エスプールは24年11月期1Q営業減益、通期予想据え置き

(決算速報)
 エスプール<2471>(東証プライム)は4月12日の取引時間終了後に24年11月期第1四半期連結業績(IFRS)を発表した。減収、大幅営業減益、最終増益だった。人材ソリューション事業におけるコールセンタースポット案件の反動減、人員増強等に伴う販管費の増加などが影響した。ただしビジネスソリューション事業が牽引して概ね計画水準で着地した。そして通期の小幅営業減益・最終増益予想を据え置いた。期初時点で下期偏重の計画としており、積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが調整一巡感を強めている。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値限定的だろう。

■24年11月期1Q営業減益、通期予想(下期偏重)据え置き

 24年11月期第1四半期連結業績(IFRS)は売上収益が前年同期比7.1%減の56億58百万円、営業利益が93.3%減の25百万円、親会社株主帰属四半期純利益が繰延税金資産の計上で13.2%増の2億61百万円だった。人材ソリューション事業におけるコールセンタースポット案件の反動減、人員増強等に伴う販管費の増加などが影響した。ただしビジネスソリューション事業が牽引して概ね計画水準で着地した。

 セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上収益が13.1%増の28億27百万円で、営業利益が60.1%減の1億80百万円だった。

 障がい者雇用支援サービスの売上収益は33.7%増の15億52百万円だった。法定雇用率の引き上げを控えて受注が高水準に推移した。設備販売は186区画、顧客数は618社(新規12社、解約0社)で、管理区画数は7735区画、就労者数は3867名(定着率92%)となった。新規農園開設は2施設(屋外2施設)で、期末時点の施設数は48施設(屋外37施設、屋内11施設)となった。

 広域行政BPOサービスの売上収益は25.2%減の2億63百万円だった。国策案件の終了により大幅減収だが、新年度の案件獲得に向けて営業を強化している。環境経営支援サービスの売上収益は3.1%増の1億78百万円だった。主要サービスの変化により小幅増収にとどまったが、概ね計画水準だった。

 ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上収益は14.9%減の3億08百万円だった。物流センター運営代行業務撤退の影響で減収だが、EC通販発送代行業務については第2四半期より複数の新規案件スタートを見込んでいる。採用支援サービス(OMUSUBI)の売上収益は4.2%減の1億68百万円だった。売上面は閑散期のため減収だったが、利益面はコストコントロール効果で上振れた。セールスサポートサービスの売上収益は1.7%減の2億20百万円だった。全体として減収だが、コロナ禍の影響一巡によりリアルキャンペーンの需要が増加した。

 人材ソリューション事業は、売上収益が21.1%減の28億52百万円で、営業利益が24.0%減の2億56百万円だった。主力のコールセンター業務の売上収益は26.2%減の22億82百万円だった。新型コロナ関連スポット案件の反動で大幅減収だった。ただし第2四半期での底打ちを見込んでいる。販売支援の売上収益は5.0%増の3億67百万円だった。インバウンド関連案件に注力し、携帯販売の減少をカバーした。

 24年11月期通期の連結業績予想(IFRS)は据え置いて、売上収益が23年11月期比4.9%増の270億60百万円、営業利益が1.0%減の27億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.7%増の18億29百万円としている。配当予想については23年11月期と同額の10円(期末一括)としている。予想配当性向は43.2%となる。

 なお半期別に見ると、上期の売上収益124億87百万円、売上総利益39億54百万円、販管費34億11百万円、営業利益5億42百万円に対しての、下期は売上収益145億72百万円、売上総利益56億71百万円、販管費34億63百万円、営業利益22億07百万円で、下期偏重の計画としている。ビジネスソリューション事業の広域行政BPOサービス、および人材ソリューション事業のコールセンター業務について、下期からの需要回復・収益改善を計画している。

 セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が19.7%増の150億23百万円、営業利益が15.0%増の34億97百万円としている。売上高の内訳は障がい者雇用支援サービスが15.9%増の80億円(運営管理費が27.8%増の49億92百万円、設備販売が5.2%増の24億60百万円、人材紹介料が16.5%減の5億47百万円)で、ロジスティクスアウトソーシングサービスが10.6%増の16億26百万円、広域行政BPOサービスが7.6%増の14億95百万円、環境経営支援サービスが50.6%増の14億30百万円、採用支援サービス(OMUSUBI)が11.7%増の8億円としている。

 障がい者雇用支援サービスは新規開設が8農園(屋外4、屋内4)で、設備販売は1450区画(第1四半期175~225区画、第2四半期430~480区画、第3四半期360~410区画、第4四半期385~435区画)の計画としている。営業面では農園サービスに対する高い需要は変わらず好調だが、より丁寧な採用・教育に取り組んでいるため販売目標は一旦抑制する方針だ。ロジスティクスアウトソーシングサービスは全センターの満床・安定稼働により収益改善を推進する。なお物流センター運営代行サービスを終了し、今後はEC通販発送代行サービスに集中する。広域行政BPOサービスはスポット業務の縮小により上期の売上高が落ち込むが、既存センターの稼働率向上に向けて営業を強化し、下期からの反転を見込んでいる。環境経営支援サービスは、企業向けの支援ノウハウを活用して自治体向けの脱炭素支援サービスの拡大を推進する。採用支援サービス(OMUSUBI)は人手不足を追い風に着実な成長を目指す。

 人材ソリューション事業は売上高が7.4%減の123億25百万円、営業利益が10.9%減の11億20百万円の計画としている。売上高の内訳はコールセンター業務が7.7%減の102億43百万円、販売支援が23.8%増の17億82百万円、その他が61.4%減の3億円の計画としている。コールセンター業務の需要回復などにより売上の底打ちを目指す方針だ。

 24年11月期は全体として増収増益への転換を図りながら、新たな成長に向けた基盤整備にも注力する方針としている。また、人材派遣サービスの成長鈍化を踏まえて現在の中期経営計画を取り下げ、2025年11月期を初年度とする新中期経営計画を策定する予定としている。新中期経営計画では事業ポートフォリオを再編し、障がい者雇用支援、サスティナビリティ支援、地方創生支援を重点事業領域とする成長戦略を打ち出す見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は安値圏でモミ合う形だが調整一巡感を強めている。目先的には第1四半期業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、下値限定的だろう。4月12日の終値は308円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS23円16銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS111円78銭で算出)は約2.8倍、そして時価総額は約243億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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