【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ビューティガレージは8月の直近安値で底打ち、16年4月期は増収増益基調で増額含み

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ビューティガレージ<3180>(東マ)は美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手で、開業・経営ソリューション事業も強化している。16年4月期は増収増益基調で増額含みだ。株価は8月急落時の直近安値で底打ちして下値を切り上げている。中期成長力を評価して出直り展開だろう。

■プロ向け美容商材ネット通販の最大手

 プロ向け美容商材ネット通販の最大手である。美容業界に新しい価値を創造し、サロンビジネスの繁栄に貢献することをミッションとして、IT(ネットでの通販)とリアル(ショールームでの販売)を融合連携させたBtoBビジネスモデルである。

 理美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなど、全国の美容サロン向けに、業務用理美容・エステ機器(スタイリングチェア、シャンプーユニット、パーマ機器、エステスチーマーなど)や、業務用化粧品・消耗品(ヘアケア製品、エステティック化粧品、マッサージオイル、ネイル商材など)を販売するプロ向け美容商材の物販事業を主力として、サロンの店舗設計デザイン事業、美容サロン開業・経営に関するソリューション事業も強化している。

 グループ子会社は、店舗設計・施工事業のタフデザインプロダクト、美容師など求人マッチングサイト運営のサロンキャリア、アイラッシュ(まつ毛エクステ)商材卸売および開業・経営支援事業のアイラッシュガレージの3社である。

 中間流通を省いたダイレクト販売と大量一括購入によって実現した国内最安値保証、自社開発の「WEB&リアル店舗連動型」基幹POSシステム、自社物流センターを保有して業界をリードする利便性の高い配送サービス、中古・格安PB商品と開業支援ソリューションで新規開業者を集める仕組み、物販とソリューションのワンストップサービスでリピート利用に繋げる仕組みなどを強みとしている。

■オンラインショップのアクティブユーザー数は増加基調

 販売チャネルは、登録会員数約24万口座、取扱商材約65万点で日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」を主力として、カタログ通販、全国9拠点のショールームでの販売を展開している。ショールームは中古品の買い取り・メンテナンス拠点としても機能している。

 15年4月期の物販事業の販路別売上構成比は、オンラインショップ経由が58.2%、電話・FAXが21.1%、ショールームへの来店が18.3%だった。オンラインショップ経由が増加基調である。また商品別売上構成比はPB機器50.0%、PB化粧品10.1%、NB機器17.2%、NB化粧品18.8%だった。SPA(製造直販)方式で自主開発したオリジナルブランド(PB)が全体の6割超を占めている。

 15年4月期末時点のオンラインショップ登録会員数は14年4月期比3万3412口座増加の23万9470口座で、このうち過去1年に購入履歴のあるアクティブユーザー数は同1万1495口座増加の7万7626口座、アクティブユーザー比率は同0.3ポイント上昇の32.4%となった。

 ソリューション事業では合計11の周辺ソリューションWEBサイトを運営し、15年3月にはサロンの開業・経営・教育に関する各分野のエキスパートによるセミナー情報サイト「BGアカデミー」を開設した。

■サロンコンシェルジュNO.1企業を目指す

 中期経営計画では、高い収益性と継続的な成長を可能とするビジネスモデルを確立し、開業と繁盛を総合支援するサロンコンシェルジュNO.1企業を目指している。そして目標数値に17年4月期の売上高100億円、経常利益7億円を掲げるとともに、一段の認知度・信用力向上に向けて早期の東証1部上場を実現する方針だ。

 成長に向けた重点戦略としては、美容業界のBtoB電子商取引市場における圧倒的NO.1地位を確立するIT戦略、SPA方式活用によって売れる商品を開発するメーカー戦略、リピート商材拡充によりフロー&ストック型収益構造に転換する専門商社戦略、開業支援・経営ソリューション充実によって総合受注を促進するワンストップソリューション戦略を掲げている。

 物販事業では、リピート商材である化粧品・消耗品の販売を拡大するとともに、機器分野ではPB商品、化粧品分野ではNB商品の品揃えを強化する。また物流コスト低減に向けて、16年4月期中を目途として中国にハブ倉庫を新設する予定だ。中国から日本に輸送する商品を、保管料の安い中国のハブ倉庫に一旦集めて検品などを行う。そして保管料の削減、効率的な輸送、不良品の早期発見に繋げる。

■サイト利便性向上や品揃え拡充を強化

 15年6月にはプロ向け美容業界の商材仕入用として国内初となるスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」を導入した。商品に記載されたバーコードやQRコードをスマホで読み取るだけで、商品をカートに入れて発注できるバーコードリーダ機能などを搭載した。美容サロンにおける消耗品などの発注業務を簡素化して担当者の発注業務負担を軽減でき、当社への発注増加に繋げる。

 またクレジット決済サポートサービス「サロン決済ナビ」をオープンした。美容業界最安値クラスの決済手数料で、国内主要クレジットカード会社に対応している。エステサロン専用クレジット決済なども用意して、各サロンに適した決済端末の導入をサポートするサービスだ。

