【アナリスト水田雅展の銘柄分析】メディアフラッグは下値を固めて調整の最終局面、15年12月期下期の収益改善期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 メディアフラッグ<6067>(東マ)は店舗巡回や覆面調査を主力とするフィールドマーケティング支援企業である。株価は第2四半期累計(1月~6月)の低進捗率を嫌気し、さらに悪地合いも影響して軟調展開となった。ただし1月の年初来安値を割り込むことなく、下値を固めて調整の最終局面のようだ。15年12月期下期の収益改善期待で反発展開だろう。

■店舗巡回や覆面調査でフィールドマーケティングを支援

 店舗・店頭に特化して、流通・飲食チェーン、消費財・食品メーカー、サービス業などのフィールドマーケティングを支援する企業である。

 リアルショップサポート(店舗巡回)で消費財・食品メーカーなどの店頭販売を支援する営業支援事業、リアルショップリサーチ(覆面調査)で流通・飲食チェーンなどの店舗活性化を支援する流通支援事業を主力として、和菓子製造販売事業、コンビニエンスストアなどを運営するストア事業、店舗・店頭状況をデータベース化する独自ソフトウェアのASP事業を展開している。

 なおストア事業(東京都内3店舗のコンビニエンスストア運営)については15年7月に廃止を発表した。事業の収益性と成長性に関して今後の高い成果を得ることが困難と判断した。

■流通ノウハウ、自社登録クルー、リアルショップマネジメントが強み

 「ITと人をキーワードに流通業界に新しい価値を創造する」という事業コンセプトのもと、従業員の約半数が流通業界出身者で構成されて豊富な「流通ノウハウ」、全国約20万人の「自社登録クルー」によるお客様目線での店舗現状確認、当社自身が店舗運営を行うことで実証された「リアルショップマネジメント」を強みとしている。

 年間45万店以上の覆面調査・店舗巡回・推奨販売を全国で展開し、これまでに巡回調査を行った企業は約500社、のべ70万店舗以上に達している。また覆面調査などに携わるメディアクルーの登録数は15年3月に全国20万人を突破した。北海道から沖縄の離島まで登録ネットワークがあり、日本全国の流通店舗の巡回調査を可能としている。

■M&Aも積極活用して業容拡大

 売上高100億円という目標に向けて、M&Aも活用しながら小売・飲食店舗の受託運営事業、流通・小売企業に特化した再生事業、ASEANを中心とした海外事業の拡大戦略も積極推進している。

 フィールドマーケティング分野では連結子会社に、MEDIAFLAG沖縄(メディアフラッグ沖縄が14年11月商号変更)、関西でセールスプロモーション派遣を展開するcabic(13年8月子会社化したキャビックが14年11月商号変更)、デジタルサイネージ製造・販売のimpactTV(14年7月子会社化したシアーズが14年11月商号変更)を置いている。

 事業再生分野では、経営コンサルティングのO&H(13年11月設立)、スポーツマーケティングやフットサルコート運営のK9(13年9月設立)、和菓子製造販売の十勝たちばな(13年10月十勝とその子会社たちばなを子会社化、14年6月十勝がたちばなを吸収合併して十勝たちばな)を置いている。なお15年7月、当社が運営するこども塾事業(ヨコミネ式学習を実施するスクール運営)をK9に承継した。

 海外は、インドネシアおよびインドで大手流通チェーンからコンビニエンスストアの店舗改善コンサルティング案件などを受注し、中国ではメディアフラッグ上海が営業活動を強化している。

■15年12月期増収増益予想、下期の収益改善期待

 今期(15年12月期)の連結業績予想(2月13日公表)は、売上高が前期比15.4%増の80億円、営業利益が同20.5%増の4億円、経常利益が同20.0%増の3億60百万円、純利益が同44.8%増の2億10百万円としている。配当予想は前期と同額の年間3円(期末一括)で予想配当性向は6.3%となる。

