【チャート診断】日本郵船はリーマンショックの後遺症引きずる、さらにチャイナショックが頭を押さえ株価航行に暗雲
日本郵船<9101>(東1・1000株単位)は世界大手の海運会社で優良銘柄グループの一つとして位置づけられる。しかし、株価はリーマンショックが尾を引いた展開で冴えない。さらに、ここに来てチャイナショックが上値を押さえる状況となっている。
<歩み&現在位置>
少し長いスパンでみれば優良株水準の尺度とされるリーマンショック直前の2007年高値に対し、同社は07年高値1276円から現在、わずか2合目にすぎない。優良銘柄の多くが2007年高値を更新、あるいは奪回したことと比べると明らかに見劣りする。
足元では今年3月に398円まで値を上げたが400円乗せは達成できなかった。5月に再度385円と買われたところで見事な、「二番天井」となって調整入り、9月29日は269円と年初来安値を更新している。
<マーケットの視点>
世界の大手海運会社ということから世界経済の行方に一番の関心が集まっている。「株価の面ではリーマンショックから抜け切れていない。さらに、中国経済の先行き不安がのしかかってきたことはさらに株価を重くする」(市場関係者)という。
リーマンショックでは2010年3月期と2013年3月期に大きい赤字に転落した。このため、チャイナショックという言葉の響きには身構えることになるようだ。実際、世界景気停滞で第一中央汽船が経営破たんした。
今3月期は1株利益32.4円、配当は年8円の見通し。今日の安値では利回りは2.97%と魅力的水準、PERでも8.3倍と割安。
このため、昨年10月の安値247円を下回ることはないとみられる。ただ、世界経済規模第2位の大国である中国経済が急速に悪化することにでもなればリーマンショック時のような業績悪化は予想されないことではない。しばらくは、下値圏のモミ合いを続けながら中国経済と世界経済の動向を見守る展開とみられる。