【編集長の視点】寿スピリッツはインバウンド売り上げ拡大と新ブランド投入で成長加速

■次期業績期待を内包し分割権利落ち後安値水準で下げ渋る

 寿スプリッツ<2222>(東証プライム)は、前日10日に、今年4月9日につけた配当権利落ち後安値1796円を下抜き、この日寄り付きの安値1787.5円では、3月12日につけた株式分割権利落ち後の年初来安値1789円を更新した。ただ取引時間中の安値からは一時1805円と小幅プラス転換する場面もあり、下げ渋る動きも窺わせた。同社株は、目下集計中の2024年3月期業績を昨年11月に上方修正し過去最高純利益を大きく伸ばし、期中には大幅な株式分割を実施、配当も大幅増配を予定しており、この決算発表予定の5月14日に開示される次期2025年3月期業績への期待を高めて下げ過ぎ修正の打診買いが交錯した。推進中の中期経営計画で、インバウンド関連の売り上げを過去最高の100億円に拡大することを目指すことなどが、側面支援材料視されている。

■インバウンド売り上げはコロナ前を上回り新ブランドも続々

 目下集計中の2024年3月期業績は、売り上げが期初予想より45億9100万円、利益が17億円~25億円引き上げられ売り上げ604億6100万円(前々期比20.5%増)、営業利益141億9200万円(同42.6%増)、経常利益142億6300万円(同38.5%増)、純利益95億6000万円(同36.2%増)と見込まれ、純利益は、前期の過去最高(70億1800万円)を大幅に連続更新する。2022年10月に開始された全国旅行支援の反動減はあったものの、新型コロナウイルス感染症の感染症の位置付けが5類に移行されて人流が回復して事業環境が好転し、新ブランド発売の商品力や、新店舗出店の営業力や販売力のレベルアップを進め、国際線ターミナルの免税売上高がすでにコロナ前の水準を上回り、この増収効果に生産稼働率の上昇や販売効率の改善により利益率の向上が上乗せとなったことなどが要因となった。

 配当は、昨年9月30日を基準日に株式分割(1株を5株に分割)を実施したことに伴い期初予想の年間70円を14円としたが、業績の上方修正とともに25円として実質55円の増配としたが、今年3月にはさらに28円に引き上げ前々期実績70円に対して実質70円の連続増配を予定している。次期2025年3月期業績は、3月期決算発表時の業績ガイダンスを待たなければならないが、現在推進している中期経営計画からは続伸が有力視される。同計画では売り上げの40%超を占める主力ブランド「シュクレイ」の売り上げを2023年3月期の206億9900万円、2024年3月期見込み257億3600万円から2026年3月期に350億円へ拡大させ、インバウンド売り上げもコロナ前の53億7700万円から2021年3月期に9200万円と落ち込み、2022年3月期1億2500万円、2023年3月期19億7800万円と推移してきたものを2026年3月期に100億円に引き上げることを目標にしているためで、同社の目指す「お菓子の総合プロデューサー」により近付く。

■決算発表を先取りして売られ過ぎ修正で分割権利落ち後高値へ再発進

 株価は、昨年8月の株式分割発表を好感して1万2350円高値まで買い進まれ、1万1870円で分割権利を落とした。権利落ち後は業績上方修正で2462円と権利落ち理論価格を上回る場面もあったが、分割権利落ち後安値1789円まで調整し、再増配発表とともに増配権利取りで2066円とリバウンドし、配当権利落ちで再び下値を探り強弱感が交錯している。これから5月のゴールデンウイークなど行楽シーズンや3月期決算発表を迎えるなか売られ過ぎ修正の再人気化は有望で、まず2000円大台回復から昨年9月につけた株式分割権利落ち後高値2518円に向け再発進しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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