 なおストア事業の廃止に伴って、概算で特別利益(資産売却)5百万円、特別損失7百万円の計上を見込んでいるが、廃止による15年12月期業績への影響は軽微としている。

 第2四半期累計(1月~6月)は売上高が前年同期比25.5%増の38億08百万円で、営業利益が同3.2%増の70百万円、経常利益が同4.9%減の52百万円、純利益が4百万円の赤字(前年同期は6百万円の黒字)だった。

 増収営業増益だったが、売上高、営業利益とも計画を下回った。売上総利益率は38.6%で同1.7ポイント低下、販管費比率は36.7%で同1.3ポイント低下した。利益率の低い営業支援事業の売上構成比上昇、流通支援事業の覆面調査における大型案件での工数拡大などで売上総利益率が低下した。子会社では、impactTVが人員体制見直しなどの販管費抑制効果で収益改善し、十勝たちばなは製造コスト改善遅れなどで赤字が拡大した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、営業支援事業は新規受注が順調に拡大して売上高が同48.0%増の19億90百万円、営業利益が同31.5%増の2億68百万円だった。流通支援事業は大型案件受注も寄与して売上高が同21.8%増の3億85百万円だったが、大型案件対応に伴う臨時従業員増員の影響で営業利益が同19.3%減の1億55百万円だった。なお営業支援事業と流通支援事業における巡回稼働店舗数(cabic含む)は同2.3倍の31万834店舗だった。

 和菓子製造販売事業は、新規出店4店舗も寄与して売上高が同6.0%増の10億30百万円だったが、売上高が想定を下回り、新規出店費用や製造コスト低減遅れも影響して営業利益が59百万円の赤字(前年同期は16百万円の赤字)だった。ASP事業は売上高が25.8%増の37百万円、営業利益が同7.0%増の26百万円だった。ストア事業は売上高が同0.9%増の3億78百万円、沖縄料理店「古都首里」を閉店した効果で営業利益が同3.4倍の5百万円だった。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)20億円、第2四半期(4月~6月)18億08百万円、営業利益は第1四半期98百万円、第2四半期28百万円の赤字である。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が47.6%、営業利益が17.5%、経常利益が14.5%である。第2四半期累計の売上高と営業利益が計画を下回ったため進捗率は低水準だ。

 ただし、十勝たちばなにおける不採算店舗撤退と出店戦略見直し、人員数の適正化、製造部門のコスト低減の進展、外商卸売販売営業の強化、決算期変更(11月決算から12月決算に変更するため15年12月期は13ヶ月決算)の影響、さらにストア事業の撤退、グループ各社の収益拡大への取り組みを勘案して通期会社予想を据え置いた。親会社メディアフラッグにおいても、適正な価格設定や社内工数の見直しなどで利益率の向上を図るとしている。

 なお15年8月度の月次実績は、リアルショップリサーチ(覆面調査)が前年同月比1.1%増の9012、ラウンド業務(定期的ラウンド店舗含む)が同2.7倍の3万6973、推奨販売業務(cabic含む)が同42.6%増の5690、impactTV出荷台数が同34.0%増の8581で、総計が同81.5%増の6万256だった。

■株価は下値固めて調整の最終局面

 株主優待制度については15年5月に変更を発表した。変更後は、毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主のうち、1000株以上保有株主に対して3000円相当の菓子詰め合わせ、および12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主のうち、100株以上~1000株未満保有株主に対して1000円相当の菓子詰め合わせ、1000株以上保有株主に対して3000円相当の菓子詰め合わせを贈呈する。15年6月30日現在の株主から適用した。

 株価の動きを見ると、第2四半期累計の低進捗率を嫌気し、さらに悪地合いも影響して軟調展開となった。9月7日には512円まで調整する場面があった。ただし1月の年初来安値503円を割り込むことなく、その後は500円台でモミ合う展開だ。売り一巡して下値を固める動きのようだ。

 9月30日の終値568円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS46円14銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS262円42銭で算出)は2.2倍近辺である。なお時価総額は約26億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んだが、14年のモミ合いレンジに回帰して調整の最終局面のようだ。15年12月期第2四半期累計は計画を下回ったが、下期の収益改善期待で反発展開だろう。

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