JSPは25年3月期減益予想だが保守的、配当は大幅増配予想

(決算速報)
 JSP<7942>(東証プライム)は4月30日の取引時間終了後に24年3月期連結業績を発表した。製品価格改定、高付加価値製品の好調、コスト削減などで大幅増益となり、配当を増額修正した。25年3月期は需要の堅調推移や製品価格改定などで増収だが、不透明感、原材料価格上昇、固定費増加、大幅増益だった前期の反動などを考慮して減益予想としている。ただし保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお新中期経営計画(25年3月期~27年3月期)とともに、株主還元強化方針(配当性向の目安35%以上)も発表した。これにより25年3月期も大幅増配予想とした。株価は年初来高値圏から急反落の形となったが、大幅増配に加えて1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期大幅増益、25年3月期減益予想だが保守的

 24年3月期第連結業績は売上高が23年3月期比2.5%増の1350億51百万円、営業利益が155.9%増の75億63百万円、経常利益が141.7%増の81億27百万円、親会社株主帰属当期純利益が152.5%増の63億91百万円だった。配当は4月30日付で期末15円増額修正し、23年3月期比15円増配の65円(第2四半期末25円、期末40円)とした。配当性向は29.3%となる。

 製品価格改定、高付加価値製品の好調、コスト削減などの効果で大幅増益となり、配当を増額修正した。

 押出事業は売上高が1.1%減の419億56百万円、営業利益(全社費用等調整前)が17.6%増の20億78百万円だった。販売数量が減少し、ユーティリティコスト高騰の影響もあったが、製品価格改定、高付加価値製品の好調、コスト削減などの効果で大幅増益だった。分野別の売上状況としては、生活資材製品は食品容器用「スチレンペーパー」や広告宣伝用ディスプレイ材「ミラボード」が減少して減収、フラットパネルディスプレイ用「ミラマット」を中心とする産業資材製品は汎用製品の減少で減収、押出ボード「ミラフォーム」を中心とする建築土木資材製品は製品価格改定や高付加価値製品の増加により増収だった。

 ビーズ事業は売上高が5.5%増の872億94百万円で営業利益が220.9%増の65億42百万円だった。全体として販売数量が減少し、ユーティリティコスト高騰の影響もあったが、高機能材製品の販売増加、製品価格改定、コスト削減などの効果で大幅増益だった。発泡ポリプロピレン「ARPRO」(旧名ピーブロック)を中心とした高機能材製品は自動車分野・非自動車分野とも販売が底堅く推移した。

 その他は売上高が10.9%減の58億円で営業利益が50.6%減の82百万円だった。国内では自動車部品輸送関連、中国では各種部品関連の需要が低調だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高320億49百万円で営業利益12億71百万円、第2四半期は売上高343億83百万円で営業利益19億76百万円、第3四半期は売上高360億05百万円で営業利益31億79百万円、第4四半期は売上高326億14百万円で営業利益11億37百万円だった。

 25年3月期の連結業績予想は、売上高が24年3月期比8.1%増の1460億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が9.0%減の74億円、親会社株主帰属当期純利益が17.1%減の53億円としている。配当予想は24年3月期比15円増配の80円(第2四半期末40円、期末40円)としている。連続大幅増配で予想配当性向は39.6%となる。

 セグメント別(25年3月期よりその他を押出事業に統合、増減率は組替後)の計画は、押出事業の売上高が8.9%増の520億円で営業利益(全社費用等調整前)が12.1%減の19億円、ビーズ事業の売上高が7.7%増の940億円で営業利益3.7%減の63億円、営業利益の全社費用等調整額が▲12億円としている。

 25年3月期は需要の堅調推移や製品価格改定などで増収だが、不透明感、原材料価格上昇、固定費増加、大幅増益だった前期の反動などを考慮して減益予想としている。ただし保守的な印象が強く上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお新中期経営計画(25年3月期~27年3月期)とともに、株主還元強化方針(配当性向の目安35%以上)も発表した。これにより25年3月期も大幅増配予想とした。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値圏から急反落の形となったが、大幅増配に加えて1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。5月1日の終値は2181円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS202円23銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の80円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3635円60銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約685億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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