 15年7月には、ソニー<6758>が15年2月発表した肌解析システム「BeautyExplorer」の取り扱いを開始した。エステ・美容サロン、化粧品メーカー、美容関連製品販売店向けに開発された業務用の肌解析システムである。手のひらサイズ肌測定機とクラウドのシステムをリーズナブルな料金設定で当社顧客サロンに提供する。16年4月期業績に与える影響は軽微としているが、当社の品揃え強化や信用力向上に寄与する。

 また15年7月には、インターネットBGM配信サービス「モンスター・チャンネル」の提供も開始した。専用機器、設置工事、著作権手続が不要で、BGMアプリをパソコン、タブレット、スマートフォンにダウンロードして、アンプ、スピーカーを接続するだけで利用できるサービスだ。月額課金収入のビジネスモデルとなる。

 15年9月には、美容家電最大手のヤーマン<6630>がサロン専売第一弾としてOEM製造する業務用トリートメント機器を、ビューティガレージブランドのエステサロン向け商品「Quattro Burst Cavi(クワトロバーストキャビ)」として15年11月から販売すると発表した。1台でフェイスとボディのトリートメントが完結する小型かつ高性能の画期的な日本製業務用トリートメント機器である。

■美容サロン新規開業が多い第4四半期(2月~4月)の構成比高い

 なお15年4月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(5月~7月)16億70百万円、第2四半期(8月~10月)18億44百万円、第3四半期(11月~1月)16億99百万円、第4四半期(2月~4月)20億62百万円、営業利益は第1四半期51百万円、第2四半期1億25百万円、第3四半期79百万円、第4四半期1億21百万円だった。

 美容サロンの新規開業が春先に集中する傾向があるため、美容機器の需要が高まり、当社の収益は第4四半期(2月~4月)の構成比が高いという季節要因があるようだ。また15年4月期のROEは14年4月期比3.5ポイント上昇して18.0%、自己資本比率は同3.3ポイント低下して51.9%だった。

■16年4月期増収増益基調で増額含み

 今期(16年4月期)の連結業績予想(6月9日公表)は、売上高が前期比16.7%増の84億88百万円、営業利益が同24.3%増の4億67百万円、経常利益が同17.0%増の4億58百万円、純利益が同21.2%増の3億01百万円としている。

 品揃え強化、サイトの利便性向上、さらに認知度・信用力向上なども寄与して登録会員口座数およびアクティブユーザー数が増加基調である。15年6月導入のスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」も寄与して、物販事業が好調に推移する。

 第1四半期(5月~7月)は売上高が前年同期比19.4%増の19億94百万円、営業利益が同30.5%増の67百万円、経常利益が同29.7%増の66百万円、純利益が同32.2%増の40百万円だった。

 主力のオンライン経由販売が好調に推移し、円安に伴う仕入コスト上昇などを吸収して大幅増収増益だった。店舗設計事業の採算改善や販管費抑制なども寄与した。売上総利益率は32.5%で同2.6ポイント低下したが、販管費比率は29.2%で同2.8ポイント低下した。

 セグメント別に見ると、物販事業は売上高が同14.4%増の15億67百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同8.2%減の85百万円だった。円安に伴う仕入コスト上昇などで減益だったが、売上面では主力のオンライン経由販売が好調に推移した。15年7月末時点のオンラインショップにおけるアクティブユーザー数(過去1年間に1回以上購入したユーザー)は前年同期比1万1234口座増加の8万204口座となった。

 店舗設計事業は売上高が同52.5%増の3億52百万円、営業利益が16百万円(前年同期は0.3百万円)だった。新規顧客開拓や各案件の利益率向上が寄与した。その他周辺ソリューション事業は居抜き不動産仲介サービス、保険サービス、集客支援サービスが好調に推移して、売上高が同7.7%増の73百万円、営業利益が同2.9倍の18百万円だった。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が23.5%、営業利益が14.4%、経常利益が14.4%、純利益が13.3%である。低水準の形だが第4四半期(2月~4月)の構成比が高い収益構造であり、期初時点で下期偏重の計画だ。したがってネガティブ要因とはならない。

 大手サロンチェーンからの店舗設計受注も増加しているもようであり、通期ベースでも好業績が期待される。通期会社予想は保守的としているため増額含みだろう。

 なお配当予想については現時点では未定としている。15年4月期(15年5月1日付の株式5分割前)は14年4月期比6円増配の年間24円(期末一括)で配当性向は11.5%だった。16年4月期も増収増益基調であり、増配余地があるだろう。

■株価は8月の直近安値で底打ちして下値切り上げ

 なお6月30日に株式の立会外分売を実施した。分売株式数29万8500株、分売価格1185円だった。東証1部への市場変更における形式要件である株主数の充足を図るために実施した。

 株価の動き(15年5月1日付で株式5分割)を見ると、6月の上場来高値1470円から利益確定売りで反落し、さらに悪地合いの影響で8月24日の直近安値741円まで調整したが、その後は800円~900円近辺で推移している。8月の直近安値で底打ちしたようだ。

 10月1日の終値873円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円54銭で算出)は17~18倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS252円39銭で算出)は3.5倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線が横向きに転じた、また週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んだが、8月急落時の直近安値で長い下ヒゲをつけ、その後は下値を切り上げる形だ。16年4月期は増収増益基調で増額含みである。中期成長力を評価して出直り展開だろう。

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