明ありとの評価も

スズキ

■4年前から提携解消を求めて実現、VWの「敵失」追い風

話題株 独フォルクスワーゲンAG(VW)がディーゼル排ガス測定を巡る不正問題に揺れる中、スズキ<7269>(東1・売買単位100株)は9月30日の受け渡し予定で独フォルクスワーゲンAG(VW)株を売却すると26日に発表した。

 両社は2009年に資本・業務提携したが、さる9月17日には、VWが保有していたスズキ株も立会い外取引で買い取った。スズキは11年頃から解消を申し出ていたとされ、「海外投資家の中には、スズキは鼻が利く会社だとの印象を抱く運用担当者が出てきたようだ」(市場関係者)との見方が出ている。VWの「敵失」に乗る最有力候補は独BMWとの見方だが、日本国内市場ではスズキにも追い風がふく可能性は十分にありそうだ。

 市場関係者の中には、スズキが晴れて自由の身になった結果、新たな提携に関するニュースなどに反応しやすくなるとして注目する様子もある。需給面では、信用倍率が1.3倍前後のため需給がタイトで、動き出した方向に値動きが加速しやすい状態であることも注目要因といえる。

 VWとの持ち合い株解消に際しては、スズキはVWの株式売却により約367億円の売却益が出る見込みとしたが、一方で、VWが保有していたスズキ株を立会い外取引で買い取った取得価額は約4603億円の見込みと発表した。金額上は多額の持ち出しになるが、これらを発表した後の株価は一時5%近く上げる場面を見せるなど、概して好意的な反応を見せた。

 スズキ株は29日、日経平均の500円安などに押されて朝方に3565円(128円安)まで下げ、15年4月以来の水準まで調整を深めている。自動車株が中国経済の減速などを背景に全般に安く、鉄鋼株や商社株などには年初来の安値が相次ぐ状況のため、目先はタイミングが整うのを待つ局面といえる。ただ、2012年からの長期上昇基調には崩れがなく、長期上昇基調の中で微調整にとどまる銘柄として注目の余地が大きいといえる。

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