【どう見るこの相場】日米相場の行方

どう見るこの相場

■日米ともミクロの企業々績堅調だがマクロの景気に明暗、日本は9月中間決算後にマクロ懸念が浮上へ

NYダウは1万7000ドル台を回復し日経平均も去る17日の1万4529円のボトムから1066円戻している。この先、日米の相場はどうなるのか、Q&Aで展望した。

<Q>金融の量的緩和政策が終了、金融面でのテコイレがなくなるがNYダウが強いのはなぜか。

<A>2008年から続いたアメリカの金融緩和政策は10月で終了する。金融政策に頼らなくても米国経済は強いということを反映しているといえる。実際、失業率は2008年当時の10%台が5.9%まで低下している。ダウ予想の1株利益も1100ドル前後の高水準にあり企業々績がしっかりしていることが最大の理由といえる。

<Q>アメリカの次の政策は6年続いている政策金利ゼロ%の解除だと思うが、ダウへの影響は。

<A>来年央の解除という見方が多い。1回目の引上げは10月の株価大幅下げであるていど織り込んだように思われる。今後は金利引上げの幅とピッチの速さにもよるが、それを決めるのは景気が良すぎてインフレを懸念しなくなればいけない時だろう。今後のNYダウは、「金融相場」から「業績相場」にうまくスイッチできるかどうかが見所だろう。スイッチがうまく行けば、NYダウが2009年安値から5年半で約2.7倍に上昇しているということに対する心配は払拭されると思う。

<Q>日経平均も強いが、何か力強さに欠ける印象だが。

<A>9月に比べると10月は東証1部の売買代金及び出来高とも大きくダウンしている。このため、指数は強いのだがマーケットに盛り上がりがみられないと言う状況になっている。

<Q>日本のマーケットはこれからどう動くのか。

<A>日米に共通しているのは、共に上場企業の業績がよいという点だ。つまり、両市場とも「ミクロ」は好調といえる。とくに、日本の上場企業には昨年のアベノミクス効果が現れているといえる。しかし、日米で大きい違いがあるのが、景気という「マクロ」といえる。アメリカは金融の量的緩和を終了するほど良好だが、日本の景気は4~6月のGDPが2ケタのマイナスとなるなどよろしくない。さらに、消費税10%が予定されているから、仮に、実施したら日本のGDPはさらに悪化する心配がある。マクロの景気悪化はいずれ上場企業に影響してくることが心配され外国人投資家は日本株買いに慎重となっている。この点をこれからの相場の基本として見ておく必要がある。

<Q>アメリカは3度にわたる量的緩和をやったが、日本はまだ1回だけのように見えるが緩和策は期待できるのか。

<A>正直、分からない。これからアメリカの金利が上がるなら金利差から円安が予想される。日本は昨年春のような超金融緩和策を採らなくても円安が見込めるわけだ。ここで、さらに輪をかけるような円安政策を採れば輸入物価の上昇を招き、かえって景気を悪くする心配がある。結局、今は見守るより仕方ないという印象だ。企業々績が堅調な間にアベノミクス成長戦略が景気に寄与してほしいということだろう。

<Q>それで、年内の日経平均はどうなるのか。

<A>11月中旬までは9月中間決算の発表が相場を支えると思われる。繰り返しになるが企業々績はこれまでのアベノミクス効果で比較的よいから十分、相場を支えると思う。しかし、問題は中間決算の発表が一巡した後だ。企業々績の陰に隠れている景気というマクロ面が再び前面に顔を出してくる。7~9月のGDPが芳しくないということになればマクロ面からの相場下押しが予想される。安倍政権が再び強固な支持率を回復しアベノミクス第2章の本格的な幕を開くことができるかどうかがポイントだろう。

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