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協立情報通信は調整一巡、25年3月期も収益拡大期待
- 2024/4/4 08:58
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
協立情報通信<3670>(東証スタンダード)は、中堅・中小企業のICT化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。成長戦略として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営などを推進している。24年3月期(第2四半期から非連結決算に移行したため前期比増減率は非表示)は、前期の連結決算との比較で増収増益予想としている。さらに25年3月期も積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から反落の形となったが、低PERや高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。
■ソリューション事業とモバイル事業を展開
中堅・中小企業のICT(情報通信技術)化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。なお23年10月10日に創業60周年を迎えた。
23年3月期は、ソリューション事業の売上高が16億26百万円で営業利益(全社費用等調整前)が3億87百万円、モバイル事業の売上高が33億56百万円で営業利益が2億17百万円だった。
ソリューション事業は、NEC<6701>、NTTドコモ<9437>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、日本マイクロソフト、サイボウズ<4776>の主要パートナー企業5社の製品・サービスを融合し、会計情報ソリューションやマイクロソフト365サービスなど、情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用の3分野を総合したワンストップソリューションの経営情報ソリューションサービスを提供している。
体感型フューチャーラボの「協立情報コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。23年6月にはオービックビジネスコンサルタントより「OBCパートナーアワード 2022-2023 地域優秀賞」を受賞した。23年9月にはMicrosoft365セミナー(クラウド体験・聴講セミナー)を全面リニューアルした。
モバイル事業はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ5店舗(東京都内2店舗、埼玉県内3店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューション(ドコモ法人・モバイルサービス)を展開している。23年10月にはドコモショップ三郷インター店(埼玉県三郷市)が「NTTドコモ関信越支社2023年度第1四半期NPS優良店舗」として表彰された。
■中期経営計画
スマホ市場の成長鈍化やクラウドSaaSの急速な普及など、事業環境の変化に対応して、23年6月に中期経営計画を見直した。新たな中期経営計画(24年3月期~26年3月期、ローリング方式)では、最終年度26年3月期の目標値には売上高60億円、営業利益4億円、当期純利益2.6億円、純資産23億円、EPS222円、BPS1960円を掲げている。株主還元については配当性向30%~40%程度を目途に、業績連動による適正な配当を実施するとともに、業績悪化時も一定水準を維持する方針としている。
成長戦略として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営を推進するとしている。
事業ポートフォリオの再構築では、収益構造(売上高)の目標として、23年3月期実績49.8億円(法人系25.5億円、店舗系24.3億円)から、26年3月期に60億円(法人系40億円、店舗系20億円)へ、さらに長期目標の100億円(法人系80億円、店舗系20億円)を目指すとしている。24年3月期~25年3月期はパートナー共創の強化、融合事業サービスの強化、継続収益サービスの進化、26年3月期以降は事業拡張の強化、営業エリアの拡大、サービス領域の拡大を推進する。
継続収益の拡大では、売上規模の拡大を図りつつ、継続収入金額・比率の目標として、23年3月期実績9億67百万円・19%から、26年3月期に13億80百万円・23%を目指すとしている。クラウドサービスの深化、サブスク型サービスの拡大、サポートサービスの強化などを推進する。
サステナブル経営の推進については、経営理念のもと、すべてのステークホルダーに配慮し、環境負荷低減への貢献、ダイバーシティ推進と人財育成、顧客・パートナーとの共創、コーポレートガバナンスの充実などサステナブル(ESG、DSGs)経営を推進する。
■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書
22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に関してはスタンダード市場を選択し、21年12月15日付でスタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画2024で打ち出した基本戦略を着実に遂行し、定量目標の達成による収益力の強化・利益の拡大、株主還元の充実、コーポレートガバナンスの充実、資本政策の検討・実施、IR活動の充実と情報発信の強化などによって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図り、26年3月期にスタンダード市場上場維持基準の充足を目指すとしている。
なお資本政策の検討・実施については、流通株式比率37%以上の維持と株主利益に配慮しつつ、流通株式時価総額の適合に資する各施策(自己株式の処分、非流通株式の縮減、ストック・オプションの従業員行使など)について是非を検討する。
そして23年6月には、計画に基づく進捗状況をリリースした。23年3月末時点で、流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準を充たしていないが、当初計画通り26年3月期までに、上場維持基準を充たすために各種取組を推進するとしている。
■24年3月期増収増益予想、25年3月期も収益拡大期待
24年3月期の業績(23年7月1日付で子会社の神奈川協立情報通信を吸収合併して第2四半期より非連結に移行、23年11月8日付で修正)予想は売上高が52億円、営業利益が2億50百万円、経常利益が2億56百万円、そして当期純利益が2億23百万円としている。従来の連結業績予想に対して、特別利益に抱合せ株式消滅差益70百万円を計上(第2四半期に計上)するため、当期純利益を57百万円上方修正した。配当予想は23年3月期と同額の55円(期末一括)としている。予想配当性向は29.5%となる。
なお、23年3月期の連結業績(売上高49億83百万円、営業利益1億84百万円、経常利益1億92百万円、親会社株主帰属当期純利益1億23百万円)との比較で見ると、売上高は4%増収、営業利益は36%増益、経常利益は33%増益、当期純利益は81%増益となり、実質増収増益予想である。
第3四半期累計(第2四半期から非連結決算に移行したため比較は非表示)は売上高が40億11百万円、営業利益が1億80百万円、経常利益が1億86百万円、四半期純利益が1億95百万円だった。前年同期の連結業績(売上高35億円、営業利益85百万円、経常利益92百万円、親会社株主帰属四半期純利益58百万円)との比較で見ると、売上高は15%増収、営業利益は111%増益、経常利益は102%増益、四半期純利益は237%増益となる。実質的に大幅増収増益で着地した。ソリューション事業、モバイル事業とも順調だった。なお特別利益に抱合せ株式消滅差益70百万円を計上した。
ソリューション事業は売上高が12億41百万円で営業利益(全社費用等調整前)が3億32百万円だった。連結ベースの前年同期(売上高11億10百万円、営業利益2億55百万円)との比較で12%増収、30%営業増益だった。基幹業務システムのクラウドサービスへの移行、DX化を推進するための各種ソリューション・機器の提案・導入支援が順調だった。
モバイル事業は売上高が27億70百万円で営業利益が1億71百万円だった。連結ベースの前年同期(売上高23億90百万円、営業利益1億45百万円)との比較で16%増収、18%営業増益だった。店舗事業では高性能・高価格のスマートフォンおよび付属品等副商材の売上が堅調に推移し、法人サービス事業では端末サポートサービスが堅調だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期(連結)は売上高が10億34百万円で営業利益が14百万円、第2四半期(非連結へ移行)は売上高が14億39百万円で営業利益が79百万円、第3四半期は売上高が15億45百万円で営業利益が91百万円だった。
通期予想は据え置いている。第3四半期累計の進捗率は売上高が77%、営業利益が72%、経常利益が73%、当期純利益が87%と順調である。さらに25年3月期も積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末時点で5単元(500株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて島根県の特産品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は調整一巡
株価は戻り高値圏から反落の形となったが、低PERや高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。4月3日の終値は1720円、前期推定予想PER(会社予想のEPS186円17銭で算出)は約9倍、前期推定配当利回り(会社予想の55円で算出)は約3.2%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1578円86銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約21億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)