京写は25年3月期大幅営業増益・連続増配予想
- 2024/5/1 09:27
- 決算発表記事情報
(決算速報)
京写<6837>(東証スタンダード)は4月30日の取引時間終了後に24年3月期連結業績を発表した。主力の自動車向けプリント基板の受注回復、ベトナムの黒字化、実装関連の好調、為替の円安効果、中国におけるコスト改善、高付加価値基板の増加などにより、計画を上回る大幅増益で着地した。そして配当予想を増額修正した。25年3月期も大幅営業増益で連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上値が重くモミ合う形だが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。
■24年3月期大幅増益、25年3月期大幅営業増益・連続増配予想
24年3月期の連結業績は売上高が前年同期比0.5%増の245億80百万円、営業利益が60.8%増の10億80百万円、経常利益が47.1%増の9億11百万円、親会社株主帰属当期純利益が6億04百万円(23年3月期は特別損失計上で4億85百万円の損失)だった。配当は4月30日付で期末1円増額修正して23年3月期比7円増配の10円(期末一括)とした。配当性向は23.9%となる。
主力の自動車向けプリント基板の受注回復、ベトナムの黒字化、実装関連の好調、為替の円安効果、中国におけるコスト改善、高付加価値基板の増加などにより、計画(営業利益10億円、経常利益8億30百万円、親会社株主帰属当期純利益5億60百万円)を上回る大幅増益で着地した。なお営業外収益では海外投資補助金収入2億12百万円を計上し、特別損失では23年3月期に計上した投資有価証券評価損2億51百万円、および貸倒引当金繰入額5億85百万円が一巡した。
地域別セグメント業績(内部取引含む)は、日本の売上高が6.9%増の105億29百万円で営業利益が4.1%増の1億97百万円、中国の売上高が3.5%減の130億74百万円で営業利益が0.1%減の6億98百万円、インドネシアの売上高が22.3%減の21億28百万円で営業利益が80百万円の損失(23年3月期は13百万円の損失)、メキシコの売上高が37.7%増の1億31百万円で営業利益が3百万円(同0百万円の損失)、ベトナムの売上高が78.7%増の38億44百万円で営業利益が2億69百万円(同1億78百万円の損失)だった。
日本では自動車向けプリント配線板が第3四半期まで好調に推移し、実装関連では新規市場開拓により通信機器向けが大幅に増加した。海外はベトナムにおいて自動車関連配線板の受注が大幅に増加した。サプライチェーン体制再編により、自動車関連の北米向けを中国からベトナムに移管したことも寄与した。中国とインドネシアは事務機や電子部品分野の受注が減少したが、中国では受注減少に合わせたコスト改善に加え、高付加価値の金属基板の増収効果でカバーした。
製品別売上高は片面板が10.9%減の101億14百万円、両面板(多層板、銀スルーホール基板含む)が8.8%増の111億82百万円、実装関連が21.7%増の25億59百万円、その他が1.2%減の7億23百万円だった。両面板、実装関連は過去最高の売上高となった。
用途別売上高は主力の自動車関連が23.4%増の113億06百万円、家電製品が8.4%減の45億32百万円、事務機関連が24.7%減の26億02百万円、電子部品が30.7%減の15億円、電気機器が29.2%減の6億88百万円、その他(映像機器、音響機器、アミューズメント等)が16.0%減の13億93百万円、実装関連が21.7%増の25億59百万円だった。実装関連の用途別構成比は産業機器46.0%、航空機14.2%、通信機器9.4%、自動車8.8%、電子部品5.7%、その他15.9%だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高61億11百万円で営業利益3億41百万円、第2四半期は売上高60億19百万円で営業利益2億90百万円、第3四半期は売上高65億52百万円で営業利益2億90百万円、第4四半期は売上高58億97百万円で営業利益1億59百万円だった。
25年3月期の連結業績予想は売上高が24年3月期比1.7%増の250億円、営業利益が20.3%増の13億円、経常利益が6.4%増の9億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.8%増の6億40百万円としている。配当予想については24年3月期比1円増配の11円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は24.8%となる。
経常利益は24年3月期の営業外収益に計上した海外投資補助金収入2億12百万円が剥落するため小幅増益だが、生産ラインを増設したベトナム子会社において引き続き旺盛な自動車需要が期待されるほか、中国における高付加価値の金属基板の増加や、国内における実装関連の堅調推移も寄与して大幅営業増益予想、そして連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は調整一巡
株価は上値が重くモミ合う形だが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。4月30日の終値は423円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円34銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の11円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS569円55銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約62億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)