■コロナ特需終了、物価高が経営を直撃
店舗や自社工場の焼き立てパンがブームを呼び、コロナ禍では中食需要を取り込んで根強い人気を誇っていたパン屋さん。しかし、東京商工リサーチの調査によると、2023年度(4-3月)の「パン製造小売」の倒産は37件(前年度比85.0%増)で、前年度の約2倍に急増、年度では過去最多を記録した。
倒産増加の背景には、コロナ特需の終了と物価高の影響が挙げられる。コロナ禍でテイクアウト需要が増加し、各種支援策も追い風となり、パン屋さんの倒産は抑制されていたが、特需の終了と支援策の縮小により、経営環境は悪化した。さらに、ウクライナ情勢や長引く円安による小麦価格の上昇、原油価格の高騰による光熱費負担の増加など、物価高が経営を圧迫している。
倒産したパン屋さんの8割以上は従業員数5人未満の小規模経営。人手不足や設備投資の負担などが大きく、物価高の影響を受けやすい傾向がある。
パン屋さんは、人々の生活に密着した存在であり、なくてはならない存在。しかし、原材料高の影響は今後も続く見込みであり、経営環境は厳しい状況が続くと予想される。今後は、価格転嫁や新たな需要の創出など、経営課題を克服していくことが重要となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)