【どう見るこの相場】ゴールデンウイーク前の戦略――投資家はどう動く?

■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ

 東京市場は、「前門の虎、後門の狼」状態である。「虎」と「狼」との挟み撃ちで、前週末19日に日経平均株価は、1011円安と今年最大の下げ幅となり3万7068円と今年2月9日以来2カ月ぶりの安値に落ち込んだ。「前門の虎」は、米国の長期金利の高止まりで、「後門の狼」は、19日の前場取引時間中に伝えられたイスラエルによるイランへの報復攻撃で一時、日経平均株価は、中東情勢の緊迫化を懸念して下げ足を加速させ1346円安と3万7000円台を割った。

 米国の長期金利高止まりは、想定範囲内とする「ソフトランディング・シナリオ」では相次ぐ好調な決算発表でカバー可能とされていた。ところが半導体関連株の決算発表では、市場予想を下回るケースが相次ぎ、政策金利引き下げの後ずれによる「ハードランディング・シナリオ」への懸念も再燃している。イスラエルのイランへの報復攻撃も、イランの無人機攻撃が、核施設を標的とせず抑制的だったため、両国の報復攻撃が自制されるとも観測も流れたが、偶発的な衝突によるエスカレーション不安が拭えない。現に20日にはイラクの民兵組織基地へのミサイル攻撃も伝えられた。

■市場の緊張感高まる―米国金利と中東情勢が投資家の判断を試す

 「虎」と「狼」にどう対応するか、週明けもマーケットは難しい判断を迫られることになる。買いポジションを手仕舞って、1週間前倒しして早めのゴールデンウイーク入りとするのも、一つの選択肢だろう。東京市場で3月期決算会社の業績発表は、ゴールデンウイーク明けに本格化するスケジュールにあり、これに備えて現金ポジションを高めておく捲土重来策である。また19日の米国市場では、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が、ディフェンシブ株を中心に211ドル高と続伸しており、このコピー相場も想定される。

 投資家個々の持ち株の損得勘定とフトコロ具合次第だが、さらに別線選択肢として、急落した19日のマーケットでも少数派だが逆行高した銘柄があり、これを手掛かりに急落市場にチャレンジする投資スタンスもありそうだ。中東情勢が、なお不透明で予断を許さないだけに重ねての「ピンチをチャンス」とする逆張り策である。19日のプライム市場では、業種別騰落率で鉱業、海運、医薬品の3業種のみが上昇し、日経平均株価の構成銘柄では、19銘柄のみが上昇し206銘柄が下落しており、このなかから個別撃破銘柄にアプローチする方法である。

 とういことで今週の当コラムでは、異例中の異例としてお許しいただきたいが、前週15日付けの当欄で取り上げた地政学リスク関連株をもう一度お薦めすることにした。金先物価格は、長期金利が上昇すると本来、金利が付かない金融商品として逆風になるはずなのに、前週末19日の米国市場では続伸して史上最高値にあと35ドルと迫った。また原油先物(WTI)価格も、同様に中東情勢緊迫化による需給懸念が強まり一時、1バーレル=86ドル台と続伸した。また海運市況も、軍事衝突がエスカレートしてホルムズ海峡閉鎖などの輸送障害が生じるようなことがあれば、強く反応することが想定される。いずれも、一触即発状態にあるとみて間違いなさそうだ。

 この地政学リスクに関連する銘柄の多くは、4月13日夜にイランがイスラエルへ報復攻撃した翌週明けの15日に年初来高値を更新し、そのあとイラン・イスラエルの報復攻撃が、互いにエスカレートを望まないとの観測も強まって一服していた。それが19日には、また敏感に反応し、INPEX<1605>(東証プライム)、住友金属鉱山<5713>(東証プライム)、日本郵船<9101>(東証プライム)などをリード株に逆行高した。「ピンチはチャンス」にもう一度トライしてみる突破口になりